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台湾の原住民、タロコ族の暮らしとは?



手軽に行ける外国、台湾。
実は台湾には、16もの原住民族がいることをご存知だろうか?
彼らは人口の2%と少ないながらも、現代においてもなお、独自の暮らしをし文化を受け継いでいる。

そもそも、台湾の国民は中国語を話し中華系の文化を持つので、昔から中国に属していたように思えるが、実はそうではない。
歴史を振り返ると、ポルトガル→スペイン→オランダ→中国→日本の順に支配者が変っていき、太平洋戦争後に、再び中国に支配権が移っただけなのだ。

つまり、中華系の人々は、歴史的に見ると割と最近台湾に移住してきたとも言えるわけで、元来の台湾の文化というものは、私たちがガイドブックで目にする中華系の文化とは全く異なるものである。

今回、原住民族一つであるタロコ族の女性Yuliさんと繋がることができたので、彼女から色々と学んできた。

Yuliさん(27)。写真を載せても良いか聞いたら、Sure! We’re so open!と快く承諾してくれた。
Yuliという名前は、日本語だ。日本統治時代の日本語教師が良い人だったので、名前を貰ったそうだ。

山に住むタロコ族

タロコ族が暮らすのは、台北から特急で約3時間の場所にある花蓮。花蓮は海のすぐそばにあるにもかかわらず、平地の割合がたった7%しかない山岳地帯だ。
現在はほとんどの人が山の麓に暮らすが、今でも一部の人は山の中で暮らしている。車もスクーターも通れない山道は、歩いて登る必要がある。普通の人だと4時間はかかるそうだ。

この山のどこかに、タロコの人々が住む集落がある。

話すのは中国語ではなくタロコ語

中華系の人々が台湾に移住してくるずっと前から台湾に住んでいることを考えると当然だが、彼らは中国語ではなく、独自の言語を話す。
興味深いのが、16いる民族がそれぞれ全く異なる言語を話すことだ。台湾の面積は日本の九州ほどなのに言語や文化が交わらなかったのは、山の上部に住むという隔離された暮らしによるものかもしれない。
ただ、現在ではタロコ語を話しているのは1940年から60年代あたりに生まれた世代で、若者は中国語を話しているようだ。


アルファベットを使う!

驚いたのが、タロコ語はアルファベットで表記することだ。しかも、アルファベットが使われるようになったのは、戦後。それまでは文字がなかったらしい。Yuliによると、オランダ人の宣教師たちにより伝わったという。

アルファベットと中国語で書かれた絵本。

ほとんどがクリスチャン?

もう一つ驚いたのが、タロコ族のほとんどがクリスチャンだということだ。戦後の宣教師により聖書が広まったそうだが、なぜすんなり受け入れられたかは不思議だ。祖先崇拝は強くあるものの、特定の神を信仰しているわけではなさそうだったので、日本の神仏習合のような形でうまく融合したのかもしれない。
Yuliも敬虔なクリスチャンで、クリスマスも祝うし、教会で結婚式をあげる人もいると教えてくれた。

鳥居の中に教会と聖母マリア像があるという面白いつくり。日本による支配の後に、キリスト教が伝わったことが
よく伝わる。
地元の教会。差し込む光が神秘的だ。

タトゥーは部族の証

タロコの人々にとってとても重要なタトゥー。
7歳くらいになると、おでこに一本の太い縦線のタトゥーを入れる。これがタロコ族の証だ。
さらに、男子は15歳くらいになり狩ができるようになったら顎に、女子は機織りができるようになったら頬にタトゥーを入れる。
このタトゥーは一人前になったことを示すもので、タトゥーがないと部族を追い出されてしまうそうだ。
ただ、今では本当にタトゥーを入れている人は数人で、お祭りの際にはペインティングをするらしい。

連れて行ってもらった図書館で、
タトゥーを入れた女性たちの写真を見つけた。


タトゥーを入れる道具。歯ブラシに見える部分は針。
とんでもなく痛そうだ…

▼タロコ族の首狩りの文化についてはこちら


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