ホバークラフト作ってみたよ!【第2話】
このお話は、物語でなく実話です。
私はこのシリーズで口をはさむつもりはありません、モノづくりが好きな人は楽しめると思います。何を作ったかというと、パーソナルホバークラフト…しかもキャビン付き…???そんなの見たことないんだけど…それもそのはず、このパーソナルホバークラフトは、80年代のお話しなんです。
INDEX
自動車屋が創ったホバークラフト
“ほな、やりまひょか”
“なかなかイイじゃないか”
強制操舵 ・ 非常ブレーキ、‟何やそれ ?”
自動車エンジニアが設計したら、エアクッションヴィークルはこうなる
スタイリングだけじゃなく、センスが良いカラリングで行こう
1年がかりの 「設計承認」
放映日ギリギリのきわどい撮影
久米島 ・ イーフビーチが呼んでいる
撮影日がシェイクダウン航行 “トホホ‥‥(汗)”
マーケティングもイノベイティブに
ものすごいパブリシティに、業界も騒然
初めて見るエアクッションヴィークルに大興奮
“カタログもハイセンスね”
世界に144個しかないジッポー SENSOR ACV 300 S ライター
販売会社設定に全国へ旅ガラス
海を汚さないエンジンオイル
これぞ逆転の発想 ・ エンジン倒立搭載
‟ブルネイ王室ご用達~ !”
トランポだってお洒落に
レースに初出場、ノーマル艇でトップ
“フロリダで生産して、アメリカとカナダで売らせてくれ”
アメリカへ旅立った SENSOR ACV 300
フロリダ州の新天地で
【2】“ほな、やりまひょか”
例によって企画書をまとめ、得意の飛込営業から始めようとしていたとき、すでに知人に紹介されて存じ上げていた企業の社長にご相談たらどうかと思い連絡した。衣料品メーカーで、F1のスポンサーというのは知ってたから、イノベイティブ (革新的) でチャレンジング (挑戦的) な方のはずなので、話を聞いて貰えるかも知れないと、妙な確信が湧いて来た。
「引き寄せの法則」 みたいなのが作用したのか、社長にプレゼンテーションしたあと暫らく考えられてから “ほな、やりまひょか” とOKいただき、その衣料品メーカーの新規事業がらみでスタートした。
ホバークラフトは以前に操縦したことがあるので、どこをどのようにすれば画期的な新製品が開発できるかおおまかに把握していたし、日本のホバークラフト事情もある程度は解かっていた。車の開発プロセスで経験したことが活きるし、どの開発会社に声を掛けようか算段も付いていた。
最初に事業コンセプトありきで、調査に費用を掛けられないので、頭痛がするほど考えながら練り上げた。それに基づいて、どんな特徴を持ってれば後発参入で戦えるか、従来に無い新機構などを盛り込んだも製品企画詰めた。
事業コンセプトと製品コンセプトがグラついているために、スタートしてから失敗した例はいくつも観てるので、この作業には充分な時間とウェイトを掛けた。
開発会社の設計者とデザイナーに構想を説明して、まずイメージスケッチを作画する。画が巧い必要は無いが、事業コンセプトに沿って製品コンセプトを反映したイメージスケッチが必要だ。
方向が固まれば、クレイ (工業用粘土) モデルを作る。1/4か1/5 スケールが一般的だが、当社は1/5のクレイモデルを1台作り、左右が異なるデザインで2モデルを検討する。車でもそうだが、クレイモデルの段階で俯瞰 (ふかん:上から見下ろす) からの検討が極めて大事だ。
出来上げったボディを背の高さの視線で見たら、結構ヘンテコな製品がある。今ではCADが主流だけど、工業デザインは人間の目で造形を確認し熟成するのが必要だ。そのためには、クレイモデルの立体で造形検討をしないと、 ‟造形美” で勝負できる製品にならない。
ーーーーーーーーーー
いよいよ、ボディの造形デザインがはじまりましたね。いまどきならこのへんはCADで作り。3Dモデリングして、最終的にクレイなどで検討となるのでしょうが、当時はすべてデザイナーがレンダリング画を描き、モデラーさんがクレイを作っていますね、これはなかなか貴重です。
さて、これからどんどん開発が進んでいきますよ、このお話し面白くなっていきそうね、と思ったら”いいね”よろしくお願いいたします。