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【Reyes BACKSTAGE】 U-18 街クラブ日本一への軌跡 ⑤TCC全国大会 決勝 vs ブリオベッカ浦安


R4の愛知FC戦を終え、もう一つのR4をスカウティングしていた近野と山野から試合映像とメモを受け取った。


映像の配信とメモの共有を行ない、体のケアを促した。


決勝前夜の様子



会場のJ-GREENは海沿いに位置し選手が寄り付くような場所はなく、施設内に設置されていたジャンケンマシーンが唯一の娯楽だったのは後のラジオで知った。




<選手のスカウティング情報>

・システム
・背番号
・交代
・選手の特徴
・セットプレーの特徴

◇CK守備
ストーン二枚
→ニアポストの延長線上とその前
マンマーク

◇CK攻撃
キッカーの早いボール
ヘディングが特長の選手は要注意

◇FKフリーキック守備
ゾーン

・得点シーン
 ゾーン1へのスルーパスからのFWの得点
 CKアウトスイングでDF選手のヘディング
 CK跳ねかえりからのもう一度入れ直してDF選手のヘディング


2021.12.28.




試合前のミーティングで伝えたのは以下のこと。


<守備>
・相手FWのドリブル突破に対する対応
・相手SBの運び出しを警戒すること
・DF選手のセットプレーでのヘディングに気を付ける
・ライン間をコンパクトに
・最終ラインのコントロールをこまめに

<攻撃>
・CF大野は相手左CB側にポジションを取り、ハイボールを送りこぼれを拾い攻撃に繋げる
・前半は省エネ
・展開数、サイドチェンジを増やす
・アウトレーンから相手の背後、エンドラインを目指す

<他>
・相手のCKの守備マンツーマンを利用して攻撃する
・全員で声を掛け雰囲気をつくる


4日間連続の試合を考慮し、時間を進めて攻め急がず機を見極めて勝利を目指すつもりだった。

二試合目の大幅な交代を含めて、多くの選手で戦ってきた結果がこの試合に出ると考えていた。



2021.12.28.



<河野遼太・辻仁翼(つじまさき)>


ミーティングを終えて、二人の選手が声を掛けてきた。
河野遼と辻だ。

実はこの日の朝、朝食を終えた後に3年生の河野遼、辻、髙橋の3人を呼び出して話をしていた。優勝を目指して試合に臨むにあたり、後半途中から力を発揮してほしい、試合終盤の苦しい時間にピッチ内でチームを鼓舞してほしいと伝えていた。集大成として掛ける想いが想像できるだけに事前にスタートメンバーではないことを先に伝えておく必要があると感じていたからだった。


その二人から、スタートで出場したいとミーテイング直後に直訴された。

想いは嬉しかったが勝利に向かう為の試合のプランとして良策とは考えにくかった。常に100%で闘う彼らがこの連戦でパフォーマンスを維持するのは難しく、昨日の準決勝の試合でも疲労感は否めなかった。

また、個人的に過去の経験も考慮していた。6月のクラブユース選手権の時に同じ様な場面で選手の想いを優先して結果に繋がらず、その起用自体に後悔は無いものの、同じ取り組みの仕方はしたくないと考えていた部分があった。

二人の想いには応えられないが、自分が考える現状のチームのベストプランでスタートさせてもらった。ただ、彼らの申し出に後半途中からではなく、後半のスタートからピッチに送り出す決心ができ、試合開始直前にそれを伝えた。


2021.12.28.
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2021.12.28.
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<レイエス:スタートメンバー> 

       CF:大野
  左SD:宮澤     右SD:中島
左WB:三上 左V:松阪 右V:遠山 右WB:鈴木
  左HB:キーティング    右HB:横山
       CB:中村
       GK:甲斐


2021.12.28.
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<決勝・試合開始>


レイエスボールでキックオフ。


立ち上がりはお互い自陣での時間を短く前線への配球が多い展開。


ファーストシュートは前半2分。右HB横山から前線へ相手CBが弾いたボールを拾った中島が40mの距離から相手ゴールへシュート。少し前めの位置にポジションをとっていたGKの頭上を通り、惜しくもゴールバーも越える軌道でゴールにはならなかったが前向きな雰囲気をつくることができた。




前半12分。ハーフライン付近から相手FK。スカウティングでもヘディングが強い選手がいるのは把握していたので要注意のシチュエーションだった。

キックされたボールがゴール前へ送られ、競り合いのこぼれをシュートされたがすかさず右WB鈴木がシュートブロックに入りピンチを脱した。


次のチャンスは前半15分。CF大野へ配球されたボールが弾かれたが右SD中島が相手陣中央で前向きで拾う。競り合いで前にいたCF大野へつけ、左から駆け上がった左SD宮澤へフリック。宮澤がペナルティエリア内でコントロールしすぐさまシュートを放つがヒットせずGKにキャッチされた。


再び宮澤にチャンスが訪れる。

左WB三上が左サイドを突破しペナルティエリアに侵入。マイナスにサポートした宮澤へシュートを打たせるような強さでパス。ゴールやや左側13mくらいからシュートを放つがミートできずにボールは右側へ流れていった。


前半20分。またもハーフライン付近でFKを与え、そこからのこぼれ球でシュートを放たれたがゴール前で弾き流れを渡さない。


前半23分。相手コート中央、ゴールまで30mの距離からFKのチャンス。キッカーはCB中村。やや遠くに感じられる距離だが直接狙ってキック。放物線を描きドライブしながらゴールに迫ったが惜しくも枠には入らなかった。

直後に飲水タイムに入った。





再開後、相手守備のファーストアクションのポイントがハーフライン付近まで下がった。

後ろ3枚でのビルドアップに対し、2枚のFWでの守備スタートだったので、こちらのHBが相手FWの脇から侵入する形で持ち運び、クロスまで行けたシーンがあった。


相手もドリブルやワンツーでの崩しでサイドの突破から侵入を仕掛け、ストップするもののCKを与えてしまいピンチの場面が何度かあった。


前半34分。ペナルティエリア前中央やや右の位置でファールをしてしまい、相手にFKを与えてしまう。ゴールまで20m弱。直接放たれたシュートはバーを越え何とか失点は免れた。


お互いに最後のゾーンでの守備強度は高くビッグチャンスはつくれないまま進んだ。

最後の5分くらいは押し込む形になり、相手コートでの時間が増えた印象だったがゴールにつながるところまでは至らず前半が終了した。

2021.12.28. by Photo Create




<ハーフタイム>


・相手のドリブル突破に対してのカバーの距離が離れないように
・ルーズボールの処理を相手より早くボールを触ること
・河野遼のポストプレーから前進
・相手SHがこちらのWBについていった場合、HBが持ち出して前進
・相手CBをジャンプヘッドさせこぼれを拾い、疲労させ後半勝負へ繋げる
・FW髙橋を投入したらサイドに張り、アウトレーンのスペースを狙う




左WB三上に代えて辻、CF大野に代えて右SD河野遼を投入し、中島をセンターへ配置して後半をスタートした。



        CF:中島
  左SD:宮澤     右SD:河野遼
左WB:辻  左V:松阪 右V:遠山 右WB:鈴木
  左HB:キーティング    右HB:横山
       CB:中村
       GK:甲斐


後半4分。宮澤のボール奪取から追い越したV松阪が相手最終ラインの背後へランニングしそこへパス。相手の戻りと同時に駆け上がった辻にパスを出すがわずかにエンドラインを割ってしまいカウンターは成功しなかった。


<数的優位に>


後半6分。予期せぬことが起きる。自陣で相手ボールのスローインからの流れでクロスを上げられる。ボールがゴール前のゴールエリア内に上がりGK甲斐がキャッチしようとしたところに相手FW選手もヘディングをしようとして接触。ファールの判定になったもののお互いの選手が詰め寄り交錯するシーンに。審判団が協議した後、相手選手がレイエスの選手をプッシュしたというジャッジによりレッドカードが提示され数的優位の状況となった。


ここからはボールを持つ時間は長くなったがゴールを奪えない時間は続く。

両サイドを広く使い侵入を試みるが、引いた相手のスペースがない守備陣を崩し切るのは難しい。

ショートパスのテンポを上げて相手の間を割り込んで行くプレーや、早いタイミングでのクロスから、アウトレーンからのドリブル突破での侵入など、手段やサイドを変えながら向かうもののゴールまでは辿り着けない。

後半の飲水タイムを迎えた。


2021.12.28.



<交代・髙橋>


飲水タイム明けに左SD宮澤に代え髙橋を投入し右SDに。河野遼を左SDに代えてチャンスを窺った。

髙橋はスピードとドリブル突破が特長の選手。1プレー目でやや雑に送られた背後へのボールに反応しバウンドして跳ね上がったボールを相手DFが処理に一瞬間を置いた隙にジャンプしながらボールを前にこぼしシュートを放った。

枠には行かなかったものの相手陣を破る期待感は持てるプレーだった。
周りの選手たちも勇気づけられ、チームとしての勢いをつけるきっかけとなったプレーに感じた。



チームの狙いがはっきりした分、そこへ急いでしまうプレーにより質が落ちて繋がらないシーンがいくつか続いた。

後半30分。相手にCKのチャンスを与えてしまう。

終盤に差し掛かる時間帯で人数の少ない相手からすればセットプレーは是が非でも決めたい場面。ヘディングにストロングを持っている選手もいる中で、嫌な空気が流れた。

ニアに来たボールを何とか触ったがそれて放物線を描いてファーポストの前あたりへ。競り合うものの相手が先に触りヘディングシュート。良い体勢ではなかったこともありボールはバーを越えた。


少し焦りを感じ始めていたのか、CB中村が自陣深くから右の髙橋を狙った長いボールを送るが内側に引っ掛け中央に構える相手CBのところへ行ってしまう。これまでチームを鼓舞し続けてきた左SD河野遼がすかさず中村へ声を掛ける。


すぐに落ち着いてボールを動かし、右サイドをオーバーラップした右HB横山がエンドライン付近からクロスを上げこぼれたボールを中に位置していた右SD髙橋が拾い、目の前の相手を横へ交わしてシュートを放つが体を投げ出した相手DFにブロックされてしまう。


後半35分。再び右サイドからオーバーラップした右HB横山がドリブル突破でエンドライン付近をサイドからペナルティエリアに侵入。相手をかわし、ゴールエリアの角あたりからトゥーキックでシュート。ファーポストを横切りゴールは奪えなかった。相手守備の集中力は切れることはなかった。




後半40分、CB中村の少し遠目からミドルシュートは枠を捉えず、後半41分にはCF中島がペナルティエリアに入ったところからシュートを放つがブロックに合いバーを越えた。それで得たCKもゴールには至らなかった。


ゴールに近付いてきたが相手の高い守備力に割るとこまで至らず、難しい時間が続いていたがGK佐藤をはじめとするサポートメンバーたちは絶えずポジティブな声をかけ続けていた。ピッチ内の選手たちは確実に背中を押されていたことと思う。正にチーム全員で闘うことができていた。


CB中村と左HBキーティングのポジションを入れ替えた。中村を左サイドへずらすことでミドルシュートを多く誘発する狙いだった。


後半43分。右W鈴木が割り込みを試みた流れでペナルティエリア中央へ。ボールは外へ流れるがクロスが入り、そのこぼれが鈴木へ。胸でコントロールし左足のボレーシュートを放つが惜しくもGK正面だった。


アディショナルタイムが6分と表示されたが、ゴール前まではボールを運べるものの、割り切れずに刻々と時間が経過していく。


ハーフラインでボールをロストしカウンターに。外へ運ばせる対応ができ、相手としてはCKを取るようなシーンに。CBキーティングがうまく対応し自分たちのゴールキックとなった。




<アディショナルタイム終盤>


ゴールキックになった瞬間に、右SDの髙橋がベンチ前の私のところに寄ってきた。左サイドをやらせてもらえないかと。左側の方が利き足の右足で内側への持ち出しを得意としていて左に入ることもこれまで多かった。この試合では相手の守備の特徴を考えて右に配置していた。何より、本人が要望を伝えてきたのは初めてのことだった。ゲーム中に何かを感じ取り変化を起こしてプレーする意図を持ってアクションを起こしたのだと思う。左SD河野遼とポジションを入れ替わるよう指示を出した。

このことが最後の決め手となった。

2021.12.28. by Photo Create



<決勝点・タイムアップ>


ついにその瞬間が訪れた。


アディショナルタイムも残りわずかのところ。

相手が背後狙った配球をGK甲斐がペナルティエリアを飛び出して判断良くクリアした後の相手ボールスローインからだった。

なんとか掻き出して前線へ配球したいところ。相手も前に弾く。その攻防が何度か続いた後に左HB中村が左W辻の前のスペースへ落とす。辻が反応し、前線でチャンスを窺う左SD髙橋へ浮き球のパスを左足で送った。相手も満身創痍。最後の力を振り絞っての対応に見えた。ボールが髙橋側にこぼれドリブルでペナルティエリアに侵入。カバーに入った相手守備の選手を目の前に、細かいステップとキックフェイントからタイミングをずらしてシュートし、ゴール左上に突き刺した。


歓喜。

髙橋がベンチメンバーの元へ駆け寄り、選手たちが迎え入れ喜びを爆発させた。



ノータイム。キックオフ後の1プレーで試合終了のホイッスルが聞こえた。



全員で喜びを分かち合えた。涙を流して喜んでいる選手もいた。感動した。



臨場感、一体感、高揚感、達成感、安堵感、充実感、多幸感など、様々なことを感じた瞬間だった。



タウンクラブカップ全国大会優勝。

2021.12.28. by Photo Create


2020シーズンは準優勝に終わり、2021シーズンは目標としていたクラブユース選手権の全国大会出場と県リーグの昇格を達成できず、失意の中で今大会がスタートしていたことから是が非でも勝ち獲りたかった。それを成し遂げることができた。

また、1期生にタイトルを。
昨年の借りを返すことを。
河野遼、辻がピッチ上で歓喜の瞬間を。
大阪に連れて行くか迷っていた髙橋が活躍して勝利を。
怪我の2名の選手を除くプレー可能な23名全員が大会のピッチでプレーして優勝を。

2021年最後の最後で記憶にも記録にも残る結果を出すことができた。

MVP 遠山翔太
MIP 河野遼太
得点王 中島孝介



<最後に>


これまで読み進んでいただきありがとうございました。

1期生をはじめとする選手たちの頑張りを記録に残したい、クラブの歩みをみえる形に、取り組みを振り返り次に繋げたい、そんな思いを文字へ託すことにチャレンジしてきました。

拙い文章で伝わりづらいことも多々あったかと思いますがご容赦ください。


個人的にも大変貴重な経験をさせていただきました。重ねて御礼申し上げます。
選手、保護者の皆様、ありがとうございました。
大会関係者の皆様、対戦いただきましたクラブ関係者の皆様、レイエスを応援してくださった全ての皆様、誠にありがとうございました。


これからも新たな取り組みに精進して参ります。
今後とも宜しくお願い致します。




東急SレイエスFC
宮島俊

2021.12.28. by Photo Create
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