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番組とはトレンドの波を掴んで知らせること

実は、私もテレビ屋でした。

新卒で福岡のテレビ局に入社し、福岡と東京で14年間営業マンをしていました。

テレビ局の営業マンはいま起きている報道や情報番組だけでなく、地元の人が地域で話題を作っていくアクションを察知し、「これが流行るぞ」というネタを番組化してスポンサーにセールスしています。トレンドの波が来る前の「うねり」を読むんですね。地域の方が「あの番組で取り上げるのって、流行るよね」と言ってくれる文化を作るんです。

ただ、次第にテレビが好きでなくなったので、テレビ局を退社後に広告代理店に転職し、いまマーケティング会社をやっています。

ふてくされてTV局を辞めたわけでなく、そこそこ番組企画をやってました。

福岡本社で地元営業してたときは、久留米の田舎にある工務店に九州学生アメフト番組の冠協賛を提案し、「九州のアメリカンフットボールは九州大学などの一流大学が強豪校として出場します!優秀な営業マンをリクルートし会社を大きくするためにも、ぜひこの番組で学生を応援する会社として番組でPRしましょう!!」と契約をいただきました。その会社はその後本社を東京に移したタマホームです。

東京支社に転勤し味の素を担当しましたが、福岡では中華料理店が比較的少ないので、CookDoの売れ行きが伸び悩んでました。「ちんじゃおろーす」といっても県民にイメージがぴんとこないのです。野菜が大きくて美味しい土地柄なので、ご自宅で中華を簡単に楽しく作れるイメージを訴求できれば、野菜とお肉の炒め物はCookDoで売れるのではと提案し、芸人を使ったレシピ番組を放送しました。

テレビ局時代

私は幼い頃からテレビっ子で、テレビを点けてないと落ち着かない性分でした。そのうち、私は疑問に感じ「番組は多くのお金がかかるというのになぜタダで視聴できるんだ?」と思ってたところ、地元関西のテレビ番組で「さんまのまんま」という番組があり、それを立ち上げたのがテレビ局の営業マンだという記事をたまたま見つけたんです。

テレビ局に協賛するスポンサーが、番組内で自社商品を露出するプロダクトプレイスメント(いまで言うユーチューバーの企業案件ですね)を企画してできた番組。

そのスポンサーはJT。社名を専売公社からブランドスイッチをした85年、タバコのイメージを刷新したいスポンサーの課題に対し、分煙が進まない社会問題があったなかで「タバコを吸いましょう」と言えないテレビ局が企画提案に苦戦していたところ、関西テレビ放送の営業マンが「タバコ吸うたらよろしいですやん」と番組企画で明石家さんまに交渉し、「さんまさん、JTにセールスするので番組内でゲストと話しながらタバコ吸ってください!」と始まった番組でした。

さんまのまんま

「タバコもまじえて会話を楽しむ文化」を作った番組として30年以上続く番組でしたが、その番組作りのきっかけを知ってから私のテレビ愛はさらに深まり、テレビ局に入社することになりました。

「あんなこといいな、できたらいいな」を具現化するのがテレビの醍醐味。私がこれまでやりたかったことを番組企画にして、スポンサー協賛も取ってくる熱血営業マンでした。

ただ、営業経験が長くなると悩みが出てきました。番組が長続きしないんです。

営業マンの協賛企画はスポンサーが、その時にPRしたい商品やサービスのために番組協賛しますが、番組制作スタッフは協賛がなくなってもその番組を毎週、毎日放送しないといけません。協賛を取ってくるたびに制作スタッフと摩擦が生じ、定型的な仕組みで協賛連携ができず、番組が面白くなくなっていきました。

その後わたしは広告代理店に転職し、営業としてクリエイティブディレクターたちと仕事するようになりました。そこでわかったことがあります。

クリエイティブは既存アイデアの要素の新しい組み合わせだと。いきなり斬新なアイデアを作るのでなく、これまで光の当たってなかった側面を再発見し、別の要素と掛け合わせる。クライアントの課題を解決するアイデアを具現化するのにクリエイティブ思考は必要で、それにはこれまでの価値を再構築していくのが広告の仕事だと思います。

最近では過去に一世を風靡した楽曲を起用して、時代の流行を再現するクリエイティブで話題になったCMがあります。

昭和50年代の楽曲に光を当て、当時日本がアガル感じをいまの若い女性たちの力強いメッセージと掛け合わせて、令和もアガレ!という波を作ってくれるような化粧品会社のCMでした(ちなみに、今回のトークルームで何故かこれを話題に出したら、この会社の方が偶然に同席だったので、めちゃこっぱずかしかった💦)

番組は「時代がこうなったらいいな」を作っていて、それを広告よりも数多く制作しているから、彼らは失敗の数もとても多く経験しているんです。トレンドの波なんて、そんなにすぐ来ないをよく知ってる。でも、番組を制作する立場の人は必ずそのうねりが来るのを感じたら、誰よりも(どの局よりも)早く察知し、それを番組で知らせてあげるミッションがあります。

今日の講義で芦田さんが、若者がテレビに戻ってきたと言ってました。いまの若い人はみんな電波より動画配信でしょ、とわたしは思い込んでました。しかし、若者の価値が高まって文化や経済圏ができているし(タピオカもそれやな)、若者文化はコモディティだという時代は終わったので、激動の時代に日本の伝統や文化と新しい価値との掛け算はこれまでの日本文化の強みだと思います(いま、お寺でそれ企んでます)。

久しぶりに番組について語りましたが、私の企画書が企画不足なのは番組を観てないから。もっと番組観なきゃいけませんね!

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