ホバークラフト作ってみたよ!【第10話】
このお話は、物語でなく実話です。
モノづくりが好きな人は楽しめると思います。何を作ったかというと、パーソナルホバークラフト…しかもキャビン付き…???そんなの見たことないんだけど…それもそのはず、このパーソナルホバークラフトは、80年代のお話しなんです。今回はその10回目です^^
INDEX
自動車屋が創ったホバークラフト
“ほな、やりまひょか”
“なかなかイイじゃないか”
強制操舵 ・ 非常ブレーキ、‟何やそれ ?”
自動車エンジニアが設計したら、エアクッションヴィークルはこうなる
スタイリングだけじゃなく、センスが良いカラリングで行こう
1年がかりの 「設計承認」
放映日ギリギリのきわどい撮影
久米島 ・ イーフビーチが呼んでいる
撮影日がシェイクダウン航行 “トホホ‥‥(汗)”
マーケティングもイノベイティブに
ものすごいパブリシティに、業界も騒然
初めて見るエアクッションヴィークルに大興奮
“カタログもハイセンスね”
世界に144個しかないジッポー SENSOR ACV 300 S ライター
販売会社設定に全国へ旅ガラス
海を汚さないエンジンオイル
これぞ逆転の発想 ・ エンジン倒立搭載
‟ブルネイ王室ご用達~ !”
トランポだってお洒落に
レースに初出場、ノーマル艇でトップ
“フロリダで生産して、アメリカとカナダで売らせてくれ”
アメリカへ旅立った SENSOR ACV 300
フロリダ州の新天地で
15.世界に144個しかないジッポーSENSOR ACV 300 S ライター
販売資材として、ユーザーマニュアルとメンテナンスマニュアルを社内制作した。自動車の場合もマニュアルはしっかりしてないと具合悪いけど、マニュアル制作の専門会社があって、ものすごく高い。
マニュアルの中身は、ユーザーやメカニックに “どういうものはどう取り扱う” とか “どこがどうなればどう直す” とかイラスト入りで説明するもので、写真では制作できない。
マニュアルの構成 ・ 説明文 ・ イラストは、社員のH君が1人でコツコツ制作してくれた。しかも、驚くほど短期間で内容も的確なものだったので、‟これは才能だな” と感心した、ありがとう。
販売促進グッズも、ユニークで潜在ユーザーに喜ばれそうなものをオリジナル制作した。正規ディーラーには、SENSOR ACV 300 の格好良いイラスト入りで ‟Authorizeda Dealer (公認販売店)” と記載された 30cm四方もある盾を作った。テーブルにも置けるし壁にも掛けられるもので、イラストが素敵だから〝欲しい” という人が続出したけど、誰にでも差し上げる訳にはいかないやな。
カタログ ・ ステッカー ・ ポスターなど印刷物は、自社製特装車の仕事で旧来からお世話になっている印刷会社に依頼し、妥当な価格と納期で高品質なものを納品してくれた。
プロモーションVTR は、久米島で撮影した映像からビデオ制作会社が数分の短編を編集してくれた。SENSOR ACV 300 S 編と U 編の2種類で、パッケージはカタログと共通イメージの素敵なものだ。このVTR は、SENSOR ACV 300 の購入者に、他の販売促進グッズと一式のセットで進呈した。
当社とスポンサー4社のロゴマークをデザインしたチームウェアは、F1チームのユニフォームを思わせるデザインで、これも ‟有償購入したい” と希望者が多かったが、まずは購入者で手一杯だった。
フローティングキーホルダーはイグニッションスイッチのキーを付けるもので、水上でキーを水中に落とすと大変だから、お洒落グッズを兼ねた重宝なキーホルだ―として人気を博した。
リストバンド付きキルスイッチは、リストバンドから螺旋コードが伸びていて、その先をキルスイッチ (エンジンへの通電遮断スイッチ) に接続する。本来はジェットスキー用グッズで、ドライバーが落水したときエンジンを止めてくれる貴重品だが、イメージモノとして採用した。
テレフォンカードも、当時はたくさんコレクターがいたし手ごろなプレゼントとして好評だった。面白いと言えばチョット失礼なんだけど、SENSOR ACV 300 S のイラスト入りジッポーライターは欲しい人が熱くなったね。144個 (12ダース) しか作らなかったから、ジッポーのコレクターには垂涎モノだ。最初の144番目までの ACV 購入者にプレゼントする目的だったから、マニアはどうしても入手したいようだ。
そうそう、ラジコンも 「独占 ! 女の60分」 でTV放映されたときから購入希望者が大勢連絡をくれたが、玩具メーカーに生産販売のライセンス供与しているのになぜか市販されなかった。問い合わせると、責任者が空飛ぶ円盤と勘違いして契約したため、社内で揉めた挙句に発売が見送られたというアホみたいな話もある。空飛ぶ円盤だったら、ちょうど良い落ち話だったね (笑)。
16.販売会社設定に全国旅ガラス
SENSOR ACV 300 Project は、素晴らしい製品が出来たし、さまざまなマーケティング活動を展開したし、ある大企業が生産してくれることが決まっていたし、何か抜かりは無いかと常にチェックしていた。
一番大変な仕事は、日本全国をネットワーク出来る正規ディーラの販路設定だと解かっていた。造っても売れなきゃ話にならないからね。そんなとき、またまた報道各社が大きなバックアップをしてくれた。
今までのパブリシティ (報道による広報) も凄かったけど、今度は、数社の雑誌社が ‟SENSOR ACV300 正規ディーラー募集” の記事を掲載してくれた。‟ありがたや、ありがたや” どころか、その2乗だ。
いや~、こちらからは判らないけど、多くの人が ‟何かイイものないか ?” と情報を探しているんだね。全国から数十社の引き合いが入り、嬉しかったとともに、報道の威力をまざまざと見せつけられた。
問合せをいただいた各社に電話して、まずは相手先の内容と SENSOR ACV の正規ディーラーとして販売しようという志を確かめた。多くの相手先が真剣に考えていて、冷やかし話は無かったのも嬉しい。
当社からガイダンス資料を送り、相手先の会社概要など事業の裏付け資料を送って貰った。販売を希望されている相手先は漏れなく協力願いたいが、ビジネスだから間違いが起これば相互に不幸なだけでなく、他の正規ディーラーにも迷惑が掛かる。慎重に交渉先を絞り、40社ほど面談を予定した。
相手先の所在地は、北は北海道から南は鹿児島までおよぶ。日程調整をして、旅ガラス行脚が始まった。正規ディーラー希望者が全都道府県にある訳ではないけど、中には大手企業もあるし、電話のインタビューでは、販売希望地域は全国をカバーする。
百聞は一見にしかずと言うから、物事は現場を見て自分の眼で確かめないと判断できない。私の視点は、相手先の体制 ・ 設備も大事だけど、大きく2点に照準を当てた。ひとつは、人が乗って走るヴィークルを取り扱う考え方と感覚、ひとつは経営者の人格だ。
同時に、広範に数か所で試乗会を開き、選択した候補会社を招聘して契約その他の要件を確認した。試乗会は、北は茨城県 ・ 南は兵庫県の各地で、茨城会場では北海道や東北から、兵庫会場では四国や九州から、はるばる来場してくれた。試乗会は、報道招待を含めて10ヶ所に及んだ。
ほぼ全国を旅ガラスで歩き、現地確認と協議の結果22社と正規ディーラー契約した。各社の申告テリでいうと全国をカバーできる。大手自動車販売会社 ・ 大手船舶販売会社 ・ 個人事業者まで千差万別で、積極的な正規ディーラーは自社用のデモ艇を直ぐに発注してくれた。ディーラー単位で、ショールーム展示 ・ 自社試乗会などが実施されたが、立ち上がりとしてはイイほうじゃないかな ?
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今回もビジュアル多めで見ごたえありましたね!
モノづくりをして、自社で販売しようとすると、プロモーションもディストリビューターの開拓と販売網の整備が必要になってきます。今の時代ならば、アマゾンや独自の注文サイト構築などで事足りる事もありますが、現物の在庫、配送などは独自のロジスティクスを考えないといけないかもしれませんね。
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