のら多言語話者は何が分かる?(6) のらねこ、スラッシュリーディングができない
英文の読み方にスラッシュリーディングってのがありますが、あれ、皆さん簡単にできました?? ネットには簡単って書いてあるんだけど、僕は習得するのに何年もかかりましたよ。。。
「スラッシュ入れるだけだよ」って説明じゃ何も分からん!!
こんにちは。
いつも のらねこに何ができる? を読んでいただきありがとうございます。
もしくは初めましての方もありがとうございます。
僕はエンジニアの中島といいます。
あるとき、苦しそうに生きてる人達はみんな目標管理を苦手だということに気づき、彼らへの解決策の提案として目標管理アプリ Project Sylphius を制作すべく TOMCAT HEART を立ち上げました。
当コラムでも、目標管理のやり方をなるだけ多くの人に届けるべく、僕が自分で計画して自分で達成してきたことを、なるだけ面白く書いてお届けしています。
現在は “のら多言語話者は何が分かる?”と題して、ちゃんと続く外国語学習の進め方を連載しています。
長年趣味で英語・イタリア語等いろんな言語の勉強をしてきた経験を生かし、なぜあきらめずに続けていられるのかの理由に迫っております。
バックナンバーもこちらにございますので、よろしければご覧ください。
1. 単語を覚えただけでは文章は読めない
昔々の大昔、僕がまだ若かかった頃。
「文中にある全ての単語の意味を覚えれば、それを組み立てて文章の意味が分かる」と思っていました。
結論からいうと、この考えは大きな間違いで(当たり前)、単語の意味をその場で全部調べても、文章は全く読めませんでした。
にもかかわらず、英語の教科書・教則本には、最大4語までの英文の読み方しか書いてありません。
英語の場合、以下の5つの文型(およびその倒置型)しか存在しないとされていますよね。
英語以外だと多少違うものの、とりわけヨーロッパ諸語の場合はこのあたりの文型はだいたい同じです。
SVOCそれぞれが1単語で最大4語。
のはずなのに、実際の新聞記事などでは SVOVCSVOCVC みたいなとても長い文章も存在するわけですよ。
今からすればアホみたいな感じですが、分かりやすく嚙み砕いて教えてくれる人のいなかった当時の自分には、本気で悩みの種でした。
ちなみに僕はこの文型という概念を、中学や高校で習ってはいません。
こんな基本的なことをなぜうちの学校では教えなかったのか(先生が手を抜いたのか、当時の田舎では英語教育が遅れていたのか)の理由は、今となっては推して知るべしですが、ともかく僕は大人になってから文型という概念を知ったのです。
しかも、Yahoo知恵袋で「SVOVCSVOCVCは第何文型ですか?」とか聞いたところで、「は?」としか返ってきませんしね。
本当にワケが分かりませんでした。
こんなに長い文章、どう読めばいいんでしょうか???
2. 複雑に絡み合った文章は、区切ることで初めて構文になる
で、SVOVCSVOCVC みたいな長い構文。
まぁ、ちょっと分かりづらいので実際の文章を例示してみると、
たとえばこんな文章だったとしましょう。
はたして、この長い長い文章はいったい第何文型でしょうか。
それを紐解くのに便利なのが、スラッシュリーディングというテクニックです。
すでに英語ができる人には当たり前かもですが、長い文章はそれ全体を1つの塊と捉えていても第何文型なのかは分かりません。
スラッシュでうまいこと区切ることでその1つ1つが節となり、第何文型かが決まってくるわけです。
たとえばこんな感じ。
SVO/VC/SVOC/VC
1 2 3 4
He resolve problem / occurred quickly / when he goes to school traditional / build at 1803.
1 2 3 4
単語1つ1つが "S" "V" "O" "C" のどれに値するかは、単語の意味を覚えていれば分かります。
たとえば "He" は主語(S)、"resolve" は動詞(V)、"problem" は名詞なので目的語(O)ですね。
このときポイントとなるのは、1の節から見ると、2~4の節全体がまとめて1つの "C" に見えるということ。
なので1の節はSVOCで第5文型となります。
同じように2の節から見ると、1の節がまとめて1つの "S" に見えます。
ですが3の節は頭がSから始まっていて2と3の節はつながりがなく、よって2の節は第2文型です。
で、同じように3と4の節も、それぞれが文型を形成するわけです。
とまぁ、このように文章全体を細かく節に分けていくことにより、ようやく教科書通りの翻訳作業ができるようになります。
つまり翻訳とは、最初の段階でスラッシュリーディングを行わないと、長い文章をそのまま訳すのは本質的無理ということですね。
3. スラッシュが2種類必要な人もいる
で、ここから先は人によるんですけど、実を言うと僕は、教科書通りのスラッシュリーディングでは翻訳はできるようになりませんでした。
当時は読解力が圧倒的に足りなかったからです。
なんかね、長い文章を読んでると、だんだんどこで区切るのか分からなくなっていくんです。
なので最初のうちは(本当に最初のうちだけですけど)、“SVO/VC/SVOC/VC”で4つに区切るだけではなく、
最初のSVOの "S" と "V" の区切り
"V" と "O" の区切り
"O" と "C" の区切り
など、細かい単位でも小さなスラッシュを入れてました。
そうしないとどうしても読めなかったからです。
なおかつ、節の区切りにも大きなスラッシュを入れて、それでようやく通常の肯定文が読めるようになりました。
「節」という単位に区切るだけでは読めない人は、もっとスラッシュの種類を増やしてみてください。
ただし、この「小さなスラッシュ」を使う場合、特に英語の場合に注意点があって、
自動詞の直後に前置詞がくる場合: 前置詞も含めて1つの動詞とする
他動詞の直後に前置詞がくる場合: 前置詞を目的語の一部とする
こういう区切り方をしないと意味が通らなくなります。
たとえば "I put on a wear."(私は服を着る) という文章を S、V、O に区切るときは、
I / put on / a wear.
このように、直後の前置詞の後ろにスラッシュを置きます。
これを誤って
I / put / on a wear.
と区切ってしまうと、「私は服の上に(何かを)置く」という訳になり、これは誤訳となります。
ですが、だからといって「そっか! スラッシュは前置詞の後ろなんだ!」とか思ってると、
I / go to / school.
こちらの文章の場合は、この区切り方だと「私は学校をゴートゥーする」となり、全く意味が通らなくなります。
"go" は自動詞なので動詞の直後にスラッシュを置いて、
I / go / to school. (私は学校へ行く)
とします。
このような傾向は英語だけのもので、少なくとも英語以外のヨーロッパ諸語にはこんな変なルールはありません。
(自動詞か他動詞かでスラッシュの位置が変わるのは、僕が知る範囲だと英語だけです。英語以外の言語では、基本的にはスラッシュは常に必ず前置詞の前になります)
4. 僕の場合、スラッシュは3種類必要だった
それから、さすがにこれは自分だけかもしれませんが、、、上記のスラッシュ2個戦法を駆使しても、それでも読めない文章がありました。
長文読解をはじめてすぐの頃です。
特に難しかったのが補助動詞がつく場合。
I have got a pen.
この文章は、ルール通りであればこう区切ればいいはずです。
I / have got / a pen.
なぜなら、英文は「補助動詞 + 動詞」で1つの動詞句を形成するからです。
ですが僕の場合、この区切り方では訳せませんでした。
なんかね、ジーッと見てても全然意味が浮かんでこないの。
なので、長文読解の初期の頃は、こんなふうに区切ってました。
I / have ◞ got a pen.
助動詞と動詞の間に3種類目の極小のスラッシュを入れて、「動詞 + 目的語」を「助動詞から見た目的語句」と見做していたんです。
このような区切り方は純粋に誤りであって、本来は正しく解釈できないはずです。
ですが僕の場合、この区切り方じゃないとどうしてもダメだったんです。
今では長文読解にもだいぶ慣れたので大丈夫なんですが、当時このやり方じゃないといけなかった理由は現時点でも不明です。
まぁ、つまるところは、「先生が正しいと言ったから巧くいく」「間違ったやり方はバツになる」とか、そういうことじゃないってことですね。
間違ったやり方だと分かっていても、どうしても変な区切り方をしないといけないことが(とりわけ初心者のうちは)あって、それはプロには必要のない初心者だけのテクニックということになるんでしょう。
もし、スラッシュリーディングがどうしても苦手だって人は、おかしくてもいいので思った通りに区切って見てください。
案外、間違ったやり方の方が、むしろ翻訳しやすいかもしれません。
5. ここまでやったら節2つまでは読めた
僕の場合、スラッシュを3種類使うやり方を試してみたところ、節それぞれの意味は分かるようになりました。
節1つ1つ単体での意味が分かるようになったことで、節2つまでは読めるようになったんです。
ですが、残念ながら節の3つ以上ある文章はやっぱり読めませんでした。
厳密にいうと読めるんですが、前の文章とのつながりがよく分からず、長くなればなるほど後半の訳がアヤシくなっていくんです。
「あれ、でもそれは結局スラッシュリーディングできてないだけでは?」
と、僕自身も最初はそう思って、とにかく練習を徹底的に心がけていました。
でも、スラッシュリーディングだけをどれだけやったところで、英字新聞は読めるようにはならなかったんです。
長い文章を読むためには、セクションスタッキングというまた別のテクニックが必要でした。
実はこのテクニックには不思議な性質があって、意識的に練習する必要がある人と、そもそも最初から必要のない人に完全にバチッと別れるんです。
別れる理由は常日頃からの脳の使い方に起因するんですが、英語の先生を目指すような外国語大好き人間ほど必要がなく、そうじゃない大多数の人達には完全必須となります。
そのためこのセクションスタッキングは、生徒が必要としているのに、先生には教える意味が理解できないという状況が生まれるんです。
僕自身はテクニックの存在をえみこさんという YouTuber の方の動画で知ったのですが、めちゃくちゃ大事なことなのに名前がなかったので自分で名づけました。
これを実践したところ、、、
ちゃんと長文が読めるようになりました!!🤩🎉🎉🎉
今では英字新聞のニュースが最後まで読めます!
ありがとう、えみこ先生!! 超感謝!💐💐
来週は、僕が長文を読むのに必要だった最後の関門、セクションスタッキングのやり方を紹介します。
なぜこのテクニックが必要な人と不要な人にキッチリ別れるのか、(つまり、英語の練習量が十分なのに長文が読めないあなたの頭がどうなっているのか)その理由を、脳の仕組みも含めて詳しく説明します。
ではまた来週。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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