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【コラム】何のために練習する?【ハーモニカアンサンブル】

家での合奏の練習は、1人だしつまらない!なんて声をよく聞きますが、独奏の練習と合奏の練習では、そもそも意味合いが違います。
独奏は練習せずに上達しなければ、発表会等で自分が恥をかくだけのことですが、合奏では自分が練習をサボれば、仲間に迷惑をかけますし、そもそも合奏にもならなくなります。
なぜなら、合奏は〝足し算〟ではなく、〝かけ算〟なので。例えば5人のアンサンブルで、4人が抜群に上手くても1人が練習をサボっていれば、演奏は簡単にゼロになりますし、間違いだらけで耳障りな不協和音になれば、むしろマイナスにもなるわけです。
独奏は自分のために練習しますが、合奏は自分のためだけではなく、大切な仲間のため、愛するグループのことを想って練習に励みましょう。(^^)

1991年、デトロイトでのハーモニカ世界大会、日本を代表する大御所の方々5人、森本惠夫さん(クロマチック)、斎藤寿孝さん(クロマチック)、寺澤博義さん(複音)、平井武さん(バス)、そして我が師匠・大矢おじちゃん(大矢博文、コード)が即席でアンサンブルを組んでコンクールに挑戦してましたけど、それぞれが忙しい中でやっぱり相当練習してましたよ。

豪華メンバーの「ファンタスティック・ハーモニカ・アンサンブル」 左から 、大矢博文、森本惠夫、平井武、寺澤博義、斎藤寿孝(敬称略)

5人が集まって合わせられるのも本番までそもそも数回だけですから、その時が効果的になるよう、個人練習も各々がかなりやってるのは明らかでした。
あれほどの大先生方でも1つの合奏を完成させるのに無限の努力を重ねている姿を間近に見られて、私も大いに刺激をいただきました。

結果、そのコンクールではロッシーニ作曲の歌劇「セビリアの理髪師」序曲を演奏して、見事に念願の優勝を果たすのですが、その時の熱演を以下、ユーチューブでぜひご覧くださいませ。

ちなみに、世界大会のコンクールでは、公平性を保つために演奏後の拍手は禁止!と一応アナウンスされるのですが、そんな中で会場が総立ちのスタンディングオベーションとなりましたし、そもそも審査員の皆さんが率先して⁈ 立ち上がり、拍手をしてしまう程の演奏だったのでした。笑笑

コンテスト会場にて 左から 、大矢博文、寺澤博義、森本惠夫、斎藤寿孝、平井武(敬称略)

(2024.4 ハーモニカライフ104号掲載内容に加筆)

吉田俊輔
-Profile-

伯父と甥と姪のハーモニカアンサンブル「オジョイメイ・トリオ」のバスハーモニカ奏者であり、コンサートの企画、構成を担当。
老若男女問わずに誰もが楽しめるステージで、ハーモニカの魅力を伝えている。日本で開催されたハーモニカの国際大会では裏方を務め、海外のプレイヤーとの交流も深い。
コンサート情報を始め、ハーモニカに関するご質問は、何でもお気軽にどうぞ!

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