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動画の王将

以前、書道家の友人、日置恵さんにもらった誕生日プレゼントがある。真っ白なマグカップに一筆、「動画の王将」と書かれていた。当時、僕の事務所が「餃子の王将」にあったからだと思う。これを見た時、みんなで爆笑した覚えがある。

日置さんは、いつも気分の上がる言葉をかけてくれる。
その極めつけがこの言葉に表れている。なんの淀みもないし、てらいもない。愛も笑いもあって韻も踏んで、これほど陽気にさせてくれる言葉はない。

ルフィは「海賊王に俺はなる」と言っていたし、水曜日のカンパネラも「発明王にオレはなる」と言っていたので、僕は「動画の王将」になりたい。

一歩間違えると、白い目で見られかねないが、多くの人が有名な広告賞や映画賞を目指すなかで、ただ一人、王将を目指す。誰にも憧れられないし、どうなるとそうなったと言えるのかわからないが王将を目指す。

2015年にもらって以来、7年間、ほぼ毎日のように、ホットミルクなり、コーヒーなり、お茶なりが注がれ、一息つくごとに、この言葉が眼にはいる。特段何か気を引き締めるわけでもないが、潜在的にずっと刷り込まれるので、何かしらの影響はあるだろう。

あまりに気に入っていたので、ある時、カメラマンさんにヘッダー画像を撮ってもらった。ついでに飲んでいるところも撮ってもらったが、全く使い道が分からなかった。カメラマンさんも「たぶんこれは使わないだろうな」というような顔で撮っていたが、その通りだった。

先日、およそ2年ぶりにナチュパラのキックオフがリアルで開催された。

元旅行会社出身の小田さんが選んでくれたのはキャンプ場みたいな雰囲気のレンタルスペースだった。2年間もフルリモートの環境が当たり前になると、意外と対面で会うのは「はじめまして」という方も多かった。

遠隔で参加するたためくんのために、「ライブ配信おたすけ隊」の森川さんと小田さんが、仕事さながらに配信準備をしてくれた。

なぜか山中くんがはりきって珈琲を淹れてくれて、珈琲店主のごとく様になっていた。「浅煎りがいいですか?深煎りがいいですか?」とちゃんと一人一人尋ねては、それを用意していく真摯な姿勢が好感を持てた。

キックオフの後はみんなで食事を楽しんだ。太田さんと隣り合わせになったとき「新婚さんいらっしゃい」みたいだと笑いがおきた。思えば15年来の仕事仲間だ。いつも縁の下で支えてくれる彼女の存在は本当に大きい。ありがとう。

食事後はボードゲーム好きなともやくんが持ってきてくれた「コヨーテ」というゲームをやって盛り上がった。駆け引きを楽しむゲームで、ある時に「コヨーテ」と叫ぶのだが、僕は一番はしゃいでいたわりに、一度もそれを言う機会がなかった。

たくさんの仕事を頑張ってきた仲間たちだからこそ、こうして仕事とは関係なく楽しめる時間が有意義だった。

キックオフで「動画の王将に僕はなる」とは言わなかったが、その代わりにこれからについての大切な話をした。まだまだ色々足りないところはたくさんあるけど、いつも一緒に仕事をしている仲間たちとまたいい仕事をしたいと思った。
(キックオフに参加していないスタッフの皆さんもいつもありがとう)

「旅というのは縁(えにし)によって導かれて行われる」

僕の好きな画家、東山魁夷の言葉だ。
独立してから何の後ろ盾もない旅をずっと続ける中で、
ちょっとだけ背中を支えてくれる優しさをもった言葉だ。
11期目もよろしくお願いします!

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