ひとりになった夏



『ワンナイト』を経験した


彼氏がいた私にはもちろん無縁だった「男」がいる飲みの場へ連れてってくれたのは大学の友達たちだった(20歳になったからというのもあり)


「フリーを楽しんだ方がいい!」


そう明るく声をかけてくれるみんなが大好きだったしたくさん救われた(もちろん今も♡)


横浜駅から歩いてすぐの広い居酒屋
リーズナブルで賑やかで、見渡すと学生ばかり
同世代が多いのも納得のお店だった
(のちにここばっかり通う)


隣の卓では15人くらいで飲み会をしていた


そのうちの1人とよく目が合った


私からみて斜め左にいる彼
細身で高身長、重たい黒髪から時より見える細い目は、お酒が回った私を更に魅了した


私達は1人の誕生日を祝うため、プレートを用意してもらっていた
清潔感の中にキラキラのネイルを光らせた見た目ギャルの明るい店員さんがプレートを持ってくる

「お誕生日おめでとうございま〜す!!」


ノリのいいお客さんばかりいるこのお店は、周りのみんなも当然のように拍手をし祝福の言葉が飛び交う


隣の卓の団体もかなりお酒が回っているのか、こちらにきて一緒に乾杯してくれた


そんなに目立つタイプじゃないのか、彼はその場からは動く事なく拍手をし、笑顔でこちらを見ている

そんな彼が気になった


私たちがお店に出る頃、隣も幹事らしき男性がお金を集めレジにいた


かなり酔っ払った私達はお店を出ても、外でグダっている


そんなことしてると彼らがお店を出てこちらにきた


もう解散したのか、話しかけにきたのは数人だった

、、、その中に彼もいた


よく話す人は先ほどレジにいた幹事だ
彼の先輩、つまり大学の集まりだったらしい



「彼氏いるの?」


お酒が回った男女の会話なんて中身こそない


「この子は最近フラれたんです〜!!」


もういじられるようになった私の別れ話は、その場を盛り上げる材料でしかなかった


「えー!詳しく聞きたい!てか明日休み?みんなでカラオケいかない?」


「「いきます〜!」」


奢りだと察した彼女達はノリノリでカラオケに向かう


一歩引いたところを歩く私に、先に話しかけてきたのは彼だった


「自分名前なんて言うん?」



関西弁がより私をキュンとさせる

「〇〇です」

「〇〇!女の子にしては珍しい名前やなあ」

「よく言われます、、笑」


上手く会話ができなかった
多分緊張していたんだと思う
彼の名前を聞いたのも、まともに会話ができたのも、カラオケについてからだった



国立の大学に通う彼
今年関西から上京してきたらしい
都内で一人暮らしをしていて、退屈な生活を送ってるって苦笑いしながら話す


私達は意気投合して、気付いたらカラオケを出ていた


180センチ以上ある彼を見上げて夜の横浜を歩く


「、、うちくる?」


誰もが予想できる展開だった


「うん」


時刻は0時を回っていた





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