[コント/Black]ユーレイ警報
C面(コント)
「古代バビロニアの粘土板に、ユーレイのことが書いてあったそうだ」
「ニュースでやってたね。紀元前千五百年とか」
「ユーレイって、実在するのか?」
「脳の中の幻影だって話もあるけどね。でも、つきつめれば、この現実世界も脳にとっては情報でしかないんだし、その意味では、ユーレイだけを否定しなくてもいいんじゃないかな」
「あのニュースには、出ないようにする方法も書いてあったな」
「孤独なユーレイ同士の縁談をまとめる、てやつだね。
ボクね、今年のお盆にそんな夢を見たんだよ。亡くなった先輩が電話をかけてきて、パートナーが出来たって知らせてきたんだ。あれは、究極の『オレのことは心配いらん』メッセージだったと思う」
「じゃあ、聞くが、オレのような独り者はユーレイのようなものか?
死んだ方がマシだっていうのか?」
「だから、死んでも孤独だと迷うんだよ。今、話したばかりじゃん」
「じゃあ、どうすればいいんだよ。ハゲでデブで歳食った文無しだぞ!」
「化ければ?」
生きてる間に化けられないと……
*** ***** ***
B面(Black)
「チョーカシボーって知ってる?」
「聞いたことあるけど、知らない」
「例年より増えてる死亡者のこと」
「増えてんの?」
「かなりね。原因はなんだと思う?」
「大災害も起こってないし、やっぱりロロナ?」
「ロロナはその4分の1くらいだね」
「…………」
「ごめんね。アンタを責めてるんじゃなくて、亡くなった人の多くも自分がどうして死んだのか、わかってないと思うの。死んだことにも気づいてないかもしれない」
「…………」
「ユーレイ、間違いなく増えるよ。
遺族も納得してないからね。両方が引き寄せ合うんだ!」
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