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白銀の世界、生活の泥

アルバイト4連勤目である。
早朝の幹線道路を車達がつとつと行く。
私はその横を歩いている。
夜のうちに積もった雪が凍り、その上にまた雪が積もっているので歩きにくい。
きっとみんなも働きに行くのだ。

大学進学のために山形に越してもう直ぐ一年経つ。
神奈川の沿岸部出身の私にはこちらの冬は異世界のようだ。
向こうにいた頃は白銀の世界なんて思い浮かべてニンマリしていたが、実際にその場所に立つと生活の中で雪は泥と一緒に寄せ集められ、駐車場の隅に積まれている。
その泥混じりの雪山に昇りたての日がさすと彫刻のようだ。
なんとなく人が登った後が見える。アートとはこれだと思う。
なんでもない形で、その場にいる・あるものの存在を浮かび上がらせる。
イマジネーションの増殖。
触れたものの痕跡を残す雪は、まさにそんな装置になりうるのかもしれない。

無造作な仕事だが、そこには必要性と思考がある。生活が自然とせめぎ合っているのだ。そういう場所は関東の住宅街にはなかった。
除雪車のプラウの形のまま固まった沿道の雪山のダイナミクス。

プラウの形に固まった雪

この文章を書いた数日後、こんな記事を見つけた。

アリゾナの砂漠より、ここは水の匂いがするけど何か通じるものを感じた。
ハイウェイを走りたい。
その理由についてはまた後日書くとして、とにかく私の作りたいものの匂いを感じる。
キーワードは必需性、そっけなく、気付かないうちに入り込んでいること
自然からの圧力、イマジネーションの増殖
だ。

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