学校警備員をしていた頃 その31
以前、学校警備の仕事をしてた頃のことについて振り返って思い出せることを書いています。
※ 最初から読みたい方は、学校警備員をしていた頃から読むことをおすすめします。
※ ひとつ前の話→学校警備員をしていた頃 その30
主事さんの給料を語る会
S支社に実績報告書を出しに行った時、どういうわけか、主事さん(用務主事)の給料の話になった。そんな話題でそれなりに話が続くというのは感心できないことのような気もするが、いつも隣で働いている人たちのことなのでみんな気になるのだろう。教員や管理職(校長・副校長)などではなくて主事さんであるところは、なんとなく納得できる。教員や管理職などについては、それなりに「難しい仕事をしている人たち」と認めているのかもしれない。
その場には、私と私と同じ学校警備を担当している古谷さんと本山さんがいた。
私は何気なく、
「主事さんは、あれも、一日中ゴミや植物を相手にしていて、なかなか大変な仕事ですね」
と言ったところ、古谷さんが反応した。
「いや、そんなことないよー。結構楽な仕事で年収600万とか700万とか普通の公務員の給料をもらっている。自分の学校の主事さんは、独身ということもあるけど、休みの後に『パリに行ってきた』なんて言っていた。今時そんな裕福な人は珍しい」
確かに、給料と仕事内容を比べてみると、誰でもできそうな仕事をして結構いい給料をもらっているようにも見える。勤務時間も、帰る時間が日給7500円の自分たちとだいたい同じで、4時過ぎだ。今時4時過ぎに帰れてそれなりの給料がもらえる仕事というのは珍しいだろう。
でもこれは主事さんに限らず、大部分の地方公務員にも、ある程度言えることなのかもしれない。
「それもそうかもしれない。でも、私が行っている学校の主事さんは、『同じ公務員でも現業は安いですよ』なんて言っていた」
と、私は、こないだO中学の更衣室で中丸主事に聞いたことを話した。
「いや、そんなことはない。公務員は同じ経験年数なら給料はみんな同じはずだよ」
と、こんどは本山さんが言った。
そこで、私は中丸さんの気持ちを代弁するようなことを言ってみた。
「うーん、まあ、我々のレベルから見れば、東京都の公務員だったらみんな同じ高給取りに見えるかもしれないけど、主事さんから見れば『現業は安い』という面もあるんじゃないかな。我々にとってば全然取るに足らない差でも、当事者の主事さんたちから見れば、それはそれなりに気になることなのかもしれない。実際には他の職種の人とほんのちょっとの差があるだけかもしれないけど、毎月それなりに安い給料になっているわけだから」
まあ「現業は安い」なんて言ったって、月収10万円台のフリーターから見れば、本当にほんちょっと安いだけなのかもしれない。同じ自治体の正規職員なのだからそんなすごい違いはないような気がする。ただし、主事さんだと、常識的に考えれば職種の性質上課長などの管理職になれなくて、ベテランになっても管理職手当がもらえないのかもしれない。または、部下が全然いない名前だけの管理職になるのかもしれない。そのへんは聞いたことがないのでわからない。
私の話を聞いて、本山さんは「そうかなー」と言ったきり黙ってしまった。
「主事さんの給料は多すぎる」と言えるかどうかは、人によって、それこそさまざまな見方・考え方ができるだろう。が、確かに格差社会化しつつあると言われる今の日本のようなところでは数が減りつつある、安定してちゃんとした給料がもらえる中産階級である。
でも、それは「特に主事さんだけが」ということではなく、「地方公務員」が全体的にそうなのかもしれない。
本当は主事さんの給料が高いことを話題にするのではなく、自分たちの給料がどうすれば高くなるかいろいろ知恵を働かせて考えるべきなのだろうが、それは最初から不可能だとあきらめているので、こういうことが話題になるのだろう。
人の給料のことを大真面目に話してみたところで別にどうなるものでもない。が、そんなことはわかってはいるものの、「それでもどういうわけか話題にしたくなってしまう」というところの事柄なのである。
※ 次の話→学校警備員をしていた頃 その32
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