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東京夜光録 2022.3.15(丸山)

こんにちは、こんばんは。俳優の丸山港都です。
個人でSNSはやっていますが、こうして劇団のメディアでみなさんにご挨拶するのは初めてでしょうか。よろしくお願いします。

だいたい月1でお送りしますこの劇団東京夜光のnote、どうかのんびりと楽しんでいただけたらと思います。

©︎Chihaya Kaminogawa

ぼくはいま仙台にいます。
劇団短距離男道ミサイルの舞台『Ultimate Fancy Ojisan』に出演するため、今月頭から仙台に滞在し、稽古に参加しています。

昨夏に東京夜光で上演した『奇跡を待つ人々』に人型AIのレイ役で客演してくれた本田椋くん。
彼が代表を務めている劇団短距離男道ミサイルに、今回はぼくが客演することになりました。

『奇跡を待つ人々』より  レイ役 本田椋
©︎Chihaya Kaminogawa

『奇跡を待つ人々』で東京夜光初の旅公演先となったここ仙台では、1週間の滞在制作とツアーのスタートをさせていただき、賛否たくさんの感想とともにとても暖かく迎えていただきました。
それが本当に楽しくて嬉しくて。
個人的に今年のどこかでまた俳優として来られないかしらと考えていたところ、今回のオファーをいただき、とても理想的なかたちでまた仙台に滞在することが叶いました。

『奇跡を待つ人々』より
©︎Chihaya Kaminogawa

さて、これを書いている今日は3月11日、東日本大地震のあった日です。
あれから今年で11年経ちました。

当時ぼくは大学卒業を控え、4月末の舞台公演の稽古がはじまる直前でした。
東京の御茶ノ水にある大学キャンパスで被災し、帰宅するため新宿方面に向かって歩きました。途中、市ヶ谷駅の改札上モニターに映し出された津波の中継映像は一生忘れません。あまりに壮絶な光景に絶句しました。

ぼくの俳優キャリアは震災直後から始まりました。
一昨年からのコロナ禍でも言われてきましたが、「いま演劇って必要なの?」という問いがあの当時も投げかけられていました。(少し性質は違うものではありますが)
稽古場でもこの問いに対しての考えを聞かれ、なにも答えられなかった覚えがあります。
この状況のなかで自分が演劇を続けることが誰かを傷つけてしまうのではないか、でもその誰かって誰なのか、いまこそ演劇というエンターテイメントを求めている人がいるんじゃないか、でも本当にそうなのか・・・
答えが出せないままその作品は上演され、ぼくのプロとしての初舞台となりました。

昨年震災から10年目を迎え、旅公演で初めて仙台を訪れて震災遺構の荒浜小学校や海岸を見てまわりました。
かつてたくさんの人たちの生活があった野っ原を見て、画面越しではわからなかったこと、見えなかったこと、想像できていなかったことをあまりにも生々しく感じました。
そしてようやく震災直後のあの問いに答えが出せました。
「必要かどうかはわからない。けれど、悼むこと、自分の人生を生きること、いまできることを大切にしながら舞台に立つことが自分のやるべきこと。」だと。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校
荒浜小学校 1階教室の様子
荒浜の海岸

短距離男道ミサイルは震災直後に「震災後の仙台、そして日本を励ましたい」と結成された劇団です。
椋くんの書く作品には、まったく訳のわからないカオスのなかに、あのころや今、そしてこれからの仙台の街やそこに暮らす人たちへのやわらかなまなざしがあります。
昨年あのときの問いに答えを出せていなかったら、こんなふうに彼の作品に向き合うことはできていなかったかもしれません。
いま仙台にいること、いまこの作品に携われることを、東京からやってきた客演として、いち俳優として、大切にしながら、明日も真摯に作品づくりに向き合っていきたいと思います。

〈3/13追記〉
稽古終わりに夜の石巻に行ってきました。
住宅地からがらんとした真っ暗な祈念公園を抜けて砂浜へと歩きました。
海はとても穏やかで、すこし遠くに工場がぴかぴかと明るく、反対に砂浜と海、海と空の境界は黒く溶けてひとつながりの布のようでした。そのなかにぽつんと、浮かんでいるのか飛んでいるのか、漁火が見えたのが印象的でした。
そして高い高い新しい堤防の向こうには11年前まで家々が建ち並び、たくさんの人たちの暮らしがあったことに思いを馳せました。
この今日見た景色をぼくたち俳優の身体を通してお客さまに見せられたらいいなと、そう思います。
滞在制作だからできる贅沢で豊かな時間でした。

夜の石巻海岸

なーんて、とっても長々とまじめに震災に関してのぼくの思い出とか思いとかを書いてきてしまいましたが、作品はとってもおバカでカオスでファンシーです。その根っこに仙台や東北への思いとかがぎゅっと詰まっています。
今回ぼくはお母さん役を演じます(大学生ぶり!)が、東京夜光ではぜっっっったい観られないことをわんさかやっています。
『奇跡を待つ人々』へのオマージュや、おじさんたちによるTWICEのマジダンスやなんかも必見です。TikTokでダンスチャレンジの様子も公開してます→ https://vt.tiktok.com/ZSdejUdnE/

ビジュアル撮影時のオフショット

ここ仙台の地で、とってもいい作品が生まれそうな予感がしています。
東京は北区の王子小劇場で3/31(木)〜4/3(日)、仙台は卸町のせんだい演劇工房10-BOXで4/6(水)〜4/10(日)の上演です。
ぜひ劇場に観に来てください。ご来場お待ちしています。

2022.3.11 丸山港都

以下公演詳細↓

劇団 短距離男道ミサイル
『Ultimate Fancy Ojisan』
作・演出 本田椋

2022年3月31日(木)〜4月3日(日)  王子小劇場
2022年4月6日(水)〜10日(日)  せんだい演劇工房 10-BOX box-1

〈出演〉
松崎太郎 丸山港都 山澤和幸 武長慧介
武者匠 本田椋 原西忠佑

〈日程・会場〉
2022年3月31日(木)〜4月3日(日) 
王子小劇場
31日(木) 19:30
1日(金)   15:00/19:30
2日(土) 15:00
3日(日) 11:00/15:00

2022年4月6日(水)〜10日(日) 
せんだい演劇工房 10-BOX box-1
6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
8日(金) 19:30
9日(土) 15:00/19:30
10日(日)  11:00/15:00

〈チケット〉
一般 3,900円 
学生 2,900円 
U-18 1,000円
VIP 5,900円(数量限定・最前列センターブロック確約・特典付)

〈ご予約 〉
https://www.quartet-online.net/ticket/ufo37

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