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夜はいつでも回転している

99夜 Changes


深夜、特に目的もなく車で走り出そうと愛車が停まっている立体駐車場の中を歩いていると、音楽が聞こえてきた。聴いたことがある曲だ。デヴィッド・ボウイが歌う宇宙飛行士についての曲だったと思う。有名な曲なのにタイトルが思い出せない。奥にある銀色の車から聞こえてくる。音からするとカセットテープかもしれない。誰かが乗っている。通り過ぎる時に横目で見ると宇宙服を着た男だった。宇宙服の中で男は口を動かしている。歌を歌っているようだ。宇宙服の男は車から出てきた。こちらに気がつくと歌うのをやめてとても驚いた顔をしている。多分こちらも妙な顔になっている。すれ違いざまに男は「そんなだったかな〜」と呟いた。振り返ると男は重力が軽くなっていくような足取りで立体駐車場から出るとゆっくりと高く飛び上がり夜の中へと消えていった。いつの間にか街灯も住宅街の明かりも何もない暗闇に包まれていた。立体駐車場だけが孤独で小さな惑星となっていた。


                                                                                    End

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