風を見たかい

風を見たかい

昔ひとが目に見えないものに
名前をつけたときの気持ちを
もう一度思い出してと

いつかあなたが言った言葉を
若すぎた僕はわからなかった
幸せは触れる場所と

今朝はひとり森の中に来て
コーヒーを淹れてカップに揺れるのは
都会の高層ビル

風を見たかい 見えないものにつけられた名前
風を見たかい 不確かなものが大切な時代になる

あなたが女でわたしが男で
あなたとわたしの歳がいくつで
ステレオタイプな優しさ

あなたは去って二度と会えないひと
自分自身が見えないものに
記憶は時代遅れに

今夜はひとり誰でもない者になる
知らない場所で靴を響かせて
これからどうしよう

風を見たかい 今でも時に思い出す名前
風を見たかい あの優しさが大切だったとわかる

風を見たかい 見えないものにつけられた名前
風を見たかい 不確かなものが大切な時代の中

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