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リーマンショック当時の銀行界隈の決算分析①モルガン・スタンレーの四半期決算と、リーマンブラザーズの年間決算推移


今回の株価下落は昨年からはじまり、それが今の所、昨年の10月はじめあたりから反転する方向性にはなっているように感じてはいます。実際、金利上昇の直接的な要因となっている物価上昇の部分については今の所下降方向になっています。

しかしながら、直近の雇用統計をふまえ、パウエル議長が「ここまで雇用が強いとは予想していなかった」みたいなことを言っていたと記憶していますが、雇用の強さの部分が、金利上昇要因になるんじゃないかというところを市場参加者が株価に織り込みつつあるようです。

実際問題、長短金利差の逆転状況が慢性化しつつあります。ここからさらに利上げを織り込むということになると、2年債利回りが上がりやすくなる可能性があります。一方で、10年債利回りはリセッションを考慮した利回りになるところを考慮すると、今後さらに長短金利差の逆転が続きやすい可能性があるかと思います。銀行業の一つの業務として貸出業務があります。これは、簡潔に言えば、直近の金利が低く、後ろの金利が高い状況だと、その金利差を利用して利益を出す、というビジネスですから、その点、そこが逆転しているという状況は、銀行業者にとっては「逆風」な要素になるわけです。実際、リセッションや株価下落と、長短金利差の逆転は非常に高い関係性があるようですし、銀行の状況が悪化したら、それは貸出全般に滞りが出るリスクがあります。株式市場に関しても、大手銀行であれば株式の運用を非常に多くの金額でやっていますから、とてもインパクトが多い可能性があります。

そう言った点を踏まえると、銀行の決算内容を追っておく重要性はある程度あるのかもしれない、と思いました。また、リーマンショックのような形で、アメリカの銀行破綻は、世界的な経済危機をまねき、モルガン・スタンレーは日本のUFJに出資を要請する、といった事態もありました。

その点、住宅市場価格の下落が起こった2007年あたりから、実際に2008年の9月15日にリーマンブラザーズが破産申請する前の銀行界の状況、リーマンブラザーズの決算内容について詳しく見ていくことで、今後の投資という観点で重要な手がかりになる部分があるのでは?と思いました。

しかしながら、リーマンブラザーズの年間決算発表を見てみると、どうも、一見して倒産するような企業には見えない決算を出しています。その決算内容は次のとおりです。


リーマンブラザーズ当時の決算内容(収益とEPS)

これだけをみると、順調に成長しているようにみえますし、EPSもプラス成長ということは黒字成長をしているということになります。
ということになると、例えば、四半期ごとの決算を分析してみる。損益計算関連の部分での内容だけでなく、資産の推移やキャッシュフローなどについても詳しく見てみる必要があり、表面的な決算内容だけではその会社が本当に投資できる会社なのかを見抜けない、一筋縄ではいかない問題があるのではと思います。

たとえば、結果的に倒産こそしませんでしたが、モルガン・スタンレーはUFJからの出資を要請し、その結果企業を存続できた要素は無視できないと思います。ちなみに2007年からのモルガン・スタンレーの決算内容は以下のような形でした。


2007-2008年途中までのモルガン・スタンレーの売上・EPS

そういったところを何回か記事を書いていき、その中で当時の状況について解明でこのように見てみると、2007年の第四四半期(2008年の1−3月あたり)に業績が悪化しているようですが、そこから盛り返しているようにも見えます。しかしながら、その後決算としては盛り返している部分もあるわけですが、前年比で決算はわるくなっています。とはいえ、こちらも破綻をする可能性、というのがあったかどうかというところまでは、こういったデータだけでは見抜けない問題があるかと思います。

そういったところを踏まえ、何回か記事を書いていき、その中で当時の状況について解明できるところがあればと思っております。

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