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少数派の不安と幸せと

この夏は異様に気持ちが落ち込んでいた。

やたら人と自分を比べては、自分を卑下して、不幸な未来しか想像出来ない状態だった。

『それって、あなたの妄想ですよね?』

と、脳内ひろゆきが言う。
しかし、一度この状態に沼ると這い上がるまでに時間がかかる。昔からそうだ。
今回は特に深く深くまで落ちていった。

あまりに落ちた私は、旦那の顔色を伺って日々を過ごすようになっていた。
まるで母親に対する態度のように。
無意識に自分の首を絞め、息苦しい毎日。
無価値であることを疑わない自分に、罪悪感があるので、追い込むことで罪滅ぼしの気持ちになれたのだと思う。

しかし、旦那はいう。

『もう、気持ち悪い!そういうのやめてよ!』

久しぶりに旦那がキレた。
夫婦として上下関係があるのは違うと。
旦那はずっと私の態度にモヤモヤしていたようだ。

そして、結婚して家族になったのだから、あらゆることを理解していくのが当たり前と言われた。私がどんなに自分自身を否定しても。

家族だから理解する。

私は後頭部を殴られたような気分になった。
だって、家族だからって理解されたこともないし、理解したこともない。というか、理解したいと思えない。育った環境が違うってすごい。
家族愛ってものをアラフォーにして習っている気がした。

叱ることはあるかもだけど、出来る限り否定をしないでいたいと言われ、旦那のお義母様のポリシーを感じた。素晴らしい教育をしてくださって感謝でしかない。早くに亡くなったことが悔やまれる。

とはいえ、理不尽と我慢が当たり前で育ち、理解され慣れていない私はどうしても抵抗がある。

『理解って、我慢じゃないの?』


自分がしてきた我慢を想像するだけで震える。
あんなに不快なことをわざわざさせるって、許されるのか?私は旦那に無理をさせたくない。
旦那の人生を支配したくない。
それを訴えると旦那が言った。

『例えば、うちの母ちゃん働いていたけど毎日必ず弁当作ってくれたのね?部活あったから。それって俺のことが好きだからでしょ?我慢もあっただろうけど、そればっかなら毎日出来ないよ。そういうのって俺のことを思いやる理解力でしょ?』

、、、。

え、なんのホームドラマ?

ちゃんとした家庭で生きていたら、こんなにも美しい考えかたになるんだと驚愕。
それを私なんかに還元してもらえるだなんて。
経験値が無さすぎて脳バグが起きた。

そして、沼から這い上がり生還。

振り切るかのように、元気な自分が返ってきてメンタルクリニックでは気まずいっていう。

それから、心身ともに穏やかだ。
しかし、たった1つひっかかることがある。

こんなに家族愛があるのに父親にさせてあげられない。

愛情豊かに育った旦那は、素晴らしい父親になれるのが分かる。私に限らず、そもそも人が好きだし、寄り添えるタイプなので。

そんな価値ある人間に、親としての尊い人生を提供出来ないのだなと思うと、また沼からお呼びがかかる。

しかし、最近私たち夫婦の周りに、子供を持たない夫婦が増えてきた。選択的子なしだ。
私としては、少数派が堂々と生きている姿に、勇気をもらえる。大概の夫婦は、子供への価値観が共に同じで生きているので羨ましい。 

私は結婚する前に、子供のいない人生を歩みたいと伝えていた。
そのとき『素直に言えば、俺はほしいよ?』
と、言われてフラれることを覚悟。
しかし、なんだなんだプロポーズをされ結婚をし家族認定を受けた。

しかし、私は数年前の子供欲しい発言を、ずっとずっと重く背負っている。
最近そのことについて、勇気を出して伝えてみた。

トミー『申し訳ないでしかない。こんな父親としてちゃんと出来そうな人間なのに。』
旦那『そういう未来もあったかもなぁと思うくらいだよ。この道が良くて選んだのは俺だよ?』
トミー『うん。』
旦那『ただね、これはしたいなぁってのがあって。』
トミー『え、珍しいなに?』

旦那『将来、動物だらけの家にしたい!』

トミー『まじか!?』


私は昔から犬が好きで、いつか飼いたいなと思っている。しかし、さすがにそれくらいの希望だ。旦那は田舎の空き家にでも住んで、広々とした空間で動物たちを飼いたいそうだ。

ムツゴロウ願望把握。


思わぬ将来の夢に少しびっくりしながらも、それもアリだなと思えた。
というか、旦那が将来を考えていることに胸がいっぱいだ。

子供の価値観の相違により、いつでも独りになる覚悟をすべきだと考えていた私。
日々、その場限りを楽しみ、いつ別れを切り出されても後悔しないように生きようと、最悪の事態に備えていた私。

そんな私の想定をどがえすくらい、家族というものは強いらしい。
アラフォーにして、ずいぶん大事なことを勉強させてもらっている。

さて、旦那が喜ぶ夕飯でも作ろう。
これが理解なのかな。

















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