怪談もどき2 これも実話です

十年以上昔、私は小型トラックで山道を走っていました

連れはおらず私一人だけでした

夕方の林道に人気は無く私は家路を急いでいました

すると風の為か一本の竹が道に覆いかぶさるように倒れていました

そのまま通り過ぎることも出来たのですが

トラックにのこぎりを積んでいたので切る事にしました

私はトラックの天井に上がり竹を切って脇に投げ落としました

それからふと前方に目をやると

百メートルほど先を人が歩いているのが見えました

エンジ色のジャンパーのような物を着たその男性は

五歩くらい歩いてカーブの先に消えました

私は急いでトラックに飛び乗りその男性を追いかけました

この林道にわき道など無く出口までまだ三キロ以上あることを

私は知っていました

なぜ追いかけたのかは自分でも分かりません

ですが人が歩いていたのならトラックを走らせていた時にも

当然見えていたはずです

猛スピードで追いかけたにも関わらず

その男性はどこにもいませんでした

ただ道の脇の林の中へ入っていて

見つけられなかったのかも知れません

でも車も持たずそんな道を歩いて林の中へ入る人って

いるのでしょうか

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