学校警備員をしていた頃 その6

 以前、学校警備の仕事をしてた頃のことについて振り返って思い出せることを書いています。
※ ひとつ前の話→学校警備員をしていた頃 その5
※ 最初から読みたい方は、学校警備員をしていた頃から読むことをおすすめします。

 学校VS工事現場
 できるだけ客観的に、学校警備と工事現場の警備の仕事を、働く立場から比較してみたい。と言っても、もちろんこのテーマで完全に客観的ということはありえないので、それなりに自分の主観も入ると思う。

 まず、一番大切と言っても過言ではない日給
 学校警備の場合は、1日7500円。工事現場だと日勤の場合1日8500円。この1000円の違いは大きく、これが原因で学校から工事現場に異動する人もいる。

 次に勤務時間だけど、こちらは学校の場合は休憩時間を含めて8時から16時の8時間。工事現場は、休憩時間を含めて9時間。時間は現場によって違うが、8時から17時とか9時から18時などの場合が多く、工事現場の方が1時間長い。この1時間の違いが日給千円の違い、ということなのだろうか。もちろん、どちらも着替えたり、終わった後現場の誰かのハンコをもらったりする時間などもあるから、実質的な拘束時間はもう少し長い。

 その勤務時間の運用について見てみる。学校の場合、絶対に残業はない。また、早く終わることもない。終業式・始業式とか定期試験などで生徒が早く帰ってしまっても、16時までちゃんと働く。
 工事現場の場合はたまに残業もあるが、残業代はちゃんとつく。それと、工事が速く終わった場合、警備士も早く帰れて、それでも1日分の給料がもらえるが、学校の場合、そんなことは絶対にない。
 この面では、工事現場の方が得だと思う。

 仕事ができる日数・時期
 学校警備の場合は、公立小中の夏期休業中と冬期休業中以外はだいたい安定して仕事がある。
 基本的に、学校で授業や行事のある日はすべて仕事がある。例外的に、夏季休業中の登校日や、授業参観や運動会などで土日に学校がある日は、警備士はお休みになる。生徒が来るんだから、仕事があってもよさそうだが、S区と警備会社との契約上そうなっている。
 それと、春期休業中は、3月中は工事現場、3月から4月にかけてお花見の警備か動物園の警備(春期休業中の増員)の仕事を紹介してもらえる。冬期は、1月4日以降始業式までは、ほとんど仕事がないが、1月3日までは、年末のイベントとか、初詣の警備などの仕事をある程度紹介してもらえることが多い。
 仕事がなくて困るのは夏期休業中である。花火大会が何日か入るだけで、それ以外は全然仕事がもらえないケースも多い。
 このこともあって学校警備は、1学期いっぱいで辞める、という人が毎年何人か出るようだ。
 工事現場の場合は、4月は非常に仕事が少ない。4月のはじめに1週間くらいお花見の警備をやった後は、4月中全然仕事がない。というのが普通だ。でも、逆に3月は、全然休みがないケースが多い。年度初めは公共事業関係の仕事がほとんどなく、年度末に公共事業関係の仕事が集中するのが原因である。
 それと、8月のお盆の時期も1週間くらい仕事がない。建設会社やその下請けの人たちが休みをとるからである。
 これら以外の時期は、会社からの評価・信頼度が普通以上の人なら概ね仕事はあるようだ。
 こうしてみると、学校も工事現場も、年間で1ヵ月程度仕事がもらえない時期がある点では、ほぼ同じようなものだ。ただし、学校警備の方があらかじめ学校のある日は必ず仕事がもらえることがわかっているので、多少安心感はある。

 仕事内容
 これは、一番人によって感じ方が違う部分だと思う。
 学校の方が、黙って立っているだけという時間が圧倒的に長く、必要な時に巡回したり、挨拶したりするだけなので、「楽でいい」という考え方もできる。
 でも、「暇だから嫌だ。工事現場の方が、難しい車の誘導を成功させたりする機会もあり、達成感があっていい」という感じ方の人もいる。
 私は学校の方が好きだったが、これは好みの問題だと思う。

 休憩時間
 警備業界では、「○ポ×」と言う言葉がある。例えば「2ポ3」だったら「2つのポストを3人で担当する」という意味で、例えば1ポスト20分ずつで交代するように回す場合だと、40分働くと20分休憩が取れる。
 工事現場だと、「2ポ3」とか「3ポ4」くらいで回せる人数がいて、昼休み以外にもそれなりに休憩が取れる場合も多い。それと、職人さんたちが朝10時頃とか午後3時くらいに20~30分くらい休憩をとり、その間は一緒に休める場合もある。
 一方、学校警備は、「○ポ×」という言い方で言えば、一人現場で「1ポ1」なので、休憩を回す余地はないし、職人さんたちが休むのに合わせて休むようなこともない。昼休みしか休めないが、その昼休みも、報告書にサインをもらったり、自転車で次の学校に移動したり、次の学校に着いたら、管理職や主事さんに挨拶したりしないといけない。だから、昼休み1時間まるまる休めるわけではない。
 休憩時間に関しては、工事現場の方が恵まれている。

 勤務場所
 学校警備は、学期中は毎日同じ場所(学校)に行くので、安心である。
 工事現場の方は、遠い場所に行かされる可能性もある。また、今までいったことのない場所に行く機会は工事現場の方が多く、ネットで地図や路線情報などを調べたりする手間がかかる。「それが好きだ」という人もいるが、仕事のためにとられる時間がそれだけ多くなる、というとらえ方もできる。

 こうしていろいろな観点から比較してみると、それぞれ一長一短あり、どっちもどっちという感じがする。が、その中では、学校警備は日給が千円安い(残業のない場合の工事現場の日勤と比べ、学校警備の方が千円安い)という部分をかなり重視している人が多かった。1日千円違うと、1ヵ月で2万円くらいの違いになる。もっと収入の多い人だったら大した違いではないかもしれないが、月収10万円台のフリーターにとっては、とても大きな額である。
 この点が大きいので、普通は、「夕方から別の仕事をしている」とか、「学校警備が特別に好きだ」といった人を除けば、工事現場の方が好まれるようだ。

※ 次の話→学校警備員をしていた頃 その7

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