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サプライズのような出会いを。お店を立ち上げたい理由

「人々のライフスタイルを豊かにしたい」

10年以上前、当時大学3年生だった私は、就職活動のエントリーシートに必ずそのフレーズを書いていた。マジックを使ってそこだけ太字で。誰かの目に留まるように。

でも、そんな小手先のテクニックは簡単に通用するわけもなく、書類選考から先に進める企業なんてほとんどなかったし、本当は就活に対してやる気なんて全くなかった。

当時アルバイトで働いていた企業以上に共感できる企業がなかったことが大きな理由だ。だから私は早々に就職活動を終え(というか辞め)アルバイトから社員登用を目指すことにした。それが2012年の春。

接客の仕事をしていた時、本社で企画に携わる人たちが羨ましかった。私もいつか商品開発をしてみたい、Webのブログ記事を書いてみたい、店舗設計にも携わってみたい。その実態はわからなかったけれど、本社で働く人たちに強い憧れを抱いていた。

お客様と会話するのは楽しい。常連さんの顔が見えると嬉しいし「いつもの」オーダーも頭に叩き込んである。お客様と関係性を深める自分なりのセオリーもある。でも、店頭で1:1を何度も繰り返すだけの日々では飽き足らず、より多くの人に届けるための影響力を持ちたくてWebの世界を目指すことにした。それが2014年の秋。

半年間の職業訓練校を終えWeb業界に転向し、接客の延長線上のような気持ちでSNSを運用するようになり、情報発信の楽しさを覚えた。コンセプトに共感し憧れだったメディアにも幸運なことに出会えて一員になれた。非日常より日常を大切にしたくなり、うつわや日本のものづくりの面白さや奥深さを知った。

うつわ、ものづくり、伝統工芸、古道具、お花など、自分が好きなライフスタイル領域の仕事に携わっている今がたぶん、社会人人生の中でいちばん楽しい。接客時代に抱いていた夢は叶ったと思う。

そして最近、小さな夢が芽吹いた。
自分のお店を持ちたいと考えるようになったのだ。

メディアのようなお店づくり

私がやってみたいのは編集型のセレクトショップ。

営業日は週の半分(3日くらい)でうつわを中心とした企画展を実施、定休日は貸しスペースにしてポップアップやイベントに使ってもらいたい。そんな風に人と人、人とものをつなぐメディアのようなお店をつくりたい。

ただ単に「ものを売る」だけではなく「思想を体験できる」場所にしたい。だから、うつわ、飲みもの、お酒、インテリア、アロマなど、必要以上にカテゴリを分けずライフスタイル雑誌のように暮らしにまつわるアイテムを提案できる場所にしたい。

頭の中にいま浮かぶのはそんなお店像。

リアルならではの体験を

photo by Hikaru Mugita

実際に店舗もインターネットの仕事も経験してみて思うのは、どちらが優れているとかではなく、そのふたつを掛け合わせて、目的に合わせながら最適化することが大切なんじゃないかということ。

オンラインでは広く遠く、オフラインでは狭く深く思いを届けられる。だからこそ、お店という場があることでその効果を最大化できるような気がした。

自分の好みや趣味嗜好は年を重ねるとともに研ぎ澄まされていくしハズレはなくなる。でも、その分自分の好みに寄りすぎて、目に映るもの全てが予定調和になってしまう。だからこそ、予想外の出会いが生まれるリアルならではの体験を提供したいと考えるようになったのだ。(昨今のアルゴリズムファーストの中、インターネットに依存せず届ける手段を持ちたいと考えたことも理由のひとつ。その話はまた別の機会に。)

なにげない会話を持ち寄り関係性を育める場所

photo by Hikaru Mugita

そして、お店を通じていままで培ってきたつながりを、より深く育めるような場にしたい。

なんとなく、インターネットで有益じゃない話はしづらくなってきているし、本音も言いづらくもなってきてる。でも、なにげないつぶやきや発信の中に、その人が大切にしてる価値観が眠っているかもしれない。そんな風に特に有益でもない日々の会話に心が満たされることもあるし、救われることもある。

だから私は、そういう話を気兼ねなく持ち寄れる場もつくりたい。そして、ゆくゆくは同じく場づくりしたい人に場所を提供したりもしたい。だからECサイトではなく最初から場所が欲しいと考えている。

接客業を経験し卒業してから「いつでも行ける」「行けば誰かに会える」心地よさを体感した。私の場合、週休4日にしたいから「いつでも行ける」ではないかもしれないけど、オープン日が少ないからこそ来てくれたお客様とお互いの推しを語り合いたい気持ちもある。

そんなことを最近は暇さえあればずっと考えていて、おぼろげながらも少しずつお店の輪郭が浮かんできてるような感覚。本当に実現できるかはまだわからないし、全然違う方向性に進むかもしれない。でも後悔だけはしないように、できる限りのことはしておきたい。

お店づくりのプロセスは、これからnoteにも定期的にまとめていこうと思う。

記事にするまででもない内容はnoteのメンバーシップ「日々の交差点」のDiscordコミュニティのお店つぶやきチャンネルで発信もしている。このメンバーシップは、私が考えるお店のあり方と共通する部分も多いので、ゆくゆくはメンバーシップとお店をつなぐ取り組みも実現したいと考えている。興味ある方はこちらのnoteもぜひ。

デジタルやAIが急速に進化してる時代だからこそ、人ならではの“温度感“が大切になるし、そういう体験を提案していきたい。

お店づくりの先輩たちの素敵なエピソードを読みながら、自分の思考も育んでいこうと思う。


ありがとうございます。いただいたサポートはうつわの仕入れやお店の準備に使いたいと思います◎