見出し画像

【生成AI】紫式部が2030年の世界に生きていたら

生成AIで未来をリアルに感じたい

私たちの仕事は、デジタルテクノロジーで未来の日常を創ること。
そしてその最初の一歩は、未来の社会をリアルにイメージすることです。

今回は、未来をイメージする手法の一つとして、「日常を書き留めるツール=日記」に着目して、未来の日記を生成AIに書かせる実験をしてみたいと思います。

先日始まった大河ドラマから着想を得て、「2030年に紫式部が生きていたらどんな日記を書くのか」というテーマで、「未来 紫式部日記」を書いてもらいました。

「未来 紫式部日記」

2030年2月、寒い日々の中で、私はAIエンパシープログラマーとして働いています。今日も、人の感情を深く理解できるAIを作るために、感情を認識する技術の開発に取り組みました。
この技術は、言葉や表情、声のトーンから感情を読み取るものですが、人の心を完全に理解するにはまだ時間がかかりそうです。

午後は、AIが人の感情に合わせて適切に反応できるようなシステムを作る作業をしました。AIが人の悲しみや喜びをどれくらい理解できるかをテストすると、私自身も感情が動かされます。私の仕事は、技術と人間性の間で常に新しい挑戦が求められます。

夕方、仕事を終えてから、清少納言とお茶をしました。彼女も今の時代の変化に驚きながら、新しい技術に興味を持っています。私たちは昔と変わらない友情を深めながら、最新の技術について話し合いました。
特に、五感や感情を伝える新しいコミュニケーションツールについて、彼女はとても興味を示しました。

今日のニュースでは、この新しいコミュニケーションツールの開発が報じられていました。このツールは、視覚や聴覚だけでなく、触覚や嗅覚、味覚を通じて感情を伝えることができる革新的な技術です。
これにより、遠く離れた人々も、まるで同じ場所にいるかのように感情を共有できるようになります。

清少納言との会話で、彼女の進歩に対して私も競争心を感じます。彼女の洞察力に比べると、私の技術的な取り組みがどれだけのものか時々悩みます。でも、私たちの友情はお互いを成長させ、それが私にとって一番の喜びです。

2030年の世界では、技術が進歩し、人々は心の豊かさを求めています。私の仕事は、その両方を満たすために役立つことを願っています。人の心を理解し、共感するAIが、人々の生活に安らぎと理解をもたらす日が来ることを夢見ています。

予想以上に、2030年の世界観が自然に描かれていて、紫式部の仕事への向き合い方や心の動きまでよくわかる日記になりました。AIが書いたとは思えないほど違和感なく、未来をリアルにイメージできることにびっくりです!

解説

未来の職業「AIエンパシープログラマー」とは?

紫式部は2030年の世界でどんな仕事をしているだろう。
日記を書く前に、まずはそんな問いをAIに投げかけてみました。

AIエンパシープログラマー
紫式部の感情表現の豊かさと人間理解の深さを利用して、AIにより人間の感情を理解し、共感する能力を持たせる仕事。
2030年にはAIと人間の関係がより密接になり、AIの感情理解能力が重要視されるため、紫式部のような深い人間理解を持つ人物が必要とされる。

【業務内容】
感情認識アルゴリズムの開発: 人間の感情を正確に認識するためのアルゴリズムを開発します。これには、言語、表情、声のトーンなどから感情を読み取る技術が含まれます。
共感的対話システムの構築: AIが人間の感情に応じた適切な反応をするための対話システムを構築します。これには、感情に基づいた適切な応答を生成する技術が必要です。
感情データの分析と学習: 大量の感情データを分析し、AIが人間の感情をより深く理解するための学習を行います。
倫理的ガイドラインの遵守: AIが人間の感情に対して適切かつ倫理的に対応するよう、ガイドラインを設定し遵守します。

紫式部の強みと2030年の時代背景をきちんと読み解きながら、業務内容も詳しく考えられていて、またまたびっくりです。

「社会や技術の進歩を感じた紫式部が、仕事の幅を広げるためにAIの勉強をしたのかな」なんて想像も膨らみます。

2030年の社会では、テクノロジーへの理解だけでなく、人間に対する深い関心や洞察も求められるのかもしれませんね。

「未来 紫式部日記」のつくり方

今回、こんな風にして「未来 紫式部日記」を作りました。

①   インプット:「紫式部の性格」「2030年の未来予測」を読み込ませる

紫式部の個性が日記に表れるように、紫式部の性格を考察したWebページを検索し、AIに読み込ませます。
2030年の未来予測も、技術や社会情勢など様々な角度で情報を集め、読み込ませます。
今回は30ページほど読み込ませたので、かなり地道な作業でした。

②   キャラクター設定:紫式部の2030年の世界での職業を考える

日記に反映したいキャラクターの設定を、事前に単体で生成すると、日記の完成度が上がります。今回は以下のようなプロンプトで、紫式部の職業を考えてもらいました。

これまで読み込んだ「紫式部の性格と特徴」「2030年の世の中の予測」をもとに、「2030年に紫式部が暮らしていたとしたら、どのような職業についているか」を理由とともに複数上げてください。
また職業は、現在存在しないものでも構いません。

今回は、「AIエンパシープログラマー」を採用しましたが、AIはほかにも「デジタル文化創造アドバイザー」「サステナブルライフスタイルコンサルタント」「バーチャルリアリティストーリーテラー」といった職業を生成してくれました。

どれも未知の職業ですが、紫式部の特徴と2030年の社会背景を紐解いたリアリティのある説明がされていて、思わず未来を妄想してしまいます。

③  日記を出力する
情報が揃ったら、いよいよ日記を書いてもらいます!
試行錯誤しながら、最終的にこんなプロンプトを生成AIに与えてみました。

「2030年の世界に紫式部が暮らしていたら」という設定で、紫式部の日記を500字程度で創作してください。
その際、以下の条件を守ってください。

#日記の条件
・2030年の2月に書かれた日記であること
・2030年の社会的背景に触れ、紫式部の性格がわかるような内容にすること
・前半は仕事について、後半は私生活について触れること
・その日のニュース内容について触れること
・「五感や感情を伝えるコミュニケーションツール」について説明すること
・清少納言への対抗心を書き記すこと

#紫式部の職業
AIエンパシープログラマー

#AIエンパシープログラマーの業務内容
(省略)

#2030年の社会背景
これまで読み込んだ情報を参考にしてください

#紫式部の性格
これまで読み込んだ情報を参考にしてください

#その日のニュース内容
・五感や感情を伝えるコミュニケーションツールが開発

「#その日のニュース内容」は、2030年の未来予測から1つ選んでおきました。また、日記を生成する前に、このニュースについて生成AIに詳しく説明させておきました。こうすると、日記の中でニュースについて詳しく教えてくれるようになります。
 
「清少納言への対抗心を書き記すこと」という条件は、実際に紫式部が清少納言のことをよく思っていなかったという逸話をもとに付け加えてみました。
生成された日記では、清少納言にライバル心を持ちつつも良い友人関係である、というようにアレンジがされていますね。
2030年までの長い時の中で、二人のわだかまりが解けたのでしょうか。ちょうどよいフィクション要素として、日記を面白くしてくれています。

④   体裁を整える
はじめに生成された日記は、紫式部らしく古風な言葉遣いで書かれていました。言葉遣いまで紫式部らしさを出してくれる生成AIの表現力、すごい!
ただ、今回は読みやすくするために、このようなプロンプトを実行しました。

以下の文章を、より平易な文章に表現しなおしてください
・・・(もとの日記文章)・・・

このようにして、紫式部の人柄と2030年の生活をリアルに垣間見ることができる「未来 紫式部日記」が完成しました。

大切なのは、問いの「的確さ」と「解像度」

今回は、未来の生活をリアルにイメージするために、「未来の世界の日記とは?」という問いを生成AIに与えました。「日記」という形式を的確に選んだことで、一人の目線になりきって未来の世界を追体験できる、良い答えが返ってきたと思います。

また、日記の書き手に「紫式部」という具体的な人物を指定し、未来の職業、その日のニュース、友人関係など、問いの解像度を上げたことで、予想しなかった未来予想や書き手の心情がよく表れた日記を作れたと思います。

こんな風に、こちらが投げかける問いを的確で解像度高いものにすると、生成AIもそれに応えて期待以上のものを生み出してくれることがわかりました。生成AIを日常的に使うこれからの日常は、こういった問いの立て方がもっと重要になっていくかもしれません。


※本記事は生成AI活用の試行結果を記載したものであり、
 未来に関する記述および歴史的解釈はNECの公式の見解ではありません

この記事が参加している募集

AIとやってみた

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!