“語りたくなる余白”をつくる

「最近、好きなコンテンツは?」

そう問われたら、なんて答えるだろう?


Netflixでは『クィア・アイ』や『テラスハウス』、Amazon Primeでは『バチェラー』、映画では『天気の子』や『JOKER』を、YouTubeでは「inliving.」のモーニングルーティンなど。

2019年は、様々なコンテンツが話題になった1年だった。


話題になるコンテンツには、共通点がある。

どれも「人と語り合いたくなるような余白」があるコンテンツだったと思う。

そういえば、昔は好きなドラマやマンガの最新作が出た翌日、学校で「あのシーンが面白かった」と、友達と話すのが楽しみだった。映画に行きたくなるのも映画だけじゃなく、映画を観た後に人と感想を語り合うのが楽しいからだと思う。

私たちの行動は、昔とそこまで変わっていないのかもしれない。でも、SNSで誰もが発信できるようになったいま、リアルの人間関係以上にSNSが「語り合える場」として代替されるようになった。

解釈を視聴者やユーザーに委ね、見方によって作品の印象が180°変わる。自分の考えや考察を他者と語り合えば、複数な視点からより深くコンテンツを楽しめる。

そんな余白のあるコンテンツが、私たちの心を動かすのだと思う。


☕️☕️☕️


「毎週、死にます」のコピーを掲げ、2クール連続で放送されたドラマ『あなたの番です』。

主演の横浜流星が今年の顔に輝いたり、10代のトレンド語大賞に選ばれたり。昨年もっとも話題になったコンテンツのひとつだと思う。

新婚夫婦がマンションを購入し、引っ越しの住民会で何気なく始まった「交換殺人ゲーム」。全員が殺したい人を一人紙に書いて、くじ引きで引き合う…というもの。その日、管理人の死をきっかけに、殺人の連鎖が現実でも起こるストーリーだ。


私もあな番にとてもハマっていて、毎週リアルタイムで観て、夜な夜なTwitterや考察ブログを読み漁っていた。

あな番がここまで話題になったのは、つくり込まれた住人のキャラクター、容疑者の多さと伏線の数、そしてストーリーの複雑さゆえにTwitterの考察アカウントがいくつも生まれたことだと思う。

1.住人のキャラクター
2.キャラクターが多いからこそ生まれる伏線の数
3.Twitter考察アカウントによるUGCの可視化

物語は、約20部屋のマンションで起こる交換殺人ゲームがテーマ。住民会で始めた交換殺人ゲームが現実に起こり、そこから殺人の連鎖が始まる。

ストーリーの中では、交換殺人ゲームと、もう一つのルールで起こる殺人事件が同時進行で進んでいく。ここで、推理のポイントになってくるのが住民たちのキャラクターだ。

画像2

(画像参照:https://realsound.jp/movie/2019/06/post-372799.html

約20部屋、約40人と、あな番は登場人物が多い。普通のドラマだとここまで多いと名前と顔を覚えきれないし、それぞれのキャラを十分に伝え切れないことが多い。

でも、あな番はHuluのスピンオフ『扉の向こう』で、ほぼ全ての住民のサイドストーリーを展開していて、それぞれのキャラクターが抱える生きづらさや、家族の秘密など、その裏側をより深く知れるようになっている。

そして本編だけじゃなく、そのスピンオフにも至るところに伏線が散りばめられていて、そこも通常のミステリー以上に考察が盛り上がったポイントなのかな〜と思う。

毎回放送終了後は必ずトレンド入りするほどTwitterも話題で、数多くの考察アカウントも開設された。伏線も多く、登場人物も多く、複雑なストーリーだったからこそ十人十色の解釈が生まれて、考察がより盛り上がったのもしれない。


このドラマを機に生まれたアカウントはいくつもあったけど、私が一番毎週楽しみにしてたのが、このアカウントの考察。(いろんなSNS勉強会で注目してるアカウントとして紹介した。笑)

※ネタバレを含むので、知りたくない方はツイートを見ないでください。

ドラマの管理人を装った口調で見ているだけで楽しくて、さらに考察も説得力があって面白かった。考察が面白すぎて、ドラマの最終話が物足りなく感じるほどだ。

ミステリーは考察の定番。でも、一人ひとりの登場人物や設定を丁寧につくり込むことで、より余白が生まれて語りたくなるコンテンツになる。そう改めて思ったドラマだった。


最近読んだ本にも、人にシェアしたくなる体験について、面白いことが書いてあった。

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