私のダンナが辞めるまで(23)
破談
-じゃあ、会社辞めて先輩のところで頑張るんだね。応援す…「いや、違う。」
夫は私の言葉を遮って言った。
「先輩に頼らず、自分で転職先を探す。」
-ぅへぇ!?
私は飲んでいたココアを噴き出しそうになった。
(いやいやいやいや、待て待て待て待てー)
-ちょっと待ってね。確認だけど、今まで就職活動や転職活動したことある?
「ない。」
-ツテはある?
「ない。」
-(絶句) ……正社員何年目だっけ?
「1年目。お前転職2回してるだろ。いろいろ教えてよ。」
(あかん。あかん。あかんよー!)
-自分でも探したいのは分かった。ということは、先輩の会社は断るのね?自分で探した結果ダメだったから行くなんて、ムシのいい話は失礼過ぎるから絶対ダメ。それでもやる?
「やる。」
-分かった。応援はする。でも、結婚は出来ない。
式はキャンセルしよう。
激昂
「なんで?支えるのが妻じゃないの?」
-新婚早々、金銭的に頼るつもり?
覚悟があるなら、意地でも転職先決めてきて。
フラフラした状態では、絶対に入籍しない。
私、これだけは譲れないから。
「……分かった。」
ショボくれた声で電話が終わる。
しばらくして、夫から聞いたのだろう、協力会社の先輩から電話かかかってきた。
「お前、どういうつもりだ?アイツ断ってきやがったぞ。お前も同意してるって聞いたけど。社長にどう説明するのか言ってみろ!」
先輩はかなり怒っていた。
-ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
私も驚きました。でも、どうしても自分で転職先を探してみたいみたいで。
決めるのは私ではなく、彼です。私には、彼に協力することしか出来ません。
「協力ってお前…」
-ただ、社長のところをお断りするなら、私は彼と来年結婚しないと伝えました。
本気なら、転職先の1社や2社、自分で目星つけてから私に話すか、もっと必死に聞いてくるはずだと思います。
彼の今までの経験からして、私、すぐに諦めて、先輩に謝罪の電話が入ると思います。甘かったです。やっぱりお願いしますって。
でも、やっと自分から何か決断したんです。そこは尊重したいです。もう少しだけ、待って頂けませんか?
「はは。なるほど確かに。一瞬ガッカリしたけど、そういうことなら、もう少し待つよ。社長にも黙っておく。
あ、でも、上手くいってるかーって毎日連絡取ってもいい?」
(怖っ!)
-煮るなり焼くなりお好きなように。
そうして、夫の転職活動が始まった。
つづく…
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