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私の演劇の記憶-FRAGMENT- 堀口紗奈

『FRAGMENT』の主人公が俳優であることにちなんで、実際に俳優である出演者一人一人の、演劇に関する「記憶」を深掘りするインタビュー企画、「私の演劇の記憶-FRAGMENT-」。
俳優として生きている人の考えを「断片」を集めていくと、
自ずと『FRAGMENT』という作品につながっていくのかもしれません。

九人目は相澤笑里役、堀口紗奈さんにお話をお聞きします。


堀口さんはいつ頃から俳優のお仕事をしていらっしゃるんでしょうか?

ちゃんと仕事を始めたのは、この前の8月23日で6年目になるので、6年前ですね。大学を1年生で中退して、東京に来ました。大阪芸術大学のミュージカルコースに通っていて、最初はミュージカルの勉強したいと思って入ったんですけど、入学式の日に先輩に「4年間通って卒業したら、売れ残りや」って言われて(笑)。「いい子は在学中に仕事が決まっていくから」って言われて、ムカついてその日から色んなオーディションを探して、今所属してる劇団4ドル50セントに受かって、東京に来たっていう経緯です。

売れ残り(笑)。ひどいですね(笑)。大阪芸大のミュージカルコースに入られたとのことですが、ではミュージカルに興味を持ったのはいつごろなんでしょう?

元々親がミュージカルとかエンタメ系の舞台とかが好きで、それでちっちゃい時から見せてもらっていて、自然と関心を持ってました。

一番最初に観た舞台はなんだったんでしょう?

母に抱っこされながら観たシルク・ドゥ・ソレイユです。全然記憶がないけど(笑)。本当にちゃんと演劇を観たって記憶にあるのは劇団☆新感線の『五右衛門ロック3』とかだったかな。で、これまで観た演劇の中で一番印象に残ってるのはサンプルの『変わり身』っていう舞台です。

それはどんなお話なんですか?

いや、もう、話とか全然意味わかんないんです(笑)。最後の方にみんなポーポーって言ってイルカ語で話し始めるっていう(笑)。それまでエンタメ系の演劇というか、歌があって踊りがあってウェーイみたいな楽しい芝居を観ていて、自分の劇団でもそういうお芝居をやっていたしもちろんそういうお芝居も好きなんですけど、下北とかで小劇場演劇を観てみるようになったら「え、演劇って思ってたのと違う」ってなって。そんな時に『変わり身』を観て、そしたらイルカ語でポーポー言ってるんですよ(笑)。そんなわけわかんない、本当にただずっとイルカ語で喋ってるのを観て、「あ、こういうのありなんや」ってすごい興味を持ちました。

それまで出会ってきたお芝居と全く異なるものだったんですね。

なんか「こんなおっきい声出さんでもいいんや」って。「普通に喋ってるだけでいいんや」って思って、こんな普通の日常の感じで面白く見せるっていうのが衝撃で。エンタメ系のお芝居って劇的じゃないですか。だけどそうじゃなくて、あくまで日常の感じなんだけど、ちょっとおかしなズレで、それがどんどんおかしくなっていってみたいな感じがすごく面白いなって思って、自分もそういうこともやりたいって思うようになりました。

そんな堀口さんから見て、劇団東京夜光はどんな印象ですか?

『悪魔と永遠』観たんですけど、「やばいことしはるな」っていう印象でした(笑)。でも今回『FRAGMENT』に参加して、直接話したり稽古したりして行く中で、やっぱり俳優さんの力がすごくて、本も面白くて。稽古のスピードは鬼早いですけど、俳優の皆さんもちゃんとそれについて行ってて、すごくやりやすいです。

今回のご自身の役、相澤笑里と堀口さんご自身で近いところはありますか?

なんて言うかひとまとめにしたら近いっていう感じかなぁ。周りから見たら自分ってこう見えてるのかなって思うし、確かに自分自身知らない人の前では笑里みたいに振る舞う。でもまぁ実際は人見知りだし、笑里ほどアッパー系じゃないっていうか(笑)。その違いみたいなのは演じる上で少し難しいところではあるんですけど、でもなんて言うかいい意味で自分は周りの人からこう見えているんだって思い知らせてくれました(笑)。

そう感じていらっしゃったんですね。では主人公の白戸景に関しては、堀口さんと同じ俳優ですがどんな印象をお持ちでしょう?

私も結構周りに流されやすいし、思想が自分の中にないわけじゃないけど周りからはないって見られがちって言うか何にも考えてなさそうって思われたりとか。実際何も考えてないところもあるし、白戸さんが武にめっちゃ言われてるシーンとかは「分かる分かる」って思います。私の周りには武みたいな人が多くて、そういう人たちに助けてもらって演劇を続けてきた感じやから、白戸の感じはすごく分かる。自分的にはすごい頑張ってるつもりやけど、確かに今まで何をやってきたかって言われたら別に何もやってないっていうか。

白戸と重なる部分があるということですが、『FRAGMENT』は白戸含め登場人物たちのその先がどうなって行くのかというところで幕を閉じます。堀口さんご自身はこの先どんな俳優になりたいと考えているのでしょうか?

むずかし〜(笑)。なんて言うか自分でも正直やりたいかやりたくないかわからないんですよ。25歳って年齢的に悩むじゃないですか(笑)。舞台が向いてないって感じることもあるし、恥ずかしいし。そういう意味では恥ずかしくない俳優になりたいって思います。

恥ずかしくない俳優ですか?

もう稽古とか恥ずかしいし、舞台上でも恥ずかしい。私自意識強めやから、基本的に恥ずかしい(笑)。まぁ恥ずかしいとは言いつつそのヒリヒリの感じも楽しみつつというか、見られてることを楽しみながらやっているんですけどね。でも別に芝居ができてるわけじゃないけど、他のことはもっと向いてないし。なんかめっちゃ白戸みたい(笑)。やばい(笑)。

最後にこの『FRAGMENT』、どんな方に観ていただきたいでしょう?

うーん。でも私と同年代の人には観てもらいたい。みんな白戸をどう思うのか知りたいって言うか、私は白戸のヤバさに共感できる部分があるから、「みんなはどう?」って。でもちゃんとしてる子はちゃんとしてるから、白戸を観てどう思うかでその人のしっかり度がわかるのかも(笑)。


以上がインタビュー本編になります。
劇団東京夜光『FRAGMENT』、吉祥寺シアターにて上演中です!

劇団東京夜光 公演
「FRAGMENT」
作・演出:川名幸宏
2023年、戦争が起きたら、俳優はどう生きるか。
その記憶は、誰の真実か—
2022年の本多劇場公演から1年半。
劇団東京夜光は”劇団とはいったい?”に勝手に向き合いながら1年間の創作を積み重ね、
劇場のある吉祥寺の1944年と2023年を繋いでみます。

1944年、B29東京空襲の最初の標的となったその場所に、2023年、あまりにも先が見えない 30 代俳優の男女ふたり。 広大な原っぱのベンチに座って、男の雑なプロポーズを皮切りに始まる痴話喧嘩。
その刹那、航空機の轟音。
地下壕に逃げ込んだ人々は、戦中の少女の日記を見つけ、“少女の記憶の真実”をとりとめもなく探しはじめる。
【出演】
丸⼭港都
草野峻平
笹本志穂(以上劇団東京夜光)

永⽥紗茅(柿喰う客)
阿久津京介(もあダむ)
堀⼝紗奈(劇団4ドル50セント)
⾓⽥萌果(劇団⻘年座) 
⽥中博⼠(東京タンバリン)
都倉有加(C-PLUS)
ししどともこ
中⼭⿇聖
【チケット料金】
一般前売=5,000円 U-25前売=3,500円
一般当日=5,500円 U-25当日=4,000円
アルテ友の会会員=4,500円(武蔵野文化生涯学習事業団でのみ取り扱い)
*全席指定・税込*U-25は当日引換券のみでの販売。当日受付にて要証明書提示《チケット取扱》
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【お問い合わせ】
劇団東京夜光
info@tokyoyako.com



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