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[幻聴ラヂヲ]新しい「ふるい」

 どこの星の話かわからないが、他人事とは思えないところがあって、つい聞き入ってしまう。
 もちろん、オレはバカなので、話の一部しか理解できない。しかも、誤解している可能性も相当ある。そのへんは自覚しているので、すぐには反応しないようにしている。
 しばらくして、地球のニュースを見ているときに、そういえば似たような話があったと思い出されたときに、ちょっと注意する。
 といって、出来ることなどほとんどないのだが……。

「サクシュ」という言葉が出てきた。しかし、そこには「あの頃は、まだマシだった」というニュアンスがあった。
 かつては、人間には利用価値があった。低賃金で雇用すれば、たくさん雇えば雇うほど儲けることが出来た(※「障がい者」という定義はその時に生まれた。雇う価値が無い人間に対する差別がその時に生まれたそうだ)。

 しかし、単純労働は機械でやれるようになり、ホワイトカラーと云われていた仕事もコンピューターによって置き換えられ、さらには専門的な仕事も目下、次々にAIによって代替されつつある。
 現時点でも、約半数の人間は不要だそうだ。雇っても利益が出ない。これが五十年後には、5%程度で十分になるらしい。
 つまり、95%の人間は利用価値が無くなるということである。ベーシックインカムの話が出てきた背景には、そんな事情があるらしい。
 なぜ、生活保護ではいけないのか?
 生活保護はごく一部の人のための制度として設計されている。コクミンの過半数に所得がなくなることなどまったく想定していない。要するに、生活保護の適用者を増やすお金がないのだ。であれば、ベーシックインカムの実体にもおよその想像はつく。どんな理屈をつけようとも、支給される額は実質的に大きく減らされるに違いない。
 が、現行の生活保護を半分にして生活が出来るのか? ましてや数分の一以下にすれば、飢餓レベルである。

 どうするか?
 具体的には、食費が数分の一になるようにする。ゴーセイニクやらリンリン食がそうなのだろう。
 次に、人口。これは少なければ少ないほど、費用が抑えられる。表だっては取り沙汰されないが、すべての政策はそっちに沿って立案される。「そんなやり方では、出生率は増えない! セイフは何もわかってない!」 などという議論がなされるが、確信犯なのである。批判する方も、素人でなければ、グルの公算が高い。

 ちなみに、雇ってもらえない人間たちは、中世や古代に戻ればいい? それが許されないのだそうだ。居住区は厳しく制限され、外はすべてが環境保護区になるらしい。人間より自然が大事ということだ。地球でも、そういうカゲキ派はすでに現れているのではないか。

 さて、ここからが本題だ。
 仮に、五十年後に生かしておいてもらえる人口が一割だとすれば、どのような者たちが選ばれるのか? 

 古い常識だと二つのことが思い浮かぶ。
 一つは資産。富裕な者ほど安全圏に思える。
 もう一つは、優秀であること、AIでは置き換えられない専門能力があること。
 しかし、そんな「ふるい(篩い)」は古いらしい。
 新しい「ふるい(篩い)」は、はるかにインテリジェント。

 いくつかのたとえ話で説明されていたが、たとえば、チームスボーツ。野球で云うと、ピッチャーや四番バッターだけが選ばれるわけではないということ。芝居でいえば、二枚目だけでは芝居にならない。
 仕事で云えば、エッセンシャルワークの枠もある。美形で優秀な者が、介護や清掃を黙々とやることはないわけで、それにはそれにふさわしい者が選ばれる。

 きわめてドライな話だが、ノアの箱舟を思い出せば理解できなくもない。箱船では、動物の種類毎にひと組のつがいが選ばれた。単純に人間社会に置き換えれば、職種毎になるかもしれない。
 ただし、今後は内面まで精査される。どうやって? SNSの発言歴、ネットの閲覧歴、買い物歴、交友関係、受診歴、移動歴、記録が取れるものはすべて記録され精査される。ひと昔前なら、重要危険人物に対する監視のようなことが、スマホを持つすべての人に対して行われる。
「行われる」と云ったが、人がやるのではない。AIが瞬時に計算して数値化し、管理省庁の下請け業者に通信する。
「評価システム」というのだそうだ。受験生が偏差値を気にするように、皆が「スコア」を気にして生きることになる。仕事における優秀さだけが問われるのではなく、コッカ体制に対する従順さと忠誠心が採点される。
 地球でも、スマホの普及率はかなりのものなので、技術的にはその星と同じことが出来るはずだ。

 ただ、どこのクニでそんな真似がやれるかと考えると、そこでハッとさせられた。ニシガワでは難しいからだ。インボー論では、ケチョンケチョンに叩かれることが多いニシガワだが、そのての強制措置は、やり難い。

 もし、地球でもどこかの星と同じことが行われるのであれば、ニシガワは敗れることになるのではないか……。

 思いもよらないことだが、「幻聴ラヂヲ」を聞いていると、コッカもまた「ふるい」にかけられるという、トンデモないことが連想されてしまう。

 新しい「ふるい」、恐るべし……。

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