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暮らしっ句

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「日々の暮らし」の味わい、ぬくもり、それさえ忘れなければ、成功なんかとは縁遠くても、まっとうに生きていける。逆に言えば、こわいのは「こんな世の中、ぶっ壊してやり直した方がいい」と…
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#トマリエ

[暮らしっ句]寒 雀 2[俳句鑑賞]

 寒雀 群れより一羽 吾が前へ  松崎鉄之介  喪明けとはさみし 餌に寄る寒雀  服部幸  …

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]寒 雀[俳句鑑賞]

 風を踏み 日ざしを踏みて 寒雀  村山秀雄  寒い時期、誰だって日向がいい。でも、建物の…

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]福引き[俳句鑑賞]

被災者の方々にお見舞いを申し上げます。 .  福引や 見知らぬ人に拍手され  今井春生  福…

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]冬木立[俳句鑑賞]

 冬木立 日中をしんと美術館  水野節子  思い出されたのは昔の西宮大谷記念美術館。古く…

トマリエ
5か月前
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[暮らしっ句]ぼろ市[俳句鑑賞]

「ぼろ市」は十二月中旬と一月中旬の行事。時期がズレてしまいました。  そのことと「暮らし…

トマリエ
6か月前
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[暮らしっ句]古日記[俳句鑑賞]

 走り書きも 想ひはありや 古日記  いしだゆか  普通に考えると「走り書き」は「心が雑」…

トマリエ
6か月前
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[暮らしっ句]銀杏落葉[俳句鑑賞]

 最初は、スナップ写真のような作品から  掬ひては 銀杏落葉をまた散らす  藤本艶野  母に子に 銀杏落葉の明るさよ  関薫子  嵩ばれる 銀杏落葉を蹴り上ぐる  二村蘭秋  この三つのシーン、いずれも撮影したことがあります。一つの風物詩。毎年、各地で何百組という家族やカップルがやってきたし今も続いている。平和というのは、案外そんな積み重ねかも。  じゃあ、それを邪魔するもの何か? 何だと思います?  もしかしたら「有料サービス」? 「公園行こうか?」 「いや! テーマ

[暮らしっ句]冬 至[俳句鑑賞]

 冬至近し 父母と夕餉に対ひゐて  小島せつ子  おだやかさに惹かれました。  のんびりと…

トマリエ
6か月前
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[暮らしっ句]釣瓶落し2[俳句鑑賞]

※心の弱っている方は、お読みにならないで下さい。  「死」や「あの世」にふれています。 …

トマリエ
7か月前
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[暮らしっ句]茸[俳句鑑賞]

 茸誕生 老婆が影を かぶせるとき  堀内一郎  雰囲気は何となく伝わってきますが、意味を…

トマリエ
7か月前
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[暮らしっ句] 柿 2[俳句鑑賞]

のどか編  柿の空 男のシャツを 叩き干す  ふけとしこ  秋晴れ、柿もそろそろ色づいてき…

トマリエ
8か月前
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[暮らしっ句]釣瓶落し1[俳句鑑賞]

 壜透けて 釣瓶落としの城下かな  深澤鱶  この句を見た瞬間に丹波立杭、篠山の記憶が蘇…

トマリエ
8か月前
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[暮らしっ句] 柿 [俳句鑑賞]

偲ぶ編  いつもなら 祖母が剥いてる つるし柿  保坂加津夫 「サザエさん」で梅干し漬けた…

トマリエ
8か月前
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[暮らしっ句] どんぐり2[俳句鑑賞]

大人編  木洩れ日を踏んで 団栗拾ひかな  白石正躬  子どもの目に映っていたのは、おそらくどんぐりだけ。木漏れ日の美しさは意識されてなかったと思います。それが歳を取ると、どんぐりそのものよりも拾う子どもたちの姿や木漏れ日など景色の妙に感じ入ってしまう。  哲学?でいうところの「風景の発見」というやつですね。生きていくのに精一杯な間は、景色を美的に鑑賞することなどなかった。どんぐりそのものへの関心が薄れたことで、風景が立ち上がってきたという。 .  どんぐりの 小さき盃