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東京婚活stories 〜うまくいかない私たち〜 case 2 「30歳までに結婚したい」

マイコ(28歳、IT/事務職)の場合

今日は婚活パーティーで知り合ったタツヤさんと1回目のデート。パーティーと言っても、狭い店に男女が押し込まれる騒がしいタイプのものではなくて、椅子に座って男性がぐるぐる回っていくヤツ。

最初にプロフィールカードを交換するから、男性のスペックが全部分かってしまうのがこのタイプの良いところ。そのあとの会話も、変に知らないふりをしなくて済むから楽だなと思った。だって、知り合った男性の会社名と平均年収って、気になって調べちゃうよね? だけど、本人には知らないふりをしておかなきゃいけない。そういう暗黙のルールを取っ払ってくれる、婚活女子に優しいプロフィールカードシステム。考えたのも女の人なんじゃないかな。

何度かこの手のパーティーに参加したことはあるけど、タツヤさんのカードを見たときはびっくりした。だって、年収1,000万円! 「すごいですね」って思わず言っちゃった(笑)。こんな人と出会えるなんて、私にも報われる時がやってきたのかも。

今日のデートは、中目黒のおしゃれな焼き鳥屋さん。実は今日のために、新しいワンピースを買ったんだ。焼き鳥屋でワンピースってちょっと頑張りすぎ? とも思ったけど、タツヤさんはどういう服装が好きかな、と考えながら洋服を選んでいるのも楽しいし、そういう時間で、女の子は男の子のことを好きになっていくんだと思う。

待ち合わせの時間にお店に入ると、タツヤさんは先に座って待っていた。時間にきっちりしている男性は信頼出来る。「お待たせしました」と言って私も隣に座り、ハイボールで乾杯した。まだあまり知らない人とカウンターで飲むのって、ちょっとドキドキするよね。

お酒が進むにつれ、自然と恋バナに。タツヤさんはもう2年くらい彼女がいないんだって。これはもしかして結構チャンスなの? そんな気持ちを隠しながら、モテそうなのに、と聞くと「全然モテないよ」と笑っていた。タツヤさんの笑顔には人を安心させる力があるのかも。

前の彼と別れてから半年くらい経ったし、そろそろ次の彼氏が欲しいな、という私の話にも、タツヤさんは「そんなに焦らなくても良いんじゃない?」と笑いながら言ってくれた。だけど、いい加減ちゃんとした彼氏を作らないと、30歳までに結婚するという私の目標が達成できなくなる。なかなか男性で理解してくれる人は少ないけど、女性にはリミットがあるんだよね。

2軒目は、焼鳥屋を出てすぐのバーに入った。1時間くらい飲んで、今日は解散。もう少し一緒にいてもいいかな、と思ったけれど、初回はちょっと物足りない位がちょうどいいと思うし、タツヤさんもそう思ってくれているといいな、と思う。帰りの電車でお礼のメッセージを送って、その日はお風呂に入って早めに寝た。今日は良い夢が見れそうだな。

翌朝、タツヤさんから返信が来ていたけど、ちょっとそっけなくて、そこからメッセージのペースが落ちた。タツヤさんも釣った魚に餌はやらないタイプ......? まだ釣られてはいないけど(笑)。なんて思っていたら、1週間が過ぎてしまった。私から次のデートに誘った方がいいのかな?


タツヤ(32歳、商社/営業職)の場合


マイコとは先週の婚活パーティーで出会った。プロフィールカードを交換して、お互いが気に入ったらカップルとして最後に発表されるという、昔からあるアレだ。だけど、昔からあると言って侮ってはいけない。気に入った女の子とカップル成立、とみんなの前で発表されるのは、眠っている狩猟民族の本能をくすぐられる。「この中から俺が選ばれたのだ」と思うと少しだけ誇らしくなるんだよね。

マイコは確か28歳と言っていたけど、第一印象は24、25歳くらいで、結構ストライク。ちょっと年が離れていて俺なんて相手にされないかな、と思ったけど、年齢が分かったら親近感が湧いた。勝手にあきらめて勝手にホッとして、我ながらなんておめでたいヤツ(笑)。

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