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Cyber bullying:指殺人

ドラマ「3年A組」の中で起きていたことが、また現実になってしまった。柊木先生の声はネットの民たちに届かなかったようだ。

ネットにおける誹謗中傷(cyber bullying:ネットいじめ)は中高生の間でも後を絶たない。学校現場では子供たちのネットリテラシーを涵養するために尽力しているが、学校だけに責任を押し付けるのは無理な話だ。

今回の女子プロレスラーの死因はまだ特定されてはいないが、ネットによる誹謗中傷が彼女の死に大きく関連しているのは間違いなさそうだ。彼女の存在は知らなかったが、22歳という若さで自死を選ぶほどの苦しみを抱えていたことを想像すると胸が張り裂けそうになる。

彼女にネット上で言いたい放題言っていた人たちに聞きたい。

「自分が同じことを言われたらどう思うの?」

「人が嫌がることをしちゃダメと教わらなかった?」

小さな子供ですら知っていることを守れない大人がなぜこんなにたくさんいるのだろう。想像力の欠如。感受性の乏しさ。ネットリテラシーの低さだけでは片付けられない。

韓国でもアイドルたちがネットによる誹謗中傷が原因で自殺をし、社会問題になっている(「指殺人」と呼ぶらしい)。有名人だから非難されて当然という「有名税」という考え方もあるらしいが、そんなの論外だ。犯罪者でも人権はあるのに、有名人には人権すらないのか。

状況を変えるには主に3つの方法があると思う。

一つは国民のネットリテラシーを上げることだ。中学生のほとんどがスマホを持っている時代なのに、ネットリテラシーを含めたICT教育は欧米に比べてもまだまだ遅れている。

二つ目は法整備だ。子供はまだ教育できるが大人を教育するのは無理だ。オンラインで人を傷つける行為は名誉毀損や侮辱で罪になりうるが、残念ながら現状では広く認識されていない。匿名なのをいいことに捕まることなどないと思っている人たちに自分のしていることが犯罪だと知らしめるとともに、プロバイダー法を改正して、よりスピーディーに加害者の身元を割り出せるようにすれば抑止効果になるのではないか。

最後にプラットフォーム側の自浄努力が必要だ。LINEやTwitterなどが取り組んでいるのは知っているが、もっとお金をかけてAIがコメントを発見し、削除、報告するようなシステムをさらに汎用化して欲しい。

オンラインをどう駆使し、ともに生きていくかというのはこのコロナ禍で人類が突きつけられた大きな課題だ。顔も知らない見ず知らずの人間の心ない言葉で命を失うなんてことは絶対にあってはいけない。

心よりご冥福をお祈りします。