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コロナワクチン株比較(IPO時幹事証券会社、時価総額)

成長株ではなく、先週盛り上がったコロナワクチン株を比較してみます。今回は時価総額とIPO時幹事証券会社についてみてみます。

コロナワクチンそのものの会社は、マイナーなものを除くと、MRNA, BNTX/PFE, SNY/GSK, NVAX, JNJ, INO, VXRT, ALTなどがあります。このうち、PFE, SNY, GSK, JNJは大手製薬会社であり、コロナワクチンに対するインパクトはそこまで大きくないので、リスクをあまりとりたくない人に向いています。また、他の事業の影響の分析も必要となります。そこで、ワクチン開発の影響の強いMRNA, BNTX, NVAX, INO, VXRT, ALTを取り上げます。

IPO時幹事証券会社

大きく分かれると、最近IPOをした会社MRNA2018年、BNTX2019年、VXRT2019年、ALT2017年(ただし、BNTXはドイツの会社でADRへの登録の年数)と1990年代IPOのNVAX1995年、INO1998年にわかれます。このうち、前者のグループのIPO時幹事証券会社をみてみましょう。

<幹事証券会社>
MRNA:Morgan Stanley、Goldman Sachs & Co. LLC、J.P. Morgan BofAなど
BNTX:J.P. Morgan、BofA Merrill Lynch、UBS Investment Bankなど
VXRT:H.C. Wainwright & Co.、CIM Securities, LLC
ALT:Roth Capital Partners

幹事証券会社がどこかで、IPO時のストーリーの魅力度がある程度わかります。MRNAは素人が見ても、錚々たるメンバーです。BNTXもまずまず。VXRT, ALTは、どこ?素人にはわからないレベルです。

ちなみに、SaaS界隈で出てくるZMはMorgan Stanleyなど、LVGOもMorgan Stanleyなど、CRWDはGoldman Sachs & Co. LLCなど、すべてピカピカです。それ以外もSaaS銘柄はMS, GSが中心です。ここから、VXRT, ALTのIPO時の期待値がよくわかります。バイオ系なのでR&D結果次第ですが、COVID-19がなければこれほど短期に脚光を浴びなかった会社です。

時価総額比較(2020/7/17終値現在, 1ドル=107円換算)

MRNA:35.211B (約3.7兆円)
BNTX:19.333B (約2.0兆円)
NVAX:8.245B (約8,800億円)
INO:4.264B (約4,500億円)
VXRT:1.718B (約1,800億円)
ALT:619.391M (約660億円)

時価総額でみると、すでにMRNAは約3.7兆円となっています。これは日本でいうと、アステラス製薬3.2兆円を上回り、結構な規模まできています。続く、BNTXも塩野義製薬1.9兆円と同じ規模となっています。一方で、VXRT, ALTは1,000億円前後です。ワクチンの開発フェーズについても、前述のIPO時の期待値も含めて当然の時価総額の差ですが、一方で、この規模の株価を数倍にするのに必要な資金力もMRNAやBNTXよりもかなり小さいです。すなわち、開発が進んだ時や人気化した時の株価の上昇余地がまだまだ高い可能性があります。ここらへんがここ1ヶ月でVXRT, ALTの株価が約7倍,約4倍とかに化けている理由になります。

コロナワクチン株は、開発の成功確率とそこから生まれるだろうキャッシュフローから予測されたバリエーションによって動かされているというよりも、投資家のコロナワクチン株へのその時々の印象で動いている感じがします(あくまで個人的な感覚)。期待値が高いMRNAやBNTXが結果を出していくことで上昇している可能性もあります。一方で、時価総額をみると、VXRT, ALTはすでに上がり過ぎで、もうこれ以上、上がらないかというと、必ずしもそうは言いきれません。おそらく開発に関する株価ニュースに加え、投資家の印象について、それはワクチン開発の期待だけでなく、株価上昇への期待値でどう変わるかをどう読み切るかに、今後の投資がかかっていると思います。




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