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のらねこ、聞こえてるのに聞き取れないのなんとかしたい

人の言ってる言葉がちゃんと聞こえているのに、頭の中で文章にならない、という経験はあるでしょうか。
音の1つ1つは聞き取れているのに、その意味が理解できない。
にもかかわらず、聴覚検査で問題が出たことなんて今まで1回もない。

それ、ごく一般的にある普通の病気で、聴覚情報処理障害(略してAPD)といいます。
実をいうと日本人にめちゃくちゃ多くて、にもかかわらず自己責任の名のもとに放置されがちな病気だったりします。
軽いものなら健康な人でも疲れたときに出たりします。

かくいう僕も以前この病気を患っており、理解できないことを理解してもらえな状況が何年も続いたこともあって、日常生活にはかなり支障をきたしていました。
今回は、この病気を僕が自力で治したときのやり方を紹介できればと思います――。

いつも見てくださる皆さん、ありがとうございます。
毎日感謝の日々を送っております。
もしくは初めての方、久しぶりの方、見つけてくださり感謝感謝です。
僕は目標管理Webサービス Project Sylphius の開発・運営をしています、TOMCAT HEART の中島です。

人生とはそもそも楽しくないもの、今まで楽しかったことなんてほとんどない、人間は本質的に右往左往しながら必死で生きるもの。
そんなふうに考えがちな人達に足りないものは、生まれついての才能でも、整った顔立ちでも親の資産でもありません。
ただ1つ、“目標管理” のスキルです。
目標が管理されてないから願いが叶わないのだし、当たり前のことですが、目標は管理すればちゃんと叶うんです。

この のらねこに何ができる? では、その目標管理のやり方を覚えていただくため、僕自身がやってきた様々なことなどを、なるべく面白く読めるように執筆してお届けするものです。

現在連載中の、“のら医者に発達障害が治せる?” では、僕が自分自身の心のトラブルに対応した経験などを、これからの人達に一例として紹介する内容になっています。

全体の執筆計画はこちら:
1. 発達障害には治せるものがある
2. ADHD/ADDを治したときの話
3. APDを治したときの話(今回)
4. HSPを治したときの話
5. 字義通り症候群を治したときの話
6. 納得不全を治したときの話
7. いつも通り依存症を治したときの話
8. 他責思考/自責思考を治したときの話
9. アンガーマネジメントを覚えたときの話
10. 無感動症を治したときの話

過去のバックナンバー

**!!注意!!**
当シリーズは、医学的に正しい理論を紹介するものではない点にご注意ください。
あくまで、僕自身が効果があったと感じたものを一例として紹介する内容です。

1. APDの発症パターン3選

人は、様々な理由で他人の言葉などを理解できなくなるもので、その原因は数限りなく無数にあるものです。

ですが世の中には、そのことを理解できない人もいます。
「オレ様がしゃべった」=「相手は理解できて当たり前」という単純図式で生きていて、自分がしゃべったことを相手が理解できないという感覚を、どうしても信じられないようなのです。

「説明したんだからさっさと理解しろよ、早く早く! は~や~く!! なになに? 何が理解できないの? バカなの?」と、とにかく責め立てるように理解を強要してくる人達。
そういう人達を、ここでは仮に ≪焦らせ屋≫ と呼ぶことにしましょう。

発達障害の中では珍しいケースですが、APDは後天的に発症しうることが医学的にも証明されています。
耳にも脳にも何の先天的異常がない人が、ストレスなどを原因として突然人と会話できなくなるのです。
日常的なところでは、ゲシュタルト崩壊なんかも似た原因で起こる疾患だったりするわけで、だからAPDはとりたてて珍しい病気とかではないわけです。

僕の場合は発症から完治まで20年を要したのですが、皆さんの中には、風邪のようにパッとかかって、1週間くらいで治るケースなんてのも考えられるかもしれません。

で、その発症に関わる部分ですが、個人的な経験の範囲だと、APDで悩んでいる人はだいたいそばに ≪焦らせ屋≫ がワンセットでついてます。

上司・夫・妻・友人・知人 などなど、自分が言ったことを相手が理解できないと不機嫌になったり、ときには怒り出す系統の人達。
僕の知らないところではともかく、焦らせ屋がいないのにAPDになった、というケースは、個人的には見たことがないのです。
(つって、別にそんな莫大な患者さんと接してきたわけでもないけどね)

なので個人的には、 ≪焦らせ屋≫ がそばにいることが発症条件の1つなのかなぁと、思ってたりします。

原因1. 実際に聴覚に異常がある

聴覚のみの異常で聞き取れないのはAPDではありませんが、でも聴覚にわずかな異常があることで、APDが助長されることもあります。

かくいう僕も、正直いって耳はそんなにいい方ではありません。
人の言葉が、そもそも音としても聞き取りづらくはあるのです。

ただし聴覚検査で引っかかったことは過去1回もなく、本当にごくわずか。

  • 普通の人がボリューム12で十分に聞き取れるテレビの音が

  • 僕の場合は13じゃないと無理

くらいの感じ。
その差はかなり小さなものなのですが、細かいニュアンスまで正確に聞き取らないと意味が分からない局面では、ところどころ音に雑音が混ざったように聞こえます。

それ自体はAPDの原因ではなくても、これもAPDを助長します。

原因2. 綺麗な発音じゃないと聞き取れない

僕の場合、APDの最大の原因はこちらでした。

昔どこかに “日本語は 1文字=1音 で発声される、世界的に珍しい言語です” みたいな文面があって、これをあまりに過度に信じすぎていたんです。

つまり、音の理解の仕方を間違って覚えたせいで、実際に聴覚に異常をきたしたということです。

たとえば、「おはよう」という言葉があります。
多くの人は、これを “4音節の単語” だと思っているでしょう。

「お」「は」「よ」「う」の4文字がそれぞれ別々に発音され、それが最終的に組みあがって「おはよう」になる、という考え方です。
文法書にだって実際にそう書いてあることもあります。

はい、ぶっちゃけていうと、この「おはよう」という言葉を、世の中の大部分の人は4音節では発声していません

  • 文法的には

  • 4音節で発声するのが正しいと

  • 学者の間では言われている

だけで、そのような文法書通りの発音を日本人は誰もやってないのです。

もし「おはよう」という単語が文字通り4音節の単語であるならば、IPA国際音声記号で表すと /ohayou/ になるはずです。
ですが多くの人は、日常的にこの言葉を /ohyoː/ と発音します。

もっとも特徴的なのは2文字目の「は」で、通常多く発音では母音が欠落します。
その結果「は」ではなく、気の抜けた「ふ」に近い音になるのです。

それが証拠に、いつも通りのサラッとした感じで挨拶するときには、これを「およう」に置き換えてもまず誰も気づきません。
実際にやってみていただいても大丈夫です。絶対誰も気づきません。

無母音で /h/ としか発音されていないため、頭の中の意識だけ「ふ」に変えたところで、音声学的な違いは生じないのです。

んでですね。
僕の場合、この話がなかなか信じられなかったのがAPDの原因でした。

  • 「おはよう」は、本来4音節で発音されるべき言葉である

  • なぜなら日本語は文字数と音節数は完全に一致すると、偉い学者が書いた本に書いてあったからである

  • これを略して「おhよー」「はよー」「よー」などに勝手に変えるのは、正しい発音ではない

  • これらは間違った発音なので、聞き取れなかったことにしてあげた方が本人のためでもある

こんな馬鹿馬鹿しい理屈を、若い頃は本当に本気で信じていたのでした。

加えて僕の場合、通常多くの人が “多少聞き取れなくても臨機応変に解釈している” ということを知りませんでした。

通常多くの人は、友人などが挨拶の際に「よーっす」とか「うぃーっす」「はやー」とか言っても気にしないでしょう。
ですが僕の場合は、こういう挨拶は “汚い言い方” とされて、やると怒られたんです。
まぁ、つまりは、そういう歪んだ教育がまかり通っている地域の生まれだったわけですね。

ですので僕の場合、「おはよう」という言葉が多少違っていても、普通は聞き流してもらえるものだということを “純粋に知らなかった” んです。

それゆえに、その後長い間正しい発音以外がそもそも聞き取れないことに、長らく悩むことになってしまいました。

原因3. 慣れない単語を焦って理解しようとしている

日本人の場合は特に男性に多いんですが、対面でしゃべると会話ができないのに、メールやSNSでは妙に饒舌になる人がいます。
みなさんの方の中にも、心当たりある方いらっしゃるのではないでしょうか。

で、この理由を本人に聞くと、割と高い確率で「対面だと緊張するから」って返ってくるんですね。

でも、それはおかしいです。
対面だろうとメールだろうと、あなたがしゃべっている相手が “人間であることには違いない” はずだからです。

なので対面の場合だけ緊張するってことだと、対面じゃないときは相手を人だと理解できてないことになってしまいませんか?

だってそうでしょ?
緊張ってのは、そもそも人間が人間相手にすることなわけだから。

実際には、メールじゃないと饒舌に会話ができないのは、緊張してるんじゃなくて会話が早くてついていけてないケースの方が多いです。
特に、頭の中の語彙の数にそこそこ自信がある人ほど、口頭会話に使える語彙の数とのギャップの大きさに悩むことになります。

口頭会話に使える語彙というのは、まぁ、当たり前だけど会話しながらでも意味が分かる単語の数で、これは知識として知っている単語の数よりもかなり少なくなるのが普通です。

会話とは、

  • 複数の意味がある単語が、どの意味で使われているか推理する

  • 複数の解釈ができる言い回しを、どの意味なのか推理する

  • それらの推理結果と単語の本来の意味を比較して、相手の発言意図を推理する

こういった高度な情報処理を、リアルタイムでやらなきゃいけないことです。

とりわけ、なまじ言葉をたくさん知ってる人ほど、「え? 今の言葉、どの意味で使ったの?」と悩むケースは増えます。
仮に友達が「今月ギガやばいんよ~」と言ったとすると、なまじ語彙数の多い人ほど、『どの意味のギガなのか』で悩むんです。

口頭会話に使える語彙は、そういう推理作業をやりながらでも認識できる言葉の数です。当然ながら知識として知っているだけの単語よりも、圧倒的に少ないものです。
つまりは、知ってる単語だからって、それをすぐ会話に使えるわけじゃないってことをちゃんと理解できていなかったことも、僕のAPDの原因の1つだったわけです。

とりわけ知識は多いけど口下手な人は、ようするに知識として知ってる単語の数と、会話にも使える単語の数の落差が物凄いことになっちゃってるわけですね。

2. 僕の場合はどうやったのか

原因1. 聴覚の問題への対処法

僕の場合、聴覚それ自体はそんなに極端に悪いわけじゃないことが幸いしました。

実をいうと聴覚に問題があるのは右耳だけで、左右の聴力に差がある状態なんですよね。
(だもんで、音が聴こえてくる方向を言い当てるクイズは、昔から人より得意でした)

どうやって対応したのかってぇと、まぁ単純に、聞こえないときは「ごめん、今なんと言った?」って聞き返すようにしただけです。

APDを患ってる人は、この「今なんと言った?」が言えない人も多いです。

聞き取れない頻度が人よりも多いため、多少聞き取れないくらいは日常的に当たり前になっており、それら全てについて毎回「今なんと言った?」と聞かなきゃいけないとなると、それが毎日毎日何回も繰り返さないといけなくなるからです。
さすがに1日何十回何百回とそんなことしたら、誰も相手にしてくれなくなってしまいます。

ですが、実際にはそれは杞憂です。

「今なんと言った?」を言うときのコツは、会話が始まって比較的すぐの段階で早めに言うことです。
そうすれば相手も、声のボリュームを調整してくれます。

聞こえていないことを相手に伝えないから、実は聞こえてないことが相手に伝わらないし、会話が進んでから告白のように言うから怒らせるんです。
会話の最初の方で言えば、「今なんと言った?」を言うのは1人につき1日1回だけで済みます。

原因2. 綺麗な発音じゃないと聞き取れない問題への対処法

僕の場合は、こちらは YouTube 動画で解決しました。
つまり、しゃべりのプロじゃない、素人さんがしゃべってる動画をたくさん見る、ってことです。

若い頃は、ぶっちゃけ素人動画って見るの苦手だったんですよね。
だって、滑舌が悪くてナニ言ってるのかゼッッゼン分っかんない人メッチャ多いし。
特に若い女性の言葉は、基本ほとんど聞き取れませんでしたし。

ナニ言ってんのかサッパリ分からんノイズ動画を10分20分見るとか、ただの苦行ですよ。苦行。

でもそれは前述のとおり、“僕自身があえて聞き取っていなかった” ことが原因だったわけです。
だって、日本人の99.9999%は文法通りの正しい発音なんかしてないし、むしろ文法書通りにしゃべってる日本人なんて、多分100億人に1人くらいしかいないし、仮にいたとしてもその人はきっと「あいつしゃべり方がおかしい」って周りに言われてます。

「おはよう」は /o/ /ha/ /yo/ /u/ ではなく /oh/ /yoː/ の2音節です。
「いただきましょう」は /i/ /tʌ/ /dʌ/ /ki/ /mʌ/ /ʃó/ /u/ の7音節ではなく、 /it/ /dki/ /mʌʃ/ の3音節なのが現実です。

日本語は、文法書に書かれているよりもはるかに多くの母音欠落があるし、人や状況によって発音が変わったりもします。
「くわしく」なんかも、/kuwasiku/ より /kwsk/ の方が実際の発音に近い表記だったりするのです。

ですから、発音は文法通りじゃないし、それはそういうものと割り切って聞くことで、比較的すぐに慣れました。
もちろんすぐにパッとじゃないですけどね。
3ヶ月くらいかな。気づいたら「この人聞き取れないな」と感じることが少なくなっていたのです。

原因3. 慣れない単語に焦る問題の対処法

で、原因1. と 原因2. を両方ともクリアしたとしても、当然ながら頭の中にそもそもない言葉は聞き取れません。
とりわけ、僕は昔から小説とか好きだったし、知っている語彙数には自信があったのです。

ですが、知ってる単語の大部分を、音としては聞いたことがないということを、意識したことがあまりありませんでした。
その発祥までさかのぼってしっかりと意味は分かっていても、耳で聞いたことがない単語は聞き取れないのが当たり前なのです。

で、この状況を放置するとどうなるかってぇと、文章全体の中の一番の重要単語だけ聞き逃すんですよ。

「じゃ、明日午後8時、新宿#$%&前に集合ね!」

口頭会話の文章の中で一番重要な単語は、いつだって日常生活での使用頻度の低い単語です。
だからAPDの人は、重要な単語ほど高頻度で聞き漏らすんです。

たとえば “軍事侵攻” って言葉は全世界的にめちゃくちゃ重要な単語だと思うけど、こんなの口頭会話でそうそう聞くことはないでしょう。
こんな言葉が日常的に飛び出す社会とか絶対ヤダ。

会社の重要会議の場でそんなことになったら超タイヘンですよ。
「じゃあ、今後は$%&#ということで決定です! 皆さん、しっかりやっていきましょう!」って、みんな理解してるのに自分だけ聞き取れない、なんてことになってしまいます。

だから、一度聞いた単語は “同じ状況になれば次も聞く” ことを前提に、しっかりと耳で覚える意識を持つことが大事です。

つっても、単語なんてもんは「次もあるかな」と思えば自然に覚えられるものなんで、意識さえあれば覚えられますよ。
単語というのは、目で覚えるより耳で覚えた方が記憶の定着率がいいことが知られています。

だから音というのは、「多分2度と聞かないだろう」とか、「自分には関係ない」とか思っているから覚えられないだけなんです。
日本語は重要単語が数千ある難しい言語とか言われたりしますけど、あなたが今すぐ覚えなきゃいけない単語それ自体は、普通に生きる一般人なら数十もないはずです。

3. まとめ

全体的に気合いでなんとかする感じの方法論が多かったですが、でも気持ちがあるのとないのとでは本当に全然違います。

  1. 聞き取れないときは「聞き取れなかった」と言う

  2. 文法書通りじゃない発音に寛容になる

  3. 耳で聞いて覚える

もちろん一瞬でパッとじゃないけど、これらを気をつけたことで、僕の場合は数ヶ月で改善しました。
20年悩みに悩んだのが、気持ちを切り替えるだけですぐ治ったわけですからね。
文字通りキツネにつままれた感じです。

「今だな」と思ったら、試してみてください。

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