【生成AI】紫式部が2030年の世界に生きていたら
生成AIで未来をリアルに感じたい
私たちの仕事は、デジタルテクノロジーで未来の日常を創ること。
そしてその最初の一歩は、未来の社会をリアルにイメージすることです。
今回は、未来をイメージする手法の一つとして、「日常を書き留めるツール=日記」に着目して、未来の日記を生成AIに書かせる実験をしてみたいと思います。
先日始まった大河ドラマから着想を得て、「2030年に紫式部が生きていたらどんな日記を書くのか」というテーマで、「未来 紫式部日記」を書いてもらいました。
「未来 紫式部日記」
予想以上に、2030年の世界観が自然に描かれていて、紫式部の仕事への向き合い方や心の動きまでよくわかる日記になりました。AIが書いたとは思えないほど違和感なく、未来をリアルにイメージできることにびっくりです!
解説
未来の職業「AIエンパシープログラマー」とは?
紫式部は2030年の世界でどんな仕事をしているだろう。
日記を書く前に、まずはそんな問いをAIに投げかけてみました。
紫式部の強みと2030年の時代背景をきちんと読み解きながら、業務内容も詳しく考えられていて、またまたびっくりです。
「社会や技術の進歩を感じた紫式部が、仕事の幅を広げるためにAIの勉強をしたのかな」なんて想像も膨らみます。
2030年の社会では、テクノロジーへの理解だけでなく、人間に対する深い関心や洞察も求められるのかもしれませんね。
「未来 紫式部日記」のつくり方
今回、こんな風にして「未来 紫式部日記」を作りました。
① インプット:「紫式部の性格」「2030年の未来予測」を読み込ませる
紫式部の個性が日記に表れるように、紫式部の性格を考察したWebページを検索し、AIに読み込ませます。
2030年の未来予測も、技術や社会情勢など様々な角度で情報を集め、読み込ませます。
今回は30ページほど読み込ませたので、かなり地道な作業でした。
② キャラクター設定:紫式部の2030年の世界での職業を考える
日記に反映したいキャラクターの設定を、事前に単体で生成すると、日記の完成度が上がります。今回は以下のようなプロンプトで、紫式部の職業を考えてもらいました。
今回は、「AIエンパシープログラマー」を採用しましたが、AIはほかにも「デジタル文化創造アドバイザー」「サステナブルライフスタイルコンサルタント」「バーチャルリアリティストーリーテラー」といった職業を生成してくれました。
どれも未知の職業ですが、紫式部の特徴と2030年の社会背景を紐解いたリアリティのある説明がされていて、思わず未来を妄想してしまいます。
③ 日記を出力する
情報が揃ったら、いよいよ日記を書いてもらいます!
試行錯誤しながら、最終的にこんなプロンプトを生成AIに与えてみました。
「#その日のニュース内容」は、2030年の未来予測から1つ選んでおきました。また、日記を生成する前に、このニュースについて生成AIに詳しく説明させておきました。こうすると、日記の中でニュースについて詳しく教えてくれるようになります。
「清少納言への対抗心を書き記すこと」という条件は、実際に紫式部が清少納言のことをよく思っていなかったという逸話をもとに付け加えてみました。
生成された日記では、清少納言にライバル心を持ちつつも良い友人関係である、というようにアレンジがされていますね。
2030年までの長い時の中で、二人のわだかまりが解けたのでしょうか。ちょうどよいフィクション要素として、日記を面白くしてくれています。
④ 体裁を整える
はじめに生成された日記は、紫式部らしく古風な言葉遣いで書かれていました。言葉遣いまで紫式部らしさを出してくれる生成AIの表現力、すごい!
ただ、今回は読みやすくするために、このようなプロンプトを実行しました。
このようにして、紫式部の人柄と2030年の生活をリアルに垣間見ることができる「未来 紫式部日記」が完成しました。
大切なのは、問いの「的確さ」と「解像度」
今回は、未来の生活をリアルにイメージするために、「未来の世界の日記とは?」という問いを生成AIに与えました。「日記」という形式を的確に選んだことで、一人の目線になりきって未来の世界を追体験できる、良い答えが返ってきたと思います。
また、日記の書き手に「紫式部」という具体的な人物を指定し、未来の職業、その日のニュース、友人関係など、問いの解像度を上げたことで、予想しなかった未来予想や書き手の心情がよく表れた日記を作れたと思います。
こんな風に、こちらが投げかける問いを的確で解像度高いものにすると、生成AIもそれに応えて期待以上のものを生み出してくれることがわかりました。生成AIを日常的に使うこれからの日常は、こういった問いの立て方がもっと重要になっていくかもしれません。
※本記事は生成AI活用の試行結果を記載したものであり、
未来に関する記述および歴史的解釈はNECの公式の見解ではありません