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経営のイロハ、起業ビフォーアフター [18 最終回]

連載記事【18/18】


起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」にみる経営のティップス。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。30年眠ってきた日本、そろそろ目覚めてみませんか?

尾崎氏のお話し、連載18回目最終回は物事の本質とは、のお話しです。

 今回で最後となります。物事の本質とはなにか…そこに着目していくと同じものでも、作られたイメージでなく、本来の姿が見えてくるよね、という話です。事業アイデアを考える際、あるいは、実際にやってみて、思うような結果が出てこないと感じた時、一般的には計画の見直しと方向転換を図るわけですが、そこで大事なのは、ここで話されている事実と実質をあらためて確認してみることです。ビジネスモデルキャンパスを書く前に、PEST分析シートを書く前に、まずは思考をめぐらして、そもそもこの事業は誰に何を提供しているのか、提供した物で、その誰かはどうなってほしいのか、どうありたいのか、時代の変化で提供しているものが陳腐化していないか、そもそも提供する先はあっているのか?などを考えてみるのもよいのかもしれません。その思考のもととなるものは、ここにある事実と実質なのかもしれません。

INDEX
1. “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2. 事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3. 起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4. 資本金・運転資金の集め方極意
5. 政府金融機関・銀行との付き合い方
6. ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7. クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8. 最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要
9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法
15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
  (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する
35. 事実と実質

ではでは、本文にいってみましょう!

35. 事実と実質

 MERCEDES BENZ(メルセデス・ベンツ)という車はみんな知ってるだろうが、誰もが憧れる高級車「おベンツ」の印象が強い。ところが、そういうイメージよりもMERCEDES BENZの本質と特徴は、他に先駆けた技術開発にある。

 安全技術の開発が最たるもので、セフティシャシ・クラッシュテスト・事故調査委員会・アンチロックブレーキシステム(ABS)・SRSエアバッグ(Supplemental Restraint System:サプリメンタルレストレイントシステム:シートベルトの補助拘束)・パッシブセフティ(受動安全)とアクティブセフティ(能動安全)など枚挙(まいきょ:数え上げるときりが無い)に暇がない。
MERCEDES BENZは2500件以上の重要特許を取得しており、公開している。ライバルメーカーであっても特許を使うことが出来るが、MERCEDES BENZの思想は、“人が死なないクルマ造り”にある。

 私は一時、広告代理店の要請でMERCEDES BENZのマーケティング業務を担当していた(他にも数社あるが)。チャラチャラCMでイメージ創りをするのじゃなく、MERCEDES BENZの軸は“FACTキャンペーン”だった。

「FACT(事実)」は捏造(ねつぞう:ありもしないことを、事実であるかのようにつくりあげる)できないし、裏付を持たずに架空の主張をしても通用しない。日本の政治家は頭が痛い話だね。

 「FACT」に基づく主張こそ説得力があるし、ユーザーの納得と安心を得られるもので、これによってMERCEDES BENZの本質が理解されてきた。
ところが、どこで狂ったのか“美しい日本のメルセデス”と訳の解らないコピーを使い出した(私の作品じゃないよ)。これはもう、愚の骨頂(ぐのこっちょう:この上なく愚かなこと)と言うしか表現のしようが無い。

 「FACT」と共に重要なのが「実質(REAL)」だ。「REAL」とは、“実際に事物に備わっている内容や性質”“外見よりも実際の内容が充実していること”“本当の内容・実際に内容の中心となるもの”で、言葉の由来は“実際の質がある”ということだ。

「REAL」の反対が「NAME(名目)」「FORM(形式)」で、“モノ・コト・ヒトに現われるうわべの形・型”となる。
 “事実と実質”を備える人になって。それを実践する力を兼備すれば、とても素晴らしい人間力を持つことが出来る。自分が人を観る時は、それらを見分ける「眼力」が求められてくる。

おわり

まとめ

いかがだったでしょう、18回の連載は私自身はじめてやったことですが、多くの長年にわたる会社経営をされてきている方を見ていると、たとえMBAを取ろうが、結局は寝不足になるほど考え抜いた事例への対処ではなく自分のケースに対して対処していく事なので、それは全然違う…自分自身のケースと常に向き合って、社員が路頭に迷うことがないように、利益を最大化していけるように経営をしていくしかないというような趣旨の事をおっしゃります。そんななかで、やはり会社経営する事は正直つらいし、泥水すするような事もいっぱいあるけど、それが楽しいからやっている。とおっしゃります。

 尾崎さんのお話も、会社を始める経緯、時代背景、取引先との関係、クライアント企業のさまざまないいことわるいこと、情報収集、人とのかかわり、さまざまな事がキャリアの中で起きていて、50年以上にわたる会社経営のなかで培ってきたノウハウやそこに学ぶことがあったかとおもいます。

 わたしがこの連載を始めるにあたって、この一連の文章は時代の変化などによっては昔話になってしまうことはないのか?あるいはそのように読者が思ってしまう事はないのか?という事を感じていなかったわけではありませんでした。しかし読んでいただけるとわかるのですが、一連の文章に新鮮な気づきや、まだ経験していない事がたくさん入っています。そこにかかれているのは、私たちがまだ見ぬお話や、私たちが様々なノウハウ本で見ないようなお話がたくさんあります。こうしたはなしは時代を超越するのだなとあらためて感じています。

こちらの記事、おもしろいなと思われましたら、いいねよろしくお願いします。そしてINDEXにある項目で気になるものがあれば、ぜひバックナンバーも見てみてください。一部有料の部分はノウハウに関するお話が詰まっています。これまで読んでいただきありがとうございました。

私が書いた他の記事もありますので、読んでやってもいいよ、と思われましたらそちらもどうぞ^^ 

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