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撮影後記

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ストリートスナップさながらに本を読んでいる人に声をかけ、読書姿を撮影し、読んでいる本のタイトルを教えてもらう「東京の本よみ」です。撮影を振り返って、毎月最終日に撮影後記を書いてい…
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記事一覧

【6月の本よみ】緑のなかで

読書中の人に声をかけること自体がすこし久々だった。 やや緊張しながらも、午前中の気持ちの…

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【6月の本よみ】されど井の深さを知る

朝はいい。街がまだ動き出す前の静けさが、少しひんやりとした空気と相まって清々しい。特に初…

【6月の本よみ】記録としての写真

桜の頃に撮らせていただいた写真を、初夏の今になって思い出しながらこの撮影後記を書いている…

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【3月の本よみ】 子リスみたいな、野うさぎみたいな

わたしはその日、とある読みものを買いに、普段いかない街に出かけた。 駅に着いたもののあま…

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【3月の本よみ】 普段は読まない

読書=趣味で読んでいる、とは限らない。 読まなければいけないという状況下で本を読むことだ…

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【3月の本よみ】 桜の森の三分咲きの下

冒頭から個人的な好みの話で申し訳ないが、咲きかけの花が好きだ。一輪咲きの花はもちろん、木…

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【2月の本よみ】 東京 2020

「東京の本よみ」という名前でこの活動をはじめて、1年ちょっと。 これまでで最も「都会的」という言葉が似合う一枚ではないかと思う。 シャッターを切った瞬間に「アーバン!」とこころの中で叫んだほどだった。 前面ガラス張り。 そこに反射する室内の小さなライト。 見下ろすと途切れることのない人の往来。 入り口がややアーチ状になっているトンネルのような道には、左右の両側にデジタルサイネージが等間隔でずっと奥まで続いていて、近未来的な雰囲気を助長している。 そんな光景を前に

【2月の本よみ】 あれは果たして時間にすると

そこはベンチではないけれど、人が腰掛けるにはちょうどいい段差になっている場所だった。 公…

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【2月の本よみ】 エニタイム

場所に軟拘束されたままで時間だけ少し空いてしまうことがある。運転免許の更新に行ったときの…

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【1月の本よみ】 その本を読んでいるからといって

最近、生活の中で「先入観」や「思い込み」について考える出来事がちょくちょく起こる。 一つ…

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【1月の本よみ】 いずれ血となり肉となる

「東京の本よみ」を始めてから一年が過ぎた。事前にご本人から許可を得た上で撮影する、という…

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【1月の本よみ】 18:05 ビール解禁 読書タイム

ビールはおいしい。 私はビールが好きなので、「本を読んでいる人」の姿と同じくらい、「ビー…

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【12月の本よみ】 螺旋の上の一周年

少し肌寒い朝、駅へ向かう途中にある公園の、木立に囲まれたベンチで本を読んでいる男性がいた…

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【12月の本よみ】 もう一軒寄りたい本屋さんがあってちょっと歩くんやけどいいかな

外で本を読んでいる人には、本を読むこと自体が目的の人と、移動や待ち合わせなどの時間潰しとして本を読んでいる人がいる。 待ち合わせ、と聞いて思い浮かべる場所がある。渋谷駅前のハチ公やモヤイ像、東京駅の銀の鈴といった有名な場所の他に、表参道の山陽堂書店や、新宿西口にある新宿の目など、地味なりに知られた場所もある。近年では商業施設のまわりが広場になっているところが増え、その施設を利用するしないにかかわらずその広場は待ち合わせ場所として使われるようになっている。写真の若い男性は、都