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ITストラテジスト受験記録 5(ラスボス論文編)

💮合格まであと60日💮

令和3年度にITストラテジスト試験(以下、「ST試験」)を受験し、奇跡?の一発合格を勝ち取るまでの苦難の道のりと生々しい記録の第5回目。今回は、最後のヤマ場である論文試験対策「ラスボス論文編」をお届けする。


1.最後の関門 論文試験

ITストラテジスト試験のヤマ場であり醍醐味が午後の試験だと書いたが、最後の午後II 論文こそが最大の難敵なのである。早速「午後II」の試験概要を説明しよう。試験要項には以下の通り。2時間の時間制限の中で、問題を読んで理解して、自分の考えをまとめて、3000文字の原稿を完成させなければいけないので簡単ではない。

試験時間 120分
問題 3問。そのうち1問を選択して答える。
1つの問題につき設問が3問用意されている。
設問ア 800文字以内
設問イ 800文字以上、1600文字以内
設問ウ 600文字以上、1600文字以内
3つの設問に全て回答しなければダメ
3つの設問の回答に矛盾があったらダメ

自分が受験した令和3年の問題を見てみる

まず最初にアンケートに答える必要がある。「え?論文だけじゃなくてアンケートもあるの?飛ばしちゃっても良くね?」と思いたくなるが、このアンケートの記入もしっかり採点対象になるので書かないと合格できない。
ここでは自分の経験や実績、バックグラウンドを答える。ITベンダーの営業なのか、SEなのか、コンサルタントなのか、はたまた事業会社の情報システム部門なのか、IT戦略企画や業務システムの刷新などの企画構想や要件定義にどの程度かかわったかなどを記入する。採点者は、このアンケートの内容で受験者の業務経験を把握し、論文で書かれている内容の一貫性や具体性を見極めているのだ。


2.出題された問題と解答のポイント

1.デジタルトランスフォーメーションを実現するための新サービスの企画
2.個別システム化構想におけるステークホルダーの意見調整について
3.異業種メーカーとの協業による組込みシステムの製品企画戦略について

1.のIT戦略の企画立案系はITコンサルやITベンダーの営業の実務経験が生かせる問題である。2.の個別システムの刷新や新規システム化構想は、事業会社の情報システム部門やITベンダーのSEの業務経験が生かせる。自分は幸いにも両方の実務経験があったので、業務知識や経験が豊富な問題を選択することができた。本番の試験では、2を選択した。

「個別システム化構想におけるステークホルダーの意見調整について」の設問は以下の通り。

設問ア)
あなたが携わった個別システム化構想において、背景となった事業戦略、事業目標、変革の概要、ステークホルダーについて800字以内で述べよ

当時、自分は情報システム部門と、新設されたDX推進部門を兼任し始めたばかりの頃だった。さらに1年前からDX推進部門の設立に向けた準備をし、経営会議にDXプロジェクトの概要と、個別システムの全体最適化の必要性をまとめていたのでその経験がドンピシャではまった。解答は設問の通り、事業戦略、目標、変革に関する記述を本文から読み取り、自分の経験を踏まえてあるべき姿を具体的に提言する。

設問イ)
上記個別システム化構想において、ステークホルダー間でどのような意見の相違があり、どのように調整をしたか、さらにその過程度どのような工夫をしたかを800字以上1600で字以内で述べよ

正直これは実際の業務経験をしないと答えるのが難しい問題だ。自分は事業会社に入社して3年間で事業部門との調整の難しさを散々経験していたので、ここもその経験を元に回答できた。うろ覚えだが以下のような内容を書いたと思う。
①そもそも事業部門側にシステムを知っている人がいないので言葉が通じないため、推進役の管理職(部長課長レベル)にその説明と勉強会からスタートし知識レベルと理解を促した
②次にシステム化の前に「業務がどう変わるのか」を現状調査して現場のキーマンに説明、腹落ちさせた。
③最後に、担当役員、事業部長にはコストとリスクを丁寧に説明し了承を得た。
こんな感じの骨子を自分の経験を踏まえて指定文字数に収まるように解答する。

設問ウ)
上記ステークホルダーの意見調整の結果を反映した個別システム化構想に対する経営層の評価はどうだったか、またその評価を受けてあなたが改善したことを600字以上1200字以内で述べよ

最後の設問では、経営層に対するプレゼンの評価とその後の改善点を問われるため、経営会議や社長へのプレゼンを経験していない人にとっては敷居が高い。しかし経営者目線で物事を考えてまとめる事を日ごろから意識し訓練していれば解答できるはずだ。経営者目線では「売上増加に貢献する仕組みなのか」「売上増加しないのであればどう言う事業課題を解決する仕組みなのか」「それはどれくらいの時間軸が必要か」などの視点を盛り込む必要がある。


3.合格論文を書くためのポイント

最後に、論文対策の参考書であるに「ITストラテジスト 合格論文の書き方・事例集 」の中で、自分が特に重視した「合格するために最低限必要なポイント」について抜粋する。

◎出題者の趣旨に沿った解答を書け
問題文の「ITストラテジストは、●●の観点で●●をする」「ITストラテジストが●●することが重要である、求められる」という記述に注目し、この観点を必ず解答に反映すること。無視すると出題者の意図に沿っていないと判断される。

◎一貫性かて具体性のある論文を書け
前の設問と矛盾した解答(一貫性がない)や、自分自身の業務経験が乏しく、ネットで調べた情報を思い出しながら書いてしまう(具体性がない)。このような論文では合格できない。経験がなくても一貫性と具体性のある論文にすること。

◎受け売りの知識ではだめ。経験がなければ無いなりの解答を書け
実務経験で経営陣へのプレゼンの経験がなかったり、SEの中には顧客提案資料の作成に携わった経験がない人がいるが、経験がないと合格できないかと言うと、そうではない。SEであれば技術的な観点での課題抽出や問題提議を展開すれば良い。

◎時間配分は事前に決めて、時間厳守
午後I同様に綿密な時間配分を決めてその通りに進めることが重要。勝負所は「問題文読み、全体構想を書く【20分】」。ここで解答の骨子がまとまるかどうかが勝負の分れ目となる。

  • 氏名受験番号記入、アンケート解答、解答する問題決め【5分】

  • 問題文読み、全体構想を書く【20分】

  • 設問解答① 800字【20分】

  • 設問解答② 800字-1200字【30分】

  • 設問解答③ 600字-1200字【30分】

  • 解答見直しと微修正【10分】

  • 予備 【5分】



試験対策編はここまで。最終回は試験当日の過ごし方から発表までを書いていきたい。
(続く…)

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