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生きた証を消す

相続の手続き

1年が経とうとする6月27日
自分がどうして長い闇堕ちしているのか
一つ理由がわかった

もう4月末には
遺産分割協議書ができていて
動かないといけないのに
体が動かない

「手続きをお願いします」
「晃裕様の口座の解約ですね」
「カードの停止ですね」
「ご本人が貯めたポイントは失効されます」

これを聞くと苦しくなる

晃裕くんの生きた証を消すような気がする
個人事業主や社長になったばかりのころ
「妻〜。カードが作れたんだ!」と
嬉しそうに晃裕くんは私に話してくれた。

あの時は公務員の私には
わからなかったけれど
今ならわかる
会社員じゃない晃裕くんがクレジットカードを作るのがどれほど大変だったか

会社を作ったばかりではクレジットカードを作るのは容易ではない。
でも仕事をして信用をためて
クレジットカードを作れるようになった
晃裕くんのその誇らしさがわかる


そして、お金を大切にする人だったから
クレジットカードもよく吟味して
お得なポイントも計算して
ちゃんと貯めて節約していた

「カードの解約ではポイントも失効されます」
のアナウンスを聞くと

「カードを止めると言うことは
その本人が大切に貯めたポイントも
私が捨てることになる」
「このポイントなににつかいたかったのかな」
そう思うとやり切れない。

なにより通帳もカードもポイントも
晃裕くんの生きた証
それを解約するのが私なのだ

それがたまらなく辛い
電話をかけながら、カードを見ると
涙で滲んでカード番号が見えない

泣きながらやるこの作業
大切な人が亡くなった人は
みんなやってる
この瞬間にもきっと
何百人も

人が亡くなるってこうやって
一つづつ
生きて来た証を消していく
そんな切なさがある。

笑顔でがんばったねと
自分の心を抱きしめられる
その日が来るかな

今は正直
心がちぎれそうなくらい
しんどいなぁ

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