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野村證券/クレディ・スイス/freeeの営業で学んだこと

私はこれまで4社で営業をしてきました。

経歴:歴野村證券→クレディ・スイス→freee→ヤプリ(現在)

大企業/外資企業/スタートアップ企業と様々なステージで働き、恵まれた環境の中で仕事をしてきました。

勤めた会社のネームバリューとは別に、私の営業人生は失敗…そして失敗の連続です。どの会社でもスタートダッシュに失敗し、現実から逃げるも壁に当たり、ようやく現実を受け止めて歩き出すことの繰り返し。

今回は私の営業における失敗体験からの気づき&今でも大切にしている3つのことについて書きました。

・仕事で成果を出し続けるためには過去の自分を超えるしかない
・営業は信頼関係がスタート
・自分の得意なことを活かして介在価値を高める

これらはすべて失敗が起点となり、自分を大きく変えるきっかけとなり、今は資産となっています。この記事は、自分の失敗を晒すという恥ずかしい思いを押し殺して、赤裸々に実体験を書いています。みなさまが営業する上で少しでもお役に立てば幸いです。

小手先だけの営業から脱却

私が社会人7年目(野村證券)の時の話。中堅社員の私の営業成績は、可もなく不可もなく/配属支店の成績は全国下位10%と低迷。できなくても仕方ないという雰囲気が個人にも支店全体にも流れていました。

その状況を変えるべく、次席(支店長の次の役職者)が赴任。どんな風に変わるんだろうとみんなソワソワしています。着任当日の午後、彼は周りを見渡した後、私に声をかけてきました。

「君が今一番推奨している株式の銘柄を、君が担当する全てのお客様に提案して。」

突然の指示にとまどったものの、心の中で「試されているのか?いいところを見せてやろうじゃないか!」と気合を入れ、自分が担当するお客様に連絡をして、株式の提案をしました。

15時に株式の取引時間が終了し、本日の成果を計算してた私。直近ではもっとも大きな買付金額となり、満足してニヤニヤしていました。
そこに次席が私のもとに来て、

「今日の君は本気でやったの?」

ほめらるもと思っていた私は、戸惑いました。自分の成果を伝える間もなく彼の話は続きます。

「新しいお客様は何人増えた?新しい資金はいくら?勧めた株式についてどこまで情報を収集した?電話している姿を見てればわかるけど、中途半端。提案の内容もオファーの金額も電話している件数も全てに気持ちが入っていない。そんな営業ではお客様の心は動かないし、勢いのある後輩に抜かれていくよ。」

仕事ができないことではなく、仕事に対する姿勢に問題があるという指摘。直近の自分の営業活動を振り返ってみても、自分のできる範囲だけで仕事をしているだけで、ここ数ヶ月何も変わっていませんでした。

さらに次席からの厳しい指摘は続きます。
数日後、再び次席から声を掛けられ、

「君の預かり資産が一番大きいお客様、なんで一度も取引がないんだ?」

自分が着任してからもっとも気にしていたことを突かれ、自分の胸がキューーーっと縮こまりました。お客様に何度電話・飛び込み訪問・手紙を書いても一度も連絡を取ることができていなかったのです。

自分にたくさん言い訳をして、できない理由を考え、見ないようにしていましたが、彼の目にはすべてお見通し…

「どうしたら会えるか本気で考えろ!!会えるまで帰ってこないくらいの気持ちを見せてみろ!!」

私は意を決して今まで一度もしたことがない夜遅い時間に訪問することにしました。いつかは試したいと思いながらも実行していないこの方法しかないと思ったのです。

夜の住宅地で待つこと3時間、、、
ようやくお客様に会うことができました。何を話したかは覚えていないですが、興奮を抑えながら挨拶をしました。

自分が支店に着任してから最も気にかけていたことが解決でき、次席に電話で報告して支店に戻ります。当然夜の遅い時間なので、支店には誰もいません。

自分のデスクにかばんを置きにいくと、机の上に1枚の手紙。

夜遅くまでおつかれ

と、次席から手書きのメッセージが置いてありました。

私は、誰もいない支店の中でひとり涙。過去の自分を超えるきっかけを与えてくれた次席への感謝と、自分はまだ変われると思えた喜びを同時に噛み締めた1日となりました。

『現状維持では後退するばかりである』
ウォルト・ディズニー

いい人から信頼できるパートナーへ

初めて転職したクレディ・スイスは、純金融資産が10億円以上を対象顧客とするプライベートバンクのビジネスです。私は、プライベートバンカーという営業担当者としてお客様の資産を預かる役割。

入社してしばらくしても、顧客数も預けていただく金額もごくわずか。このままだと…という状態です。現状の自分に何が足りないのかも分からないまま、営業を続けてももちろん結果は出ません…

変わるきっかけになったのは入社して数ヶ月後の本社で行われたロールプレイング。クレディ・スイスの中でもトップ・プライベートバンカーの方に見ていただく機会に恵まれました。

ロールプレイングを終えると、

「高橋くんはいい人、それ以上でもそれ以下でもない。表面的なコミュニケーションだから、嫌な気持ちにはならない。けど、信用しようとも思わない。もし私がお客様だったら、君には資金の一部しか任せないと思うな。」

かなり衝撃でした…初対面しかも30分でここまで判断されるものなのかと。お客様にも同じように思われていたのかと思うと、ショックを隠しきれません…

お客様のもとにはたくさんの業者が出入りしています。自分もその中の1人。会って数分で不要と感じれば即脱落、特別な存在になるためには信用を得る必要があります。分かったつもりになっているだけで、全然できていませんでした…

このまま引き下がるわけにはいきません。具体的な方法について、ヒントをいただけないかとお願いしました。彼はニッコリと笑ってゆっくりと話を始めます。

「まずは自己開示。自分はこういう人間ですというエピソードを語り、相手からも打ち明けてもらうようなコミュニケーションを取る。当然相手は忙しいから興味を持つ内容を用意する必要があるのを忘れずに。」

まずは「自分を開示する」と必死にメモを取る参ります私。

「そして、対話の中で相手の大事にしていること/悩んでいることを引き出す。富裕層の方に限らず人は様々な顔を持っている。例えば、富裕層の方は3つの顔(①会社の社長②株主③家族の父)を持つ。プライベートバンカーとして信頼されるためには、この3つについて話せる存在になる必要がある。そのための努力を惜しんではいけない。君が一番したい資産運用の話はその後だよ。」

今まで自分がいかに自分本位の営業をしていたかを気付かされた1日となり、そのまま自分の支店に戻りました。それから自己開示お客様からの信用を得ることを意識し、信頼関係を築くための営業を始めます。

『営業とは、人間関係だ。一番強固な関係を築けた人がその信頼関係によって相手に買わせることができる。人は、信用のできる、自分に一番似た人から買う。実際に売れそうな相手は、あなたを信用して何かを打ち明けようとする。単に情報が欲しいだけの顧客は、自分のことや自分が求めているものを伝えようとしない。』
ジェイ・エイブラハム

自分の介在価値を最大限に発揮

初めて金融業界を離れてITの世界に入ったのがfreee。金融業界と違い、自社が誇るプロダクトを顧客に提案することにワクワクしました。
自分の営業は、日々進化するプロダクトとは別に、困難な方向に進んでいきます…

私は、会計事務所・税理士事務所とのアライアンス戦略立案及び実行する役割。業界への理解もプロダクトの理解も浅い段階でも時は待ってくれず、営業活動がスタート。これまでの営業経験とスキルでなんとかできると思っていました。

が、いくら商談を重ねても結果は出ません…
社内のプレゼンテストも不合格…
一緒に入社した同期が成果を出す中、自分の成績はゼロ…

原因は、相手に自分の知識の無さを知られるのが怖く、一方的に説明する営業になっていたこと。頭では分かっていても、日々増え続ける不安と焦りから完全に自分を見失い、同じことを繰り返していました。

ある日、上司に呼ばれ「最近、営業どう?」という話題を皮切りに、私の営業を根本から見直す指摘を受けました。

「君の介在価値って何?」

自分の介在価値…??について、考えたことありません。私が何も答えられずにいると、彼の話は続きます。

「プロダクトを説明しに行くだけなら、君じゃなくてもいいんだよね。君が会社の代表としてお客様の前に立ち、自社サービスとお客様を繋ぐために介在する価値をきちんと考えてごらん。」

そこから私はお客様へ訪問しすぐさまパソコンを開きサービスの説明をするのを止め、パソコンをカバンに閉まったまままず相手と向き合うことから始めました。自分の介在価値は上手に説明することではありません、相手と正面から向き合うことでした。

自分の介在価値とは、自分の強みを活かすことです。不得意なことは、うまくやろうと思ってもうまくいきません。自分の得意なことにフォーカスできた時、何かが変わったように感じました。そして、プロダクトの説明員から営業担当者へと変わることができました。

『成功の道はただひとつ。自分だけの生き方を見つけることだ。』
クリストファー・モーリイ

まとめ

・仕事で成果を出し続けるためには過去の自分を超えるしかない
・営業は信頼関係がスタート
・自分の得意なことを活かして介在価値を高める

3つ経験にはそれぞれ自分の失敗に気づかせてくれた先輩/上司の方がいました。私は、本当に出会う人に恵まれたと感じます。この場を借りて御礼申し上げます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
みなさまの営業のヒントになれば幸いです。

『壁というのは、できる人にしかやってこない。
超えられる可能性がある人にしかやってこない。
だから、壁がある時はチャンスだと思っている。』

イチロー

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今回の記事は #営業アドベント という企画に参加して書いてます。
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