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舞台『クレプトキング 月を見ていたかった兎』

公演から2週間が経ち、配信のアーカイブも無事終了しました。

ということで、ここに記憶としてこの作品で生きた証を刻んでおこうと思います。


ここ何年か、なんだかんだ…年1くらいで子供役が回ってきている気がします。
(昨年は延期になって出られなかった舞台も少年役でした)

年に1〜2本しか最近では舞台やってないのに。。笑

今まで演じてきた子ども役・少年役は
“子供っぽさ”や“あどけなさ”が目立つ役ばかりで。
“子供”ってそういう無邪気さや可愛らしさが必要なんだと思ってた。

でも、今回、子月斗を演じてその感覚が少し変わった気がした。

子供って向き合ってるものが真っ直ぐで、
特に月斗が向き合ってるものは子供の世界ではなくて、
もっと大きくて
もっと遠くて少し薄暗くて。

だから、最初台本を読んだ時は正直少し焦った。

今回の月斗の幼少期では
“子どもを演じよう”と思ったことはありませんでした…

いくつか少年っぽいキャラクターをアニメで漁ったりはしましたが。

現実的に目の前にいる“月斗”への想いを
色んな変換をして演じていたので
もう。ずっと葛藤ばかりでした。

過去と未来、その差が大きすぎて。

でかすぎるんですよ、未来の背中が。

なので稽古では演出の宮城さん、よっちさんをはじめ、皆んなには沢山迷惑かけたと思います…。
ENGのスピード感ある稽古・演出は本当に刺激的で、難しくて、もらうばかりで自分からのアタックが弱かったのが本当に悔しい。

どうやってそこに存在したらいいかがわからなかった。

そう思っていても
劇場に入れば幕が上がる。
それが演劇。

後は必死に戦うしかない。

自分が胸を張って“月斗”を演じるんだ
と思えたのは正直、劇場に入ってからでした。
それまではなんかいつも怖くて。

劇場でやっと
色んな瞬間の温度や誰かの吐く息のリズム、自分の呼吸を目や耳や手の感覚でわかるようになってきて
役者としてどーなんだ…って自問自答、葛藤ばかりでずっと苦しかった。

それでも、皆んなの真剣な眼差しと本当にお芝居を楽しんでいる様子に勇気やパワーをもらっていました。

特に、僕が“子月斗”で居られたのは
アンナ演じるゆきちや
カーラ梅ちゃんや咲雪悠ちゃんのおかげ。

本当に。本当に感謝しかない。

特に梅ちゃんには稽古場で精神的にかなり助けられてました。
振り付けの現場や撮影の現場で一緒にお仕事したことはあったけど、お芝居では初めて。
なんで、あんなに舞台上や撮影現場でアツくキラキラ輝いているのか少しわかった気がしました。
あと、ほんと優しい。
だから、役としてもこの人のために何か返したい、少しでも力になりたい…って思ってた。

あぁー。過去に戻って稽古中の自分に言ってやりたいこと沢山あるなぁ。

もっと色々気付きたかった。もっと早く。って何度も思った。

けど、舞台に立っていた瞬間は

自分が思い描いていた
未来の月斗に、一歩踏み込めた気がしました。
その背中はとても大きいし遠いしあたたかくて手が届かない。
一歩踏み込んでも、その距離はやっぱり縮まることはない。
何度か袖で悔し泣きしかけた。

でも、それが次第に心のエネルギーになって、感情の変換が稽古の時よりスムーズになった。

2日目、3日目くらいかな。

楽屋から舞台へ上がってくるよっちさんの本当に楽しそうな笑顔を見られて、それまで抱えてた不安が消えて。

袖口に立ったよっちさんの背中を見て、僕はこの関係でいいんだって思えた瞬間があって。

過去と未来。

本来、永遠に混じり合うことのない瞬間。

あの時は、奇跡的にその二つの瞬間が隣り合わせになって。

その永遠に追いつかない背中を無我夢中追いかけていれば、いままで越えられなかった目の前のラインを越えられるんだって。

そう思えた瞬間、悔しくて泣きそうだったものが幸せで泣きそうに変わって。

逆に「いかんいかん。子月斗としては、悔しさもエネルギーと思ってたからバランスが崩れてしまう…うぅ。あんにゃろー。」ってなりました。笑

最初はそんな遠い背中しか見てられなかったけど、
目と目合わせて拳合わせて戦えたことが本当に幸せでした。

本当に、ずっと“尊敬”しかないから。

たまたまが重なって、よっちさんがこの作品とのご縁を繋げてくれて。

この作品に出逢えて良かった。

ある日のカーテンコールのコメントの時にもふわっとお伝えしましたが、、

もし、何かのタイミングが変わって

過去だったら出逢えなかった人がいる。

もちろん、今だったから出逢えなかった人もいるかもしれない。

だから、“いま” この作品を通して出逢えた皆様には心から全力で感謝を届けたい。

僕たちには昨年延期になって悔しかった過去があって。

この作品だけじゃなくても、他の現場でも、エンターテイメント全体でもそんな思いばかりしてきた。

だから、過去とか未来じゃなくて

“いま”だから出逢えたことが本当に嬉しく思います。

配信で見るはずだった家族も、2年ぶりくらいに劇場に演劇を観に来てくれた。
これも“いま”だから、だったのかもしれない。

沢山の仲間や

劇場に足を運んでくださった方・配信で観てくれた方
タイムフレームシートで応援してくれた方・SNSで応援し続けてくれた方

みんなと子月斗として出逢えた。

支えてくれて守ってくれてありがとう。

“守られてるだけじゃいられない”
心の底からそう思ってた。

何を返せるのか。何を届けられるのか。
この時代に生きる一人の舞台の上に立つ役者として
改めて考えさせられた大切な時間でした。

心からの感謝と愛を込めて。

改めて、ここでお礼を伝えさせてください。

本当に本当にありがとうございました!!!!!!

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水澄 月斗(過去)役 富田大樹

#クレキン月兎 #舞台 #役者

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