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京の町寺から京都を盛り上げる「とまり木プロジェクト」



ごあいさつ

はじめまして。
佛現寺 副住職の油小路と、株式会社Gns代表取締役の渡邊です。
私たちは、京都の中京区の佛現寺で【とまり木プロジェクト】を立ち上げ、活動しています。


代表的なイベントに、お寺で日本酒を楽しむ「てらのみ」などがあります。現在、様々な方々の応援の下、少しづつ活動を拡大しています。

今回は【とまり木プロジェクト】についてお話ししたいと思います。

・とまり木プロジェクトとは何か
・我々がなぜこのプロジェクトを始めたのか
・どういう想いで活動しているのか
・何を成していきたいのか

これらを知っていただけると幸いです。

とまり木プロジェクトとは?

佛現寺がいろいろな人の人生における「とまり木」となるプロジェクトです。

これから羽ばたく準備をする場。
飛び続けた後、一休みする場。
ただただ、ほっこりゆっくりする場。
そして、いつでも帰ってこれる場。

佛現寺をそんな場所にしたいという想いで、「とまり木プロジェクト」という名前をつけました。

2022年1月からスタートし、2023年5月20日現在、約1年半の活動を経て大きく広がってきました。

てらのみ、お寺マルシェ、子ども商店など・・・
様々な方々の集う場所となりつつあります。

また、京都で副業や起業をしたい方々が最初にイベントを行う場としても活用いただいており、共にイベントの企画、運営を行ってきました。

単なる「お寺の場所貸し」ではなく、イベントを行う方の想いや、とまり木プロジェクトの想いを共有した上で、開催を行っております。

とまり木プロジェクトの始まり

このプロジェクトの始まりを語るには、発起人である2人、油小路と渡邊の関係性を説明しなければなりません。

油小路と渡邊は小学校からの同級生です。
同級生の中でも最も仲が良く、毎日遊んでいました。

左:油小路    右:渡邊

しかし中学への進学で進路が分かれ、そこから会うことも少なくなり、各々の人生を歩みます。


発起人1:元銀行マンの主夫坊主、油小路

油小路は、現在元銀行員・子持ち主夫(五歳男児)・学生という肩書きをもつ33歳僧侶です。

生まれも育ちも京都という、生粋の京都っ子です。
キリスト教の中高大一貫校へ進学したり、地元金融機関に入職したりと、いろいろなまわり道を経験し、不思議なご縁で今は実家のお寺「佛現寺」で副住職として活動しております。

「仏教おもろ!仏教ってまだまだ捨てたもんやないやん!」

まわり道のように思われた自身の人生が今になって、仏教の魅力を私自身に教えてくれます。

そんな想いを持ちつつも、現在のお寺や僧侶の在り方に疑問を持ち、
「なんかしたいけど、どうしたらええんやろ、、、」
と、子育ての傍ら悶々としておりました。


発起人2:元役者のIT社長、渡邊

一方渡邊は、京都の高校を卒業して役者を目指しました。
17歳から4年間大阪で活動した後、21歳から上京。
25歳まで役者の活動を行います。

7年間役者としての活動を行っていましたが、25歳の頃父親が病気で倒れて植物状態となり、役者の道を断念します。

植物状態の父を目の当たりにし、人生を見つめ直し「死ぬまで生きる」と決意します。
そして「起業」という形で自分の人生に再度挑戦し、2020年7月に株式会社Gnsを設立しました。

当社はWebやアプリを開発するITベンチャー企業で、本社は東京にあります。
2年間東京のみで活動を行いましたが、「もっと視野を広めたい」「できることを増やしたい」という想いで、2022年から京都に支店を設置し、東京・京都の2拠点活動を開始しました。


小学校以降は別々の進路に進み、各々の人生を生きていた我々が、なんとも面白い流れで再会したことがきっかけで【とまり木プロジェクト】が始動しました。

この【とまり木プロジェクト】のきっかけは、2022年1月2日の新年会にて、油小路の愚痴から始まります。

油小路の愚痴

「葬式仏教、坊主丸儲け、生臭坊主、、、」
仏教や宗教、坊さんに対する世間一般のイメージはあまりよくないものが多いと感じています。

元銀行員であるがゆえに、その思いや見え方は客観的に理解できます。
油小路自身もそう思っていったこともあります。

そして、その良くないイメージを植え付けたのは、教えや想いを伝えきれていない寺院・僧侶の責任も大きいと感じています。
油小路自身もその当事者のひとりです。

そんな想いを持っているからこそ、本来の仏教の教えや寺院・僧侶の在り方を問いたいと感じていましたが、頭の中にあるのは以下のような不満ばかりでした。

  • 仏教は、現在の生活の中では異質なものになってしまった

  • 一般の人は仏教に触れる機会がほとんどない

  • 常にお寺の門は閉ざされ、そこにお寺があることを多くの方々は知らない

  • お葬式などでいただくお布施には、相場というものがある。これは本来の形ではない

  • お寺の仕事といえば葬式や法事しかない。お寺は本来お寺のある地域の、生きている人たちのハブになる場所であり、存在だと思う

語りだすと止まらない現状への愚痴。
そして同じくらい出てくる「できない言い訳」。

ふつふつと沸き起こる「なにかしたい」熱量と、そこに蓋をする現状維持バイアスのかかった言い訳の数々を渡邊に投げかけました。

愚痴が「やるべきこと」に変わる瞬間

油小路の愚痴は、酒の場でのただの雑談として口にしたものでした。
しかし、渡邊にとってそれらは実現すべきことのように感じられました。

・仏教は、現在の生活の中では異質なものになってしまっている
→仏教とは、〈いまを生きる”わたし”〉に向けられたものであるはずだ。

・一般の人は仏教に触れる機会がほとんどない
→まだまだ仏教って捨てたもんじゃない

・常にお寺の門は閉ざされ、そこにお寺があることを多くの方々は知らない
→お寺を開き、さまざまな人のご縁と創造が生まれる空間にしたい。

・お葬式などでいただくお布施には、相場というものがある。これは本来の形ではない。
→お布施は料金ではない。僧侶は職業ではない。お布施を本来の意味を思い出す、お布施の完全自由化を目指したい

・お寺の仕事といえば葬式や法事しかない。お寺は本来お寺のある地域の、生きている人たちのハブになる場所であり存在やと思う
→お布施に頼らない寺院運営、事業性を持った寺院運営を目指したい。

愚痴はそれぞれ、「やるべきこと」「目指す姿」に変わっていきました。

そして、最後に渡邊から出たのは
「ほな、今年からそれやろ!」という言葉でした。

呑みの場で出た愚痴を、「やるべきこと」を、実際に実現しよう!
ここから【とまり木プロジェクト】の種ができました。

現状の不満や愚痴は、自分で「解決しよう」と決めた時に目標や夢に変わる。これまでの活動を経て、我々はそのように感じています。

とまり木プロジェクトの目指しているもの

このように同級生同士の呑みの場での愚痴から始まったプロジェクトですが、成したいことは多々あります。

  • 「仏教って捨てたもんじゃない」を届ける

  • 老若男女、様々な世代の人や想いが集う場所、カラフルなお寺にする

  • さまざまな交流と創造が生まれ、地域のハブとして機能させる

  • 京都に「佛現寺」があってよかったと感じてもらう

  • 佛現寺が町寺のロールモデルとなり、同じように門を閉ざしてしまっている京都の町寺の活動を活発にし京都を盛り上げていく

  • 仏教、お布施の本来のありかたを問う

  • 諸法無我で諸行無常な人生を生きてゆく

  • 携わる人はもちろんのこと、我々も「挑戦」を楽しむ

これらを成すために、油小路が『ビジネス坊主』として活躍していくことを目指しています。

ビジネス坊主とは、文字通りビジネスを行うお坊さんです。
本来、ビジネスとは為したい目的、事業目的を実現するための活動のことを指します。
ビジネスのひとつの形として、価値の対価としてお金をいただくこともあります。

価値の対価としてお金をいただくことは、ビジネスにおいては当然のことです。
しかし、一般的には「お金を稼ぐ」というワード自体があまり良い印象を与えないことも多々あります。

それは、ビジネスが、お金が悪いのではなく、その人の目的や手法・心のところに邪なものがあるだけです。

お金は、ただの価値基準のひとつの物差しにしかすぎないのです。

私たちは、このビジネスの在り方やその受け止め方、価値観にアプローチを行ってゆきたいと考えています。

お布施だけに頼らない、事業性を持った寺院運営を行う。

人が必要とするものを、世の中に必要とされるものを提供する。

そしてその対価として、ありがとうの気持ちとしてお金をいただく。
ボランティアではなく、ビジネスを行うことを我々は大切にしています。

世の中に価値のあるものを生み出し、事業性を持った寺院活動を行うからこそ、本来のお布施のスタイル(お気持ちをいただく)を貫き通して行きたい。

またこの活動を、佛現寺だけでなく、京都の普段は門を閉ざしている町寺にも普及させていきたい。
観光寺院ばかりでなく、町寺からも京都を盛り上げていけるようなロールモデルとなってゆきたい。

そのような想いで、【とまり木プロジェクト】を進めていきます。

おわりに

これまでは、まず多くの方に佛現寺に足を運んでもらうをモットーにイベントをメインに行ってきましたが、これからはより事業性を高めた活動も行って行きます。

必要とされる、価値のあるものを提供する。

とまり木プロジェクトの強みは、人のご縁を活かして活動の幅を広げていけるところにあると感じています。
2022年5月にスタートした「てらのみ」も、参加いただいている方々が今の「てらのみ」の形を作ってくださったと感じています。
そしてこれからも「てらのみ」はどんどん変化してゆくでしょう。

より価値のあるものへ。
より多くのご縁を繋いで。

そのためにも私たちは、日々率先して挑戦を続け、とまり木プロジェクトが大きくなってゆくよう精進して行きます。

今後とも皆様のお力添えのもとより良いものを作って参りますので、何卒よろしくお願いいたします。

なまんだぶ。

佛現寺副住職 油小路
株式会社Gns代表取締役 渡邊



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