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医者「ラリってるだけなので、大丈夫ですよ」

4月の末に今の家に引っ越して、1か月。
新しい街での暮らしのスタートと共に仕事は繁忙期を迎え、無事に体調を崩した。

そんな、5月の日々について振り返ったので、お届けします。とんちきな医者と出会ったのでその記録も兼ねて。先日行った奈良旅行の写真を添えて。

先日の投稿でご心配かけてしまった皆様、申し訳なかったです。気にかけていただき、ありがとうございました。嬉しかったです。
「元気になりました!」ってご報告できたらいいなあ、と思っていたのですが、体調はあんまりよろしくないです。今日は三度吐いてしまった。しくしく。

予兆

大和八木の喫茶店

5月上旬は精神的な調子がよくなかった。何もしていないのに動悸がしていた。今思えばそれは、忙しくなる前の予兆による焦りのようなものによる不調だったのだと思う。

5月中旬から、入っているプロジェクト4つのうち2つがピークを迎えた。それだけでも忙しいのに、加えて、プロジェクト関係なくよく気にかけてくれているマネージャーから海外グループ社向けのプレゼンを頼まれた。
さらに、ピークじゃなかったプロジェクトのうち1つは、イレギュラーな追加リサーチが降ってきて、残りの1つも、「これ以上の仕事は無理だなあ」と思ってたのに、好きな先輩から楽しそうな仕事を頼まれて、嬉しくて二つ返事で「はーい、やりまーす!」と言ってしまった。

怒涛

ホテルからの景色

結果、怒涛の仕事量。
仕事が終わらないこと、おわらないこと。
あまりにも終わらないので朝7時から夜22時まで連日働いてみたのだけど、それでもなお終わらなかった。すごい。ベッドから起きて即PC向かって、PC閉じて即ベッドに向かう生活でも、終わらないとは。

そして、週末。休みなんだから寝てればいいのに、あろうことか、平日を仕事で埋め尽くすことに飽き足らず、私は休日も予定でぱんぱんにしてしまっていた。
ある日は午前中にMBAのクラス(※会社からの要請でほぼ強制で受けることになっている)を受講してから遊園地に行き、ある日は大学の友人とのピクニックと高校の親友とのデザフェス、大学のインターン先の先輩とのディナーを1日に詰め込み、更に、ある週末には金曜の夜に東京駅を発って奈良に2泊の旅行に行ったりしていた。そのほか、家族にも会いに遊びに行ったし、彼氏とも出かけた。全部5月下旬だけの話である。

違和

帰りの電車にいたスペイン村のマスコット

なんだか風邪っぽいな、と思ったのは奈良から帰ってきた翌日の月曜日だった。5月の最終週。まあ、疲労かなあ、生理も来てるしなあ。仕事もまだ山場だし、休める状態じゃあないしなあ、と、月、火は市販の風邪薬で誤魔化していた。それで水曜日、沢山咳が出るなと思っていたら、咳込み過ぎてそのまま吐いた。咳で吐いたのは初めてだった。うーん、頭も痛いし流石にまずいか、と思い、急遽1時間半の時間休を取って、病院に行くことにした。

4月末に今の地域に引っ越したので、行ったのは初めて訪れる病院だった。グーグルで探して、ウェブで予約ができた一番近くて綺麗そうなところに行くことにした。

小綺麗な病院に着いて、受付を済ませると、どことなくおかしな医者が出てきた。
40代くらいの男性なのだが、アレルギーある?と聞かれたので「はい、バラ科のくだものと、ピーナッツ等のナッツ類です」と答えると「ああ、ぴーなっちゅ、なっちゅね」と言った。聞き間違えか?と思ったが、今は確信を持っている。絶対、言った。

その後、こっちは頭が痛くて苦しんでいるのに、「あなた、話し方がリケジョっぽいね」「日本でコーヒー豆をつくるビジネスをしたいんだけど、一緒に始めませんか?」などと持ち掛けられ、「体調が悪いときに、情緒的で文系的な受け答えができると思うか?」「わたし、気候変動関連のコンサルって名乗りましたよね、日本でコーヒー豆作るのは環境的には私は良くないと思いますよ?コーヒー取れるところ気候が全然違うし」などと脳内では思いながらも、それを脳外に出す元気もなく、あいまいに笑っているうちに診察は終わった。

崩落

葛城一言主神社

翌朝、木曜日。
医者が「これはねえ、一番強い薬なんですよお」と自慢げに出してきた咳止めを朝のみ、お客さんとのオンライン会議に挑んだ。

最初のうちは、調子が良かった。
なんだかいつもよりも調子が良いくらいに感じた。はきはきとお客さんに説明をし、会議は順調に思えた。

途中で咳が止まらなくなるまでは。
一度QAセッションをはさみ、説明を再開しようとしたところ、咳が止まらなくなった。話そうにも私の咳が己の説明に合いの手を入れてしまうので、全然話が進まない。見かねた先輩が「私が代わりますね」と説明を代わってくれた。
これはまずいと私は焦り、カメラをオフにして台所に走り、市販の咳止めシロップを飲んだ。

よくない判断だった。
咳は止まった。それはよかった。QAセッションがまた挟まれ、次のパートに移ったので、「はい、ではまたここからは私からご説明させていただきます!」と、進行を取り戻す。「先ほどはすみません~咳止め飲んだのでもう大丈夫です!」とにこやかに笑い、お客さんからも「大丈夫ですか~」とにこやかに心配されて和やかなムード。

私は、はつらつと、話し出した。
「では、ご説明させていただきます!こちらの、Cの箇所についてれる、ら、」

話し続けられなくなった。急に、ろれつが、回らなくなったのだ。
え、と思っているうちに頭が机の上に落ちる。起き上がれない。
「……ええ、と、咳?が酷いみたいなので、私の方でご説明しますね」と、画面から急に消えた私に困惑している先輩の声が、遠くで聞こえる。私は、そのまま椅子から落ちて床に転がる。

飲み合わせか。朝飲んだ処方薬と、さっきの市販薬の飲み合わせが悪かったのか。ふらふらとしながら思い当たる。まずいな、救急車?いや、まずは救急車呼ぶべきかどうか判断できる番号、なんだっけ、と朦朧としながら検索しようとしていると「すみませんー、画面動かしてもらっても」と聞こえてくる。あ、投影してるの、私だった。どうにか机にしがみついて起き上がり、画面を操作する。
そのまま、流れで最後まで画面を操作し続け、会議は終わった。

中毒

可愛い看板

めまいは終わっていなかった。どうしよう、これ、飲んだ薬吐いたりした方がいいのかな?でもどうやって、とぐるぐるしながら、取り敢えず薬を処方してくれた医者に電話をすることにした。

電話口に出た受付の人に状況を説明し、しばらく待つとどことなくのほほんとした雰囲気で、医者が電話口に現れた。

「あの、どうすれば」とかすれ声で聞く私に、医者は、言った。
「あーあのね、あなた、薬摂り過ぎて中毒になって今ラリってるだけだから。大丈夫ですよー。」
私は「はあ、そうですか」としか言えない。医者は、「薬に入ってた麻薬の血中濃度が、あ、麻薬って言っても合法なやつだから安心してね~、でそう、血中濃度がね、高くなってるだけだからねー。水飲んで安静にしててくださいねー。」と続け、「はーい、じゃあ、お大事にー。」と、電話は切れた。

脱力する。なんだ、ラリってるだけなので大丈夫って。人生で初めて聞いたぞ。

慈悲

駅の近くにいた猫

まだ眩暈はしていた。会社のTeamsで、まずは会議で代わってくれた先輩に連絡すると、「このプロジェクトのことは大丈夫なので一旦忘れて!他のプロジェクトについても僕に連絡してくれれば大丈夫です~」と言ってくれた。救われる。

その後、インゼリーをちまちまと飲み、夕方17時からもう一つの山場のプロジェクトの会議があったので、それまでには持ち直そうと横になった。

15時くらいに、まだちょっと調子悪いなあ、と、起き上がってTeamsを開くと、夕方に会議がある方のプロジェクトの先輩から連絡が来ていた。
何かしら、タスクの伝達かしら、と開くと、「火曜日の会議で咳込んでたから、体調が気になって連絡しました!無理しないでね~」と書かれていた。泣きそうになる。いつもクールな先輩。遅くまで働いていると、たまにビスコをくれる先輩。
うるうるとしながら状況を伝えると、「それは、休んで!」と返事が来るので、お言葉に甘えて夕方の会議は休むことにして、午後はまるまる横になって過ごした。

金曜日は、ほとんど作業だけの日だったので、休み休み働き、なんとか定時を迎えた。5月31日だった。5月をどうにか、終えた。その日最後の会議を終えた時、達成感のような、安堵感のようなものに、包まれた。肩に乗っていたものが、体を取り巻いていたものが、ストン、と取れた感じがした。

反省

うのまちコーヒー

怒涛の、5月中下旬だった。
ただでさえ、一人暮らしの勝手もまだよくわかってない中で、大変だった~。
2つのプロジェクトは、一旦ピークは越えた気がしている。海外向けのプレゼンも無事終わったし、リサーチもなんとか提出できたし、先輩との仕事も楽しくできた。
せめて、山場を超えてから倒れたので良かった。というか、まあ、いつも私はそうだ。一通り終わってから、ぱたん、となる。多分今回は、一人暮らしを始めてから1か月経ったあたりだった、というのも重なった。私は、環境が変わると大抵一か月経ったあたりで調子を崩す。

今も咳は出ているし、本調子とは言えないけれど、少なくとも今週の平日の調子よりはましだ。昨日今日と彼氏が様子を見に来て、ご飯を作ってくれた。ありがたかった。いろんな人に支えられている。

余談だが、今回私に処方された合法麻薬入りの喉の薬は、どうやら、アメリカではもう使われていないらしく、アメリカ人の彼は、What the f***と騒いでいた。
薬には気をつけましょうね。

六月

三輪神社

6月は、仕事は5月よりは落ち着きそうな見通しだ。休日もまだそんなに予定を入れていない。どうにか、このままをキープしたい。

ワークライフバランスについてとか、一人暮らしを今後どうこなしていくかとか、色々と考えたいことはあるけれど、まずは、体調をもとに戻すことを第一に、暮らしていきたい。

もうしばらく、あの医者にはかかりたくないし。

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