読みたいことを、書けばいいんだ!
年末までに30冊の本を読むというチャレンジ。3冊目となります。
今回読んだ本は、田中泰延さんの「読みたいことを、書けばいい。」。
<1>表紙の感想
noteでこの本のことを知り、さっそくこの本を求めて書店に出向きました。
探すこと3分…見つかった!
「読みたいことを、書けばいい。」白地に大きく、タイトルが書いてあって、これだけでシンプルに本の内容が伝わってくる。
一見、本のタイトルには不要そうな読点(、)と句点(。)。
でも、
・読みたいことを書けばいい
・読みたいことを、書けばいい。
印象が全然違いますよね。
このタイトルが大きな文字で書いてあるだけで「読んでみたい!」という気持ちが増していくから不思議ですよね。
さらに表紙には
人生が変わるシンプルな文章術
文章術で人生が変わる…? そんな大げさな・・・。それも大げさな言葉のわりに、小さな文字で端っこに小さく書いてある。
そして、さらに申し訳なさそうに小さな文字で書いてあるのが、出版社名の<ダイヤモンド社>。
ボクが人生で大発見したことのひとつに、
~表紙の「遊びゴコロ」に共感できる本は、絶対に外さない~
という鉄則があります。
ということで、それだけでこの本は既に「買い」の本なのです。
ですが、更に、我々バブル世代の購買意欲をかきたてる4文字が書いてある。そう、<糸井重里>という文字が…。
———これはもう買うしかないでしょ!
<田中泰延>という文字よりも<糸井重里>という文字に反応しちゃったお詫びに、表紙にあった@hironomutnkを、書店のレジ前で並んでいる間に、twitterで「フォロー」。
田中泰延さん、そして6.6万人のフォロワーのみなさん、すいませんでした…。
フォロワー6.6万人か…。やるじゃん、田中泰延。
購入者という立場を悪用して、ちょっとだけ上から目線で、しかも呼び捨てでつぶやいてみました。
田中泰延さん、そして6.6万人のフォロワーのみなさん、すいませんでした…。
ということで買いました。買って帰る途中、近鉄電車に揺れながら、本の表紙をめくってみる。オビの裏にも興味深いことが…。
「自分が読みたいものを書く」ことで
実際に「現実が変わる」のだ。
そんな話を始めたい。
ライティングは、
「自分が書きたいものを書くのではなく、読者が読みたいものを書く。自分の書いたものを読んでくれる1人の人を設定して、その人の気持ちを想像して書くこと」
こう教わってきた。簡単そうなコトなんだけど、意外に難しい。他人はあくまでも他人。100%その人の気持ちになるなんてことはできない。
でも、「自分が読みたいものを書く」ことならできるはず。難しく考える必要はない。自分のことなら100%その気持ちは分かる。
そう考えると、気持ちが楽になってきました。
———ん?まだ本文の内容に入っていない?
そうでしたね。
これは自分のブログなんで、ガイドラインに違反しない限りは、何をどう書こうか自由なんですが、実は、noteさんの読書感想文投稿コンテスト「#読書の秋2020」に参加しようなんて思っています。
さすがに読書感想文で、本文の感想が1行もないのはマズいでしょうね。
とりあえず、この章を「表紙の感想」という変なタイトルをつけて誤魔化しちゃいます。
<2>「読みたいこと」って何?
「はじめに」がはじまって18文字目(ボクのカウントが間違っていなければ)。そこにあった10文字がいきなり衝撃的だった。
あなたはゴリラですか
えっ、これ何の本?
そう思って、もう一度本のタイトルを確認してしまった人も、いるのではないでしょうか(そんな人はいない)。
「1行目は2行目を読んでもらうために存在している」
こう教わってきていますが、冒頭からいきなり自分が「ゴリラ」かどうか訊ねられたら、次の行どころか何ページも読みたくなる。そんなインパクトの強い一文です。
仮にもし、田中泰延さんのことが大っ嫌いで、書いたものなんか見たくないと思っている人がいたとしても(そんな人は絶対にいないと思っているが)、
あなたはゴリラですか
このひと言で始まる文章を見せられたら、しばらくは読み続けるでしょう。その人がホントにゴリラだったら別ですが(そんな人も絶対にいないと思っていますが)。
ということで、ボクは冒頭から田中泰延ワールドに、のめり込んでしまいました。
あ、そうそう。本を読み進める前に一つだけ注意事項があります。
この本を全部読み終わる前に、決して最後(奥付)の一つ前のページは見てはダメですよ。
ツルの恩返しのように忠告しちゃいましたが、見たら絶対に後悔します。ボクのように。万一、見ちゃったら、すぐに忘れちゃってください。
さあ、これであなたは最後の一つ前のページが見たくて、仕方がなくなってきましたよね。
これであなたは、この本を買って、最後まで読まないと気が済まなくなってくる・・・!
<3>なにを書くのか?
さて、話を戻しましょう。
まず、なにを書くのか。
本のタイトルでは「読みたいものを、書けばいい。」となっている。
読みたいものって何だろう。考えながら読み進めると書いてあった。
じつは、書きたい人がいて、読む人がいる文章のボリュームラインは
「随筆」なのである。
随筆。そう、言われてみれば確かに随筆だ。ボクたちが普段SNSやブログなどで読む文章、大半は随筆だったんだ。
で、随筆っていったい何なの?
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
ん? どういう意味? わからないから読み進めてみます。
世の中のあらゆるモノ、コト、ヒトは「事象」である。それに触れて心が動き、書きたくなる気持ちが生まれる。それが「心象」である。
その2つがそろってはじめて「随筆」が書かれる。人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたいのである。
———実際に起きている物事に対して、心が動いたところを書く。
そういうことか。
たしかに、起きている物事だけを書いても「だから何なんだよ!」って思う。
そうかと言って「感動した。良かった。この気持ちを誰かに伝えたい」とだけ言われても、「いや、ボクは結構です。一人で感動に浸っていてください」と答えちゃいますよね。
「事象」と「心象」がちょうど良く合わさるところが、「共感」を生んでいく訳ですね。
<4>だれに書くのか
さて、あなたは腰の痛みと眠気に耐えながら1万字の原稿を書いた。自分が興味を持った事象について、自分が抱いた心象を、自分が読んでおもしろいように書ききった。さあ、だれが読んでくれるか。
だれも読まない。だれも読まないのである。
——中略——
なぜか。あなたは宇多田ヒカルではないからである。
うーん、ミもフタもないぞー。それはボクは宇多田ヒカルではない。それは分かっている(当たり前です)。
———でも、それじゃあ、どうしたらいいんだよ!
そう思っていたら、ちゃんと書いてあった。
「ターゲット層にバズりたい」「たくさん読まれたい」「ライターとして有名になりた」という思い違いを捨て、まず、書いた文章を自分がおもしろいと思えれば幸せだと気がつくべきだ。
それを徹底することで、逆に読まれるチャンスが生まれる。
———そうか。まずは自分が読んでいて楽しくなる文章を書くのか。それを徹底していけば良いんだ。
いやぁ、スッキリしましたね。
<5>どう書くのか
事象とは、つねに人間の外部にあるものであり、心象を語るためには事象の強度が不可欠
強度の高い事象って何だろう? 答えはその先に書いてありました。
物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛
5厘6毛はともかくとして、とにかく調べることが大切なんだよね。
それは知ってる。大丈夫だよ、大丈夫! ネットにはGoogleさんもいるし、ウイキペディアさんもいる。何とかなるでしょ。
こう思っていたら、
ネットの情報は、また聞きのまた聞きが文字になっていると思って間違いない。
そうですか・・・。ハイ、確かにそうです。ネット情報は一次資料じゃない。大切なのは一次資料ですよね。
規模の大きな公共図書館などで、司書を頼りながら一次資料で調べていく。この本では、その流れについて詳しく載っています。
だから、怠けてググってばかりいちゃダメ。調べて「事象」をとことんまでつき詰めていきなさいってことですね。
ハイ、わかりました。
調べることは、愛することだ。自分の感動を探り、根拠を明らかにし、感動に根を張り、枝を生やすために、調べる。
「調べることは愛すること」。この言葉、奥が深いっス! ネット情報に頼って、ロクに調べもしないで書いていたボク。ひたすら反省しています。
<6>なぜ書くのか
自分が読みたくて、自分のために調べる。それを書き記すことが人生をおもしろくしてくれるし、自分の思い込みから解放してくれる。何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶということ以上の幸せなんてないと、わたしは思う。
この言葉が、まさに「人生が変わるシンプルな文章術」ということですよね。
自分のために調べる事って楽しいことです。正しい情報が分かり、学ぶことができるのです。
「書くこと」で人生を変えたい。それはまさに「自分が読みたいことを、書けばいい。」。これを実践することで手に入れられる。このことに気が付きました。
<7>最後に
感想文と言いながら、ボクのこの文章、ちゃんと感想になっているのか、ちょっと気になります。そこで、最後に1つ、素直な感想を言います。
ボクはこの本が好きです。
「感想を言うなら、もっと具体的に言いなさい!」
そんな声が聞こえてきたので、具体的に書き連ねます。
分かりやすさが好き。
遊び心満載なのが好き。
時々ためになることが書いてあるところが好き。
無責任を装っていながら、的確なアドバイスをくれるところが好き。
最初っから最後まで楽しませてくれるのが好き。
冒頭のひとことが好き。
文字の大きさのアンバランスさが好き。
2回読むと、更にためになるのが好き。
2回読むと、更に「笑うポイント」に反応できるのが好き。
最後のオチが好き。
「読みたいことを、書けばいい。」をリアルに実践しているところが好き。
非常に気づきの多い1冊でした。
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