2時間で完結。バックオフィス部門のための生成AI活用勉強会② プロンプト奮闘編
▶前回までのあらすじ
「じゃ、あとはよろしくね。」
ある日ミーティングの席上で、上司のブチョー殿は、私にそう言い残し静かに部屋を出て行った。
こんな感じで始まった「予算ゼロ・手弁当の生成AI活用プロジェクト」。私はあらゆるところから情報を集め、勉強会のストーリーを組み立てていた。
社員に対して生成AI活用のに意味付けから始まり、AIとは? 生成AIとは?といった感じでスライドを作っていった。
期限まであと1か月。社内の同じ部署とはいえ、役に立つ内容にしたい。
そんな想いで始めた一人プロジェクトだったが、いきなり大きな壁にぶち当たったのである。
「プロンプトは結構難しいぞ」
生成AI最大の難敵である「プロンプト」をどう理解してもらい、どうやってスキルアップしてもらうか、実際の勉強会の流れをnoteで再現してみました。
1.プロンプトとその重要性
前回、プロンプトについて以下の3つのポイントを挙げました。
私が特に重要だと思うのが③の部分。コンピュータを相手にするのではなく人を相手にするつもりで生成AIを使いこなすことが成功への近道なのです。
2.プロンプトの基本パターンを理解しよう
プロンプトにはいくつかの特長とパターンがあります。私のバイブルである名著「生成AI導入の教科書」では、プロンプトを以下の様に整理しています。
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①質問/アドバイス
「分からないことを聞く」という検索に近い使い方です。しかし、残念なことにこの使い方だけでは、あなたの超優秀な部下の能力を持て余してしまいます。初心者の方はこの間違い(間違った使い方ではありませんが)を犯してしまいます。
実際に上記プロンプトを入力してみましょう。どんなアウトプットが返ってくるでしょう?それはあなたが期待した通りの回答だったでしょうか?
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②-1.文章の作成
あなたの超優秀な部下(生成AI)の能力を発揮するには、上記①に加えて、「具体的にアウトプットしたい成果物を指示してたたき台を作ってもらう」という指示を与える必要があります。
初めて生成AIを触れる社員の方には、このパターンだけでもフル活用すればかなりの効果が得られるはずです。
あなたが今まで頭を悩ませながら作っていたメール、企画書、マニュアル、業務要領書、説明会資料など。超優秀な部下である生成AIがたった数分でいい感じのたたき台を作ってくれるのですから。
私はこれを、短い指示で新たに文章を作成してしらうので「0→1パターンのプロンプト」と呼んでいます。
このパターンのプロンプトを書く時の注意点は以下の3点です。
メール、記事、論文、企画書などの具体的なアウトプット名を指示する
曖昧さは敵。プロンプトの最後は「~を作成して下さい」で締める
生成AIのアウトプットはあくまでも「たたき台」なので修正は必須
理屈では分かりにくいので実際にデモでやってみましょう。
3.実際にやって見せよう(デモ)
もう一度、実際に上記プロンプトを入力してみましょう!今度はどんなアウトプットが返ってきましたか?
なるほど、かろうじて資料の構成と目次案が返ってきましたね。しかしこれではまだ内容(個々のページの説明内容のコンテンツ)がありません。どうしたら良いでしょう?
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②-2.文章の作成 (追加で指示を与えよう)
そんな時は追加の指示を出します。生成AIは、一回の指示で期待する回答や成果物を出すことができますが、それには生成AIの振る舞いを理解したうえで「プロンプトを正確かつ詳細に書く」必要があります。
これ、非常に高いスキルが必要です
だから初心者の方は「対話方式で欲しい情報を少しずつ小出しでもらう」をお勧めします。
という事で以下の様な追加の指示を出します
あれ?なんか違う..
優秀な部下にはこちらの意図が正確に伝わらず、生成した内容をクリアしてしまいまた最初から別の説明分を提案し始めてしまいました。
依頼する側が、最初の提案に対して「その内容はOKです。次はそのあなたが提案してくれた①②③の内容の説明を書いて欲しい」と依頼したつもりが、依頼された部下は、「続けて」という指示から、また一から資料を作り直してしまったのです。こういう事って現実世界でも良く起こりませんか?
生成AIに言わせると、「指示の仕方が良くない」のです。
難しいですね。
という事で、気を取り直して、もう一度指示を出しなおしてみました。
すると以下の回答が返ってきました。
このような感じで、現実社会で部下と対話をする感覚で、生成AIに対して指示を出し、それを繰り返すスタイルで欲しいアウトプットを引き出していくと良いでしょう。
3.【プロンプト実習】やってみよう!
上記のようなプロンプトのパターンの解説とプロンプトの重要性を説明したら、実際に受講生にプロンプトで指示を出してもらいます。
そして、最初は間違ってもいいから自由に、思いついたことを入力してもらいましょう。
何を指示したらよいか迷って手が動かない人には、以下の様なサンプルを提示してあげると良いでしょう。
4.【宿題】実際に業務で使ってみよう!
受講者には、勉強会の中で実習の時間を設けて、実際にプロンプトを書いてもらいますが、1時間枠の中では「はじめの一歩」しかできません。
そこで、2週間後の勉強会(応用編)に参加するまでの間、自分の業務で生成AIを使ってもらう事を宿題として出します。
業務時間内で自分ができるタイミングでできる範囲で触ってもらいます。
やった内容と履歴を2週間後の勉強会(応用編)で参加者で共有するために、「実習記入シート」を用意します。
2週間の間でどれくらいチャレンジしてくれるか、楽しみに待ちましょう。
そして受講者の方には、時々声をかけてあげるなどのコミュニケーションをとるようにしましょう。
楽しみながら、一緒にスキルアップする感覚を忘れないように!
▶実習記入シート
実習や宿題用に使えるワークシートを用意しました。
▶参考書籍
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