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「冬に子供が生まれる」 佐藤正午(著)


著者七年ぶりの新作長編!直木賞受賞第一作

その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。

現実に起こりうるはずのない言い掛かりのような予言で、彼にはまったく身におぼえがなかった。送信者名は不明、090から始まる電話番号だけが表示されている。

彼が目にしたのはこんな一文だった。

今年の冬、彼女はおまえの子供を産む

これは未来の予言。
起こりうるはずのない未来の予言。
だがこれは、まったく身におぼえのない予言とは言い切れないかもしれない。
これまで三十八年の人生の、どの時代かの場面に、「彼女」と呼ぶにふさわしい人物がいるのかもしれない。
そもそも、だれが何の目的でこの予言めいたメッセージを送ってきたのか。
丸田君は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた──。
三十年前にかわした密かな約束、
二十年前に山道で起きた事故、
不可解な最期を遂げた旧友……
平凡な人生なんていったいどこにあるんだろう。

『月の満ち欠け』から七年、かつてない感情に心が打ち震える新たな代表作が誕生。読む者の人生までもさらけ出される、究極の直木賞受賞第一作!

感想 ★★★(興味があったら・・・)

2017年に「月の満ち欠け」で直木賞を受賞した著者の受賞後第1作と評判の1冊を読んだ。
38歳の丸田という青年がある日「今年の冬、彼女はおまえの子供を産む」というメッセージを受け取る。それが本書のタイトルにもなっており、彼はなぜそのメッセージを受け取ったのか、彼女とは誰なのかという謎を秘めながら物語は進む。物語の第一人称が章ごとに変わるのだが、徐々に登場人物は最初の丸田という青年と小学校からの同級生であるもう一人の丸田、そして中学から同級生となる、佐渡という男性、そして杉森という女性の4人と彼らが通った学校の教師とのやりとりにより展開する。
物語の発端となる出来事が現実的ではないことであることから小説としてはリアルに受け止められない部分もあり、やや理解しにくい面がある。物語の流れとしては興味のあるものだったが、つながりがわかりにくくやや残念な読後感だった。 

2024/03/21更新
この記事を先に読んでいたらもっと理解しやすかったと思う。

週刊文春 3月28日号 「文春図書館」
2024/03/29 #日経夕刊

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