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睡眠にまつわるよくある誤解

睡眠にまつわる誤解が世の中には溢れています。

「ショートスリーパーになりたい!」

という叶うはずのない思いも,実現できそうな甘い文句に,つい魅力を感じてしまうのは人の性です。

睡眠の悩みを解決するには,都合のよい情報を探すのではなく,正しい知識を身につけることが結局のところ近道です。

睡眠時間に関する誤解

  • 誰でも8時間睡眠が必要である

  • 誰でもショートスリーパーになれる

  • 寝溜めは可能である

睡眠時間は人それぞれです。とくに年齢とともに必要な睡眠時間は減って来ます。成人では7〜9時間程度の睡眠時間が理想的ですが,高齢者は6時間程度でも足りています。

ショートスリーパーという特殊な人は本当に稀にしか存在しません。短時間睡眠で体を痛めつけている人,パフォーマンスが下がっても睡眠時間を減らす意味のある人はもう少しいます。短時間睡眠でも仮眠をうまく活用して生きていくことはもちろん可能です。

土日に寝溜めするという考え方がありますが,どちらかというと,土日に借金を返しているというイメージです。睡眠不足を後から解消することはできますが,事前に貯めておくことはできないのです。

朝型・夜型に関する誤解

  • 早起きは三文の「得」

  • 誰でも朝型になれる

  • 早く眠れば早く起きられる

「朝活をやっています」

と聞くと,何だか意識が高い人たちだなと別世界に感じる人もいれば,何か「得」があるのではないかと魅力を感じる人もいるでしょう。

朝型の人は朝活によって生産性が上がることでしょうが,夜型の人にとっては体の調子を崩してしまいかねません。ある程度生まれもったものであり,体内時計を調整するのが苦手な人に無理を強いるのはよくありません。

体内時計が夜型の人は,早く寝ようとしても眠ることはできず,早く起きるから早く起きられるというものではありません。むしろ無理矢理早く起きることで体内時計が早まりますので,翌日は早く眠れるかもしれません。

食事やサプリメント,薬に関する誤解

  • 朝ごはんは必ず食べるべきである

  • 睡眠に効くサプリメントを飲んでいます

  • 睡眠薬よりも睡眠改善薬,サプリメントが安全である

「早寝・早起き・朝ごはん」

というキャッチフレーズがありましたが,先に触れたように早寝・早起きに向かない人もいます。朝ごはんを食べても早寝早起きできるわけでないということを示す報告もあり,朝ごはんによって体内時計をリセットする効果は大きくないと考えられています。

「睡眠に効く」サプリメントという漠然としたものが,睡眠の何に効いていると思って飲んでいるのかが大事です。こういった指標が漠然とした謳い文句は,だいたい根拠が欠落しています。たとえば不眠症に効果があるという観点であれば,効果が証明されたサプリメントは無いと断言できます。「パッケージがかわいい」と同じレベルで,ふんわりと「なんかよさそう」くらいに思って飲む分にはよいのではないでしょうか。

睡眠改善薬は,風邪薬などに含まれるいわゆる「眠くなる成分」が含まれています。どのくらい眠くなるかを検証されたものではないため,薬として医療機関で処方されることはありませんが,副作用が無いわけではないので,薬局で説明を受ける必要があります。サプリメントも量が増えると有害である可能性もあり,安全性に目を向けるならば,避けた方がよいもののひとつだと言えます。

これを食べるとよい,これを飲むとよいというものを求めがちですが,食べ過ぎない,飲みすぎない,夜遅い時間には食べない,飲まないといった避けた方がよい行動に注目する方が,睡眠には役立つことが多いのです。

* * *

よい睡眠をとるためには,

  • 年齢に応じた適切な睡眠時間を確保し

  • 体にあったタイミングで規則正しく眠るように心がけ

  • 食事の内容よりもタイミングを考えて

生活していくことが大切です。

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