見出し画像

【Edge Rank 919】走ることについて【TOMAKI】

皆さんの学校では、マラソン大会ってありました?

僕の通ってた高校では、秋にマラソン大会がありまして。長瀞の山道を登ったり下りたり、約20kmの距離ひたすら走るっていう学校行事がありました。当時僕は陸上部でしたけど、バリバリの短距離選手だったのでむしろ長距離は苦手で。このマラソン大会が憂鬱で仕方なかったです。

その日は、マラソン大会の当日。朝から雨が降っていて「こんな天気の中を走るのかー」と、さらに気分がどんよりしていたのですが。学校に行くと先生が「今日のマラソン大会は、中止になった」と僕らに伝えました。

教室が震えるくらい喜びましたよね。生徒全員が歓喜の雄たけびを上げる中、先生が冷静にこう言いました。

「なに喜んでんだ。高校時代の思い出がひとつ減ったんだぞ」

まぁ、楽しいこと辛いこと、全部ひっくるめての思い出だってのは分かるんですが。誰が思い出のために20kmも走るんだよ、と当時は思いました。

今月、11月7日に僕は「越後謙信きき酒マラソン」っていう大会に出場して、24km走りました。今年でもう、5年連続の参加です。高校時代、長距離を走るのが憂鬱だったのに、今はなぜか、走ったりウォーキングしたりするのが楽しくて仕方がない。大会に出場するたびに、思い出が増えていく感じ。高校時代の先生が言った言葉が、今は理解できます。

今日は、走ることについて。個人的な体験などを書いていきます。

■高校時代は陸上部

高校でなぜ陸上部に入ったかというと、「水泳部がなかったから」。泳ぐのが好きで。小・中とスイミングスクールにも通ってました。けど、高校にはプールが無かったんですね。なので、水泳部もない、と。

もともと中学時代は剣道部で。小さな学校でしたが団体で県大会優勝などしていたので、そのままいけば高校も剣道部が順当だったのだと思いますが、そろそろ剣道以外もやりたかった、と。背が高いっていう理由だけでバスケ部やバレー部からも声をかけてもらいましたが、結局一番縁の薄い陸上部に入りました。なにか、ゼロから初めてみたかったのです。

入部してみたら、やっぱり周りは中学時代に陸上部だったり経験者ばかりで。完全に陸上未経験者は、僕と、もうひとりだけ。当然、練習中に短距離のタイムを計ると、僕とその友人とでビリを争う感じで。間もなく、その友人は軽音楽部に転部していきました。

剣道は、ある意味審判次第の競技なので、時にはなにやら腑に落ちない判定でモヤモヤしたりするのですが。陸上競技は、単純明快。より早く走れば勝てる、と。追い風とかコースとか、細かい条件はあるにせよ、基本的にコンマ何秒でも早く走れたら勝利。その、シンプルで分かりやすい勝ち負けの決め方が、とても気に入りました。

走るのは好きだったのでひたすらずっと走っていたら、それなりに体力もついてきて、二年生の夏には短距離チームのリーダーになり、副部長にもなりました。専門は、400メートルと400メートルハードル。競技場を目いっぱい使って全力で走るこの競技が好きでした。

高三で、副部長の座を後輩に譲って、他の短距離チームメンバーはみんな引退したのですが。僕だけ「ロスタイム」みたいな感じで少しだけ陸上部に残り、「八種競技」の大会に出場するためにトレーニングを続けました。オリンピックの陸上競技には「十種競技」という種目があるのですが、その高校生版が八種競技。二日間で、八種目の競技に参加して、その記録から算出されるポイントの合計点を競います。100メートル、110メートルハードル、400メートル、1500メートル、走り幅跳び、走り高跳び、砲丸投げ、やり投げの八種目を二日間で全部こなすはかなりハードなのですが。これが、めちゃめちゃ楽しかった。短距離の3つ以外は、全て大会未経験の種目ばかり。トレーニング期間は、部活引退後の約1か月間だけ。トレーニングしながら自分で課題を見つけて、それを克服することでどんどん記録が上がっていく。新しいことを学んで身につけていくのが、ひたすら楽しかったです。

そして、さらにもっと楽しかったのが大会当日の二日間。肉体的には体力の限界に挑戦しているのでつらいはずなのですが、好きなことをめいっぱいできるのが最高でした。普段の陸上の大会と違って、選手たちが和気あいあいとしているのも良かった。余裕があるというか。ピリピリしてなくて、みんなこの競技を心から楽しんでいるのが伝わってくる。仲間、という雰囲気で、みんなで競技を楽しんでいる感じ。自分がそういう心持だったというのもあると思いますが。

二日間、八種目の競技を終えて、400メートル以外のすべての種目で自己ベスト記録を出し(そもそも跳躍・投擲・長距離は初挑戦なので)、総合成績では13位の成績。順位はともかく、1か月のトレーニングと、2日間の大会をやり通せたことがとても満足でした。

■学生・社会人時代はソフトボール

高校を卒業してからは陸上からは少し離れて、アメリカ留学中には友達とバスケのチームをつくって学内の大会に参加したり、授業の合間にプールで泳いだり、ラケットボールをしてみたり。大学のスポーツ施設をよく利用してました。

リノの社会人ソフトボールチームでプレイしてたこともあります。アメリカのソフトボールってルールが微妙に違うんですよね。まず、ボールがでかい。そして、ストライクゾーンが全然違う。山なりにボールを投げて、地面に落ちた地点でストライクかボールかを判定するのですよ。なので、よくあるスピードボールはなし。ゆっくりと投げたボールをみんながガンガン打ちつつ、プレイするイメージ。打つことが前提なのです。ピッチャーが抑えるのではなく、みんなで打って楽しむ。このソフトボールが楽しくて。日本に帰ってきてからも、このアメリカ式のソフトボールチームに入って、リーグで試合をしていました。

シーズン中は、週末になると在日米軍基地の中にある野球場で、みんなで試合をするという形。うちのチームは、コカ・コーラ社がスポンサーについていて、缶コーヒーの「ジョージア」のロゴが入ったチームユニフォームを着ていました。いろんな会社やバックグラウンドの人たちが集まっていて、日本人は僕と、もうひとりくらい。あとは、アメリカやカナダや、いろんな国から来た人たち。全く練習はせず、ビールを飲みながらプレイしている人もいるのに、なぜかリーグで3位入賞してしまうような。面白いチームでした。

僕は、走るのが早かったのと日本人だということで、「イチロー」っていうニックネームをいただいて、アウトフィールドを守りつつ、ちょこちょこ打っては足で点を稼いでました。

リーグの大会に出場したのは2年くらい。試合中に右足を負傷してしまい、そのまま入院・手術になってしまい。その後は、しばらくスポーツから遠ざかってしまいました。

■少しずつ、走るためのトレーニング

足を手術してから10年経った2012年、僕は元オリンピック選手の市橋有里さんと代々木公園を走っていました。コカ・コーラ社の「アクエリアス」のイベントで、みんなで走るというイベント。この頃には、ようやく軽い運動くらいなら問題なくできるようになっていました。

まだ長距離に対して苦手意識を持っていた僕は、走りながら市橋さんに「どうしたら長距離を走れるようになりますか?」と訊きました。そしたら市橋さんは「走り続けなさい。ただひたすら、走り続けることです」と、悟りを開いた仙人のようにおっしゃいました。

「そうか、走り続けること、か」と、貴重な教えを授かった僕は、そこからひたすら走ることにしました。

その翌年、2013年の秋に初めて長距離の大会に出場しました。と言っても、皇居一周たった5kmの大会ですが。それでも、自分にとっては初めてのチャレンジです。この大会に出場したことで、少し自信がつきました。

2014年には、10kmマラソンを完走。さらに、2015年は熊谷の夏マラソンに参加し、熱中症気味になりつつもなんとか20kmを走りました。地道なトレーニングを重ねつつ、どんどん走れる距離が伸びていくのがうれしかったです。

長距離を走れるようになったので、せっかくなので短距離もと思って、マスターズ陸上という年配の方向けの大会に参加して、100メートル、200メートル、400メートルを走りました。400メートルの競技では、2度ほどメダルを獲りました。40代を越えて400メートルを走る人って、そんなにいないので。東日本の大会で銅メダルを獲得した時は、出走者が3人だけでした。長く続けていると、こういう良いこともある、と。

その他、娘と一緒に元オリンピック選手のエリック・ワイナイナ選手と走ったりJ-WAVEのイベントでDJのレイチェル・チャンさんや、ジョセフ・テイムさんとも走ったり。走れるようになったおかげで、いろんな場所で、たくさんの面白い体験と思い出を手に入れることができました。

2019年には、小田原城から築地まで100km歩く「東京エクストリームウォーク100」というイベントに参加。それまで、50kmは歩いたことがありましたが、100kmを一気に歩くのは初めて。ひたすらツライけど、これも楽しい思い出です。今年の第三回大会では、僕はボランティアスタッフとして参加しました。2年前に大会に参加した際に、スタッフの方にすごく助けられたので、今回は僕が恩返しをする番、と。

走れるようになって本当によかったなと思うのは、日本一過酷なファンランと呼ばれる「越後謙信きき酒マラソン」に参加できたこと。2017年に初めて参加した時は、高低差200メートルの山道を、信じられないような土砂降りの雨の中を走りました。冗談や誇張でなく、道が川のようになっていて、「マジでここを走るのか」と。普通のマラソン大会だったら、いくらなんでも中止になっているレベルの大雨です。これが、半端なく楽しかったんですよ。前身ずぶ濡れになりつつ、沿道の声援や、エイドステーションのスタッフさんたちのサポートもあり。過酷な状況でも参加者さんたちがみんな楽しんでいて。そして、走った後は利き酒タイム。めちゃめちゃ楽しいし、盛り上がる。気づけば、5年間連続でこの大会に参加しています。ここ2年はオンラインからの参加ですが。マラソン後のきき酒体験を楽しみに、毎回20~24kmを走っています。この大会に出会えただけでも、走るトレーニングをしてきて良かったなと思います。

次の目標は、いよいよフルマラソンの大会への参加。実は、昨年東京マラソンに参加する予定だったのですが、ご存じの通り大会自体が中止に。10月にようやく走れると思ったら、来年3月に大会が延期となってしまいました。なかなか走れず、じらされている感じですが。4か月後の初マラソンへのチャレンジ、引き続き頑張りたいと思います。

完走できてもできなくとも、このチャレンジはきっと最高の思い出になるはず。

■鬼とネコがいない間に

今月のEdge Rank noteマガジンの共通テーマは、「鬼の居ぬ間に」です。

「鬼の居ぬ間に洗濯」とは、口うるさくて偉そうな人がいない間に、自由にのびのび過ごそうっていう意味のことわざですね。英語でも「When the cat's away, the mice will play. 」っていう、似た慣用句があります。「ネコがいない時に、ネズミが遊ぶ」っていう。

「〇〇がなければよいのに」っていうこと、あると思います。目の上のたんこぶ的な、障害とか束縛とか、邪魔だなと思うこと。逆に言うと、そういうハードルがあるからこそ、それを乗り越えた時の価値が実感できるっていうのもありますね。今だったら、緊急事態宣言がずっと続いていたからこそ、ようやく「普通」の生活の価値が分かるというような。

障害やハードルがない、完璧なシチュエーションやタイミングなんて、そうそうないですよね。いつも何か、邪魔が入ったり、気分が乗らなかったりなど、「鬼」がやってくる。

走ることを例にとって言えば、今日はちょっと足が痛いとか、天気が良くないとか、時間がないとか眠いとかツライとか、いろいろな雑念や邪魔なハードルや言い訳がが山ほどわいて出てきます。けど、そんなの関係なしに走り続けていれば、いつの間にか少しずつ走ることが楽になって、障害やハードルがあっても続けられるようになる。

もちろん、本当につらくなったら休めば良いです。必要以上に無理をする必要もないですが。乗り越えられそうもないハードルがあったとしても、それにチャレンジし続けること。そのチャレンジし続けるっていうのが、価値のあることなのだと思うのです。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月の共通テーマは「鬼の居ぬ間に」です。緊急事態宣言やまん延防止措置が続き日々の生活が元通りになっているのは、とても貴重な時間になっているかもしれません。有効な治療法と強力な変異体とのせめぎ合い次第で、この鬼のいない期間がどれだけ続くのかが決まるのだろうなあと、薄ぼんやりと考えています。そんな期間に何をしたいか、もしくは「鬼の居ぬ間になんとやら」の慣用句に合うようなエピソードを教えてください。
noteやブログ、ツイッターでEdge Rankと同じテーマで書いてみませんか?
ハッシュタグ #EdgeRankBloggers を付けて投稿すると執筆メンバーが読みます!
https://twitter.com/intent/tweet?hashtags=EdgeRankBloggers
内容によってはEdge Rankで取り上げさせていただくこともあります

■編集後記

毎年、年末頃に「100日間で100万歩をあるく」というチャレンジをしています。2014年から毎年やっていて、今年で8回目。今まで、毎年この100万歩目標は達成しています。ところが今年は、東京マラソンの中止が決定したあたりから極端に歩数が減ってしまい、残り30日を切ったタイミングで、まだあと50万歩も残っている状態。ノルマに対して足りない歩数の累計が21万歩を超えてしまい、「こりゃいかん」ということで気持ちを入れ替えて頑張ることに。ここ2週間は、毎日平均して2万歩以上を歩いて、ようやく少しゴールへの兆しが見えてきました。引き続き頑張ります。

今回も、お読みいただきありがとうございました。
次号は12月3日(金)の配信。奥野大児さんです!

Edge Rank noteは個性豊かなブロガー集団による共同noteマガジンです。マガジンをフォローすると月に10本程度の記事が届きます→ Edge Rank note

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。