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突然の役所広司

「まおちゃんは枯れ専だと思う」

と、夫が言った。まおちゃんとは、私の実家で飼われているメスのヨークシャーテリア。13歳くらいだったと思う。小さな体で、ふてぶてしく歩く姿が、とてもかわいいのだ。撫でようとすれば、「フンッ」と鼻息を鳴らしながら逃げていく。で、誰からも構ってもらえなくなると自分から寄ってくる。こたつの中が大好き。猫みたいな犬だ。

「役所広司とか好きそうだよね。美味しい餌、食べさせてくれそうだし」

と、夫。突然の役所広司に吹き出してしまう私。しかし言われてみれば、確かに役所広司の膝の上が似合いそうな感じがする。

そのあと、「枯れ」とはどのような人を指すかを夫と語り合った。色々な芸能人の名前を出し合ったが、よく考えてみると枯れているって失礼だ。役所広司は大人の色気があるもの。キラキラしているもの。夫は役所広司に怒られていい。

夫のせいで、クラフトボスのCMを見て吹き出してしまう。役所広司がフリーズするやつ。やっぱり、役所広司にはうちの犬は似合わない。猫が良い。

今日は、3カ月に一回の婦人科の日。診察はせず、薬だけ処方してもらうだけだが、1時間半くらい待った。待ち時間に読む本を持ってくるのを忘れてしまった。雑誌が置いてある棚から、私が座っている椅子は遠く、混雑している婦人科で、雑誌を取りに行っている間に席が取られたら嫌だな…と思い、スマートフォンのパズルゲームで時間をつぶすことにした。やった、高得点とったぞ。この得点が何かになるわけでもなく、誰かに褒めてもらえるわけでもないな…と思うと少し虚しくなった。次からは有意義な待ち時間を過ごすため、本を持参しよう。

帰宅後、昼ごはんにアヒージョを作った。生協でオクラの塩漬けが届いたので、それもおかずにした。白いご飯が、とても美味しかった。