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Z世代とゼブラ企業−Z世代起業家とインターン生に聞く、社会や消費、仕事への考え方

1995年‐2015年の間に生まれた世代を指す言葉として使われるZ世代。

近年”Z世代向けプロダクト”や”Z世代の購買トレンド”など消費行動、マーケティングを語る文脈であったり、あらゆる時代の変化の潮流を説明する際にも使われるこの言葉。

私達は設立から間もないですが、今までに若い起業家の方とフランクに語るクローズなイベントを行ったり、カジュアルに意見交換をしてきました。

その中で、社会的に意義のある事業領域に関心をもつZ世代と、社会的インパクトを重視するゼブラ企業はとても親和性があるのではないかと感じたのが、今回のイベント開催の背景でした。

今回は学生起業家とともに社会的にインパクトを出すためのアクセラレーションプログラムや新しい金融の取り組みを始めている株式会社UNERIの河合さんと、就活生であり、弊社でインターン中の三谷さんとともに、Z世代とひとくくりにせず、実態がどの様になっているのかを体験ベースで聞いていきたいと思います。

(本記事は過去開催されたランチイベント「Z世代とゼブラ企業」を読みやすい形に再編集したものです。アーカイブはこちらからご覧ください。)

画像引用:エムタメ!Z世代とは?語源、定義、ミレニアル世代・Y世代・α世代との違い

阿座上:本日はおそらくX世代とY世代の間に位置するであろう、私たち(阿座上、陶山、田淵)から色々と質問させていただきます、よろしくお願いします!

河合:よろしくお願いします!河合将樹と申します。現在は名古屋を中心に、社会起業家が生まれる仕組みづくりをテーマとした事業を運営しています。具体的にはソーシャルベンチャー向けのアクセラレーションプログラムの運営や、名古屋市のスタートアップ支援室と協働し、名古屋市共創促進コーディネーターとしてVC・金融機関と起業家のマッチングなども行っております。

私の周りには、財務的にも継続可能でありながら、社会的インパクトも同時に追求する社会課題解決型企業を目指している人が多いです。以前、田淵さん・陶山さんらとクローズドなイベントを開催した際も、株式会社の形態をとり社会課題の解決に取り組む若い起業家が多く集まりました。飲めば飲むほど海がきれいになるD2Cクラフトビール医学生が作る完全食チョコレート虐待サバイバー向けのライティング教育事業など、彼ら彼女らは、会社が大きくなればなるほど社会が良くなるという世界観を大切にしています。そして僕自身そういった若い世代、ときには感度高い高校生とも関わる機会があるため、彼らが考えている思考回路やとても特徴的だと思ったことについてお話できればと思います。

三谷:Zebras and Companyでインターンとしてイベント運営や記事執筆をしています。以前就活生として実際に抱えている悩みをもとにした記事を書かせてもらいました。

今まさに就職活動真っ只中で、社会的インパクトと経済性を両立したキャリアをどのように作っていこうかを模索しています。僕は名古屋の大学に通っており、起業家のコミュニティの中心にいらっしゃる河合さんとはちがい、周りの友人で起業する人はほとんどいない環境にいるので、そういった人が実際に、Z世代の特徴とメディアで言われるような特性を持ち合わせているのかという観点で、もちろん一個人の体験談ですが、お話できればと思います。

Z世代は多様なコミュニティに所属していて、SNSでの関係で強く結ばれている?

阿座上:それぞれお二人はどのような経緯で起業やインターンをしようと考えたのでしょうか?

河合:僕は名古屋で幼少期、学生時代と育つ中で「出る杭をうつ慣習」に苦しんできていました。この経済的にポテンシャルのある名古屋という地域で、”挑戦”が賞賛される文化を作っていきたいと考えたのが、名古屋で起業家精神のエコシステムを作っていきたいと考えた背景です。そして昨年からのカンファレンス事業や、今の会社でのインキュベーション事業を進めていく中、社会課題の解決に繋がる起業家が育つ環境が整備されていないということにに気づきました。愛知県は2018年に資金調達額日本二位になるなどスタートアップ向けの環境は整いつつありますが、事例が日本全体でも少なく難易度の高い社会的事業を行うには、まだ県内に情報もロールモデルもエコシステムも不足している状態です。

なにしろ自分自身が同じ価値観の仲間や先輩起業家と接点を持てることの必要性を感じています。僕は大学生活を7年間過ごし、母校といえるようなコミュニティが10個くらいあるような状態になっているのですが(笑)、だからこそ大学以外のコミュニティが1つでも増えることで、事業の成功角度やメンタル面での安定にも繋がると実感しており、UNERIもその1つになっていきたいなと思っています。

阿座上:そういった背景で今の事業を始められたのですね。今のお話のように複数のコミュニティに所属しているのはデジタル・ネイティブで様々な人とつながる事のできるZ世代にとって当たり前なんでしょうか?

三谷:うーん、、僕の周りではそんなことはないと思います。笑
今も昔と変わらず、バイト先だとか学校、サークルといったところを拠点にしている人は多いのではないかなと思います。逆にそういった起業しようとしていたり、なにか新しいことを始めようとする人たちは、大学以外の場所で活動している事が多いです。なにか面白いことを進めようとしている人ほどキャンパスではあまり見かけなく外に出ていっているイメージがあります。

阿座上:そこは二人のちがいが出てきていますね。SNSでつながることが当たり前になっているということで新しい人とつながりが生まれやすくなっていることは、そういったコミュニティの多さと関係していたりしますか?

河合:TwitterなどのSNSがあることによって、数回しか話していなかったけど共通の世界観を目指している人と繋がれたり、紹介してもらって新たな人とつながったりとかはありますね。特になにか特定の領域で活動をしている人は、同じような考えを持っている人をSNS上で見つけるとすぐに共感して繋がりやすいと思います。
会った回数が2,3回と多くなかったとしても、根底として目指している価値観が近いゆえに隣にいるような形でつながれている感覚もあります。今の会社の仲間とも、最近対面で初めて会ったというレベルなのですが、全員のパーパスが一致しているので、離れていても大丈夫だなという安心感のようなものを感じますね。ただもちろん“同じ釜の飯を食う”みたいな経験は熱量高いつながりを生むのに有効だな、と起業家向けの合宿を作っていた立場としては感じます。

阿座上:誰でもSNSで深く繋がれるというよりかは、根底に持っている価値観やユニークな活動の内容の親和性がある人とつながりやすいので、結果的に繋がりやすくなるということなんですね。

Z世代は仕事と社会貢献をどう考えている?

陶山:先程の話で同じパーパスを持って一緒に働いている人の話が出ましたが、働くということと、社会的インパクトを大切にするというのは可能だという認識が大半なんでしょうか?

河合:私自身新卒起業家なので参考になるかわかりませんが(笑)、どちらもきれいに両立できると思っています。

陶山:やはり多くの人がそういった社会的なインパクトを重視している企業で働きたいと思っていますか?

河合:インパクト投資の投資先になっている企業などは、周りの留学していたことがある人だったり、ソーシャルグッドについて興味を持っている人であれば過半数以上が入りたいと思うのではないでしょうか?

むしろ「社会課題解決というところをわざわざ謳っている企業はダサい。それは前提でしょう。」と考える人は多いように思います。

高校生の起業に関心のある人と話すことがあるのですが、インパクト投資の話をしたときに、「え?投資って基本そう(財務的リターンと社会的インパクトの両立を意図した投資)じゃないんですか?」と言われて、「いや基本はファイナンシャルリターンのみをみるのが一般的だよ」といったら、「絶望した」と言っていましたね。笑
ただ一方で、世代での考え方のギャップを知りつつ、どう振る舞えば大人からけむたがられないかを理解してしてうまく立ち回っているのも彼らの特徴だと思います。

陶山:三谷くんは今就活生だと思うのですが、両立したキャリアは見つかりそうですか?また周りの人はどうでしょうか?

三谷:僕の周りの友人も、所属している団体の性質的にも、特定の社会課題について興味を持ったり、実際にその関係者の方と関わるような活動している人が多いです。一方で、新卒就活という時点では社会性というよりは、自分が成長できるか、自分の価値観と合致しているかなどを優先的にみて企業選びをしている学生が多い印象です。

そういった学生時代に社会課題に興味を持ってきた人たちは、僕も含めて新卒就活を前にして、大小あるかと思いますが、一つのジレンマを抱えることになる気がします。社会的な意義とかを大切にしている魅力的なベンチャー、スタートアップ企業は多くあるんですが、そのような企業は新卒を一括で採用しているケースは多くないので、どうしても新卒の就職先としては候補に入りにくいです。もちろん長期のインターンから直接採用してもらうといったケースがあるかもしれませんが、そうなると候補としては多くても1社か2社に絞らざるを得ないです。なので多くの人はオープンに新卒を公募している企業を選ぶのだと思います。そして新卒向けの企業の説明会に足を運ぶと、冒頭で社会の不確実性や人生100年時代などの話をベースに、「この会社ではどのように成長できるか」などといった、個人の成長軸に訴求したお話をしていた会社さんが多かったりします。

その結果、自分自身が学生時代に蓄積してきた社会への課題感の優先度を一旦さげ、まず自分自身がどのように成長できるかを念頭におきながらキャリアを考えるケースも多いのかなと思います。

阿座上:学生の中で、イケている企業にそういった社会的企業らしさみたいなところは含まれてきているんでしょうか?

三谷:そこはまだメジャーな評価基準にはなっていないと思います。いわゆる入るのが難しいと言われている企業、コンサルや商社、大手広告代理店などが今も昔も人気だと思いますね。そこにいけると能力の高いことの証明になるようなイメージもあります。

阿座上:なるほど、Z世代の中でも20代か10代かで社会課題解決に対しての前提が違っていたりしている一方、就活生のキャリア選択という観点でいくと今も昔も変わっていない点が多くあるんですね。

Z世代はサステナブルな消費を常に心がけている?


阿座上:僕はマーケティング的な観点でも話を聞きたいんですが、よくメディアではZ世代はサステナブルな商品に関心を示すと語る記事が多くあるんですが、実際のところどうなんでしょうか?

河合:自分にとって価値があるものにはお金を多く出すことを厭わないといった、自分にとってのお金のポートフォリオをうまく組んでいる人が多い印象はあります。例えば僕の場合だと最初にお話した起業家のクラフトビールは美味しくて気に入っていますし、ヘラルボニーさんのネクタイとかはおしゃれで好きです。2つともストーリーがあり、その会社が大きくなれば地球も良くなる。だからこれは最高の商品だと思い購入します。逆にそういった商品は値段がはるため、できるだけほかの服だったりは手頃な値段の服を勝手で着回したりと使い分けていますね。

画像引用:株式会社ヘラルボニー|LIFESTYLE


三谷:そうですね、やっぱり世代的にもお金をたくさん持っているわけではないので、サステナブルな商品ばかり買えるわけではないかと思います。

でもブランドものとかで着飾るのはダサいのではと感じる人も多い印象はありますね。ブランド物だったりサステナブルな消費も結局過度にアピールはしたくない。コミュニティによってはそういった意味消費的な文脈に対して揶揄するような人もいるので。

阿座上:昔は好きな音楽のジャンルとか当時流行っていた、ディオールとかのブランドを身にまとい、自己表現している人もいたように思えるのですが、今の人はファッションで自己表現をしている人はそんなにいないんですかね。

三谷:もちろんそういう人はいますけど、多くはいない印象があります。どちらかというと自己表現というよりかはダサく見られないようにするためにSNSではやっている何かを着てきたりするといったことで、自分が本当にこだわりがある人はあまり露骨に人に見せないような気がしています。

阿座上:なるほど、そこでも周りに合わせて無難にスマートに対応できるといった特徴が現れているんですね。

河合:ただ自己表現を起点として起業している人は多いんじゃないかと思います。

Z世代は自分らしさをすごく重視する?

河合:周りのZ世代の子たちを見ていると、人生の意思決定の軸が自己表現発信なことが多くあるように思うんですよね。事業をつくるときに社会課題解決みたいなところは当たり前に近いんです。
それに加えて、これが素敵だと思う!という自身のこだわりから事業を作ったり、社会に対して何かを問い直したり、課題提起をするような事業を作っている人が多い印象です。そういった、自己表現、アーティストのような側面があるような人が多いように感じますね。
その考えの延長線上に起業という道があったり、ほかにも自分の生き方に合っているかという側面で就職先をきめている人は多いかなと思います。

阿座上:今までお話を聞いて、Z世代の中でもその特徴がどの程度差があり、三谷さんの話を聞いていても、すべての若い人が社会的インパクトにこだわりがあるというわけではないように思えました。
社会的なインパクトに関心をもったり、自己表現軸を突き通して事業を作ったりする人はそうじゃない人とどういった違いがあるんでしょうか?

河合:好奇心旺盛かどうかというところは大きいかなと思います。そしてそれを形成する過去として、幼少期自分のやりたかったことを否定されなかったかが関係してきているかと思います。

今は好奇心があると自分の価値観を大切にできやすいと思います。僕自身は1995年生まれで学校とか部活動とかの限られたコミュニティにいましたが、今は好奇心があって、行動さえ起こせば、いろんな価値観の人と手軽にSNSなどを通じてコミュニケーションを取ることができます。Youtubeなんかもそうですよね。

そうすると親も学校もわかってくれないけどあの人はわかってくれる、あの人も同じことを考えているという存在ができ、自分自身の表現は間違っていないと思えるようになるんだと感じます。

阿座上:たしかにClubhouseに入ってきている高校生とかいて驚きましたもんね。好奇心旺盛な人にとっては、自分の考えを認めてくれる人を比較的簡単に見つけられる時代になったということですね。

最後にコメントを!

河合:日本のZ世代産業は、国内市場の大きさだけでみるとペット産業よりも少ないと言われています。でも世界的にみるとZ世代と呼ばれる若者の人口は多くを占め、いつの時代も若者がつぎの時代を作るように、Z世代もまたこれからの時代を作っていく主役になっていくことでしょう。だからこそ今最先端をいく高校生などからも学ぶ事はたくさんあるのかなと思います。

三谷:直近でも後輩の子にゼブラの話をしてとても共感してくれるなど、Z世代でそういった社会課題的文脈に関心があり、それをキャリアに結びつけようとしている人は多いです。だからこそ、ゼブラ企業のエコシステムができて、社会的インパクトを目指す企業こそクールと言われる時代が来れば、いろいろな人が社会課題に対しての考えを自分なりに大切にしながら消費やキャリアを楽しめる時代になると思うので、これからもインターンとして頑張っていきたいと思っております!

阿座上:本日はありがとうございました!


<編集後記 >

今回は我々の身近なZ世代のお二人にお話を伺いました。先日登壇したイベントでも高校生の2人が参加していて話を聞いたところ、地球環境のために大人が行動していない(しているように見えないということだと思いますが)ので自分達が動くしかないということで少しでも解決したいということをおっしゃっていました。Z世代と一括りにするのも良くないですが、若い人ほど「ゼブラ」なんて言葉がなくても人に頼らずに(自律的に)社会的課題の解決を自然と自信を持って行動している人が多く、社会が変わっていく流れを感じます。社会に少し早く出た我々もその行動力を支え、少し先を見せられる先輩でありたいなと思いました。ゼブラのコンセプトの中にもある、多くの人で問題解決に向かえるように、引き続きこうしたイベントや記事で仲間を増やしていければと思います。(阿座上)


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