新元号の号外を取り合う人々

時代は「令和」に変わったが、日本の未来は明るいのか?    #2    ~フクシマの影響を考える~

#1で 、「世界の人々の暮らしは確実に良くなるが、日本は、フクシマの事故のせいで厳しい生活を強いられる人々が増えるだろう」と書いた。そう思った理由を詳しく書く。


とんでもない量の放射能が落ちている

2011年3月11日の地震で福島第一原発の4つの原子炉でメルトダウンが起きたが、いったいどのくらいの量の放射能が日本に落ちたか、皆さん、御存知だろうか?答えを書く前に、まず、事故前の日本がとてもきれいだった事をお伝えしたい。

日本では1950年代からずっと、全国の主な都市や大学、研究所などで、地面に落ちた放射能を測り続けている。それは「定時降下物測定法」というやり方で、屋外に大きなタライのような物を置き、雨や風で入った塵を集めて計測するものだ。

下のグラフは、2011年の週刊ポスト、「フクシマの事故で出た放射能はとても少ない」という記事から拝借した。発行元の小学館は、後に記事を訂正し謝罪している。データ元は国立環境研究所の論文で、富士山山頂の測定所と茨城県つくば市にある測定所の計測値をグラフにしてある。

黒丸がセシウム137、白い丸がストロンチウム90だ。

画像1

大気中の核実験が禁止されたのは1963年。その前年は駆け込みで最多の核実験が行われたので、大気中の放射能量は最大になった。拡散した放射能は地球の風に乗ってぐるぐる廻りながら、地表に落ちる。大気中の放射能は少しづつ減り続け、地面に落ちた放射能もゆっくりと消えていく。核実験停止からおよそ50年が経ち、日本の2010年の測定値はピーク時のおよそ10万分の1になった。今更だが、福島の事故前の日本はとても綺麗だったわけだ。

さて、これに、2011年以降の東日本の各地で測定された数字を入れてみる。次のグラフになる。

画像2

フクシマの事故が凄すぎて、核実験が霞んでしまった。気づいて欲しいのは、2011年以降も高い数字が出ていることだ。

チェルノブイリ事故が起きたのは1986年4月。8000キロ離れた日本にも放射能が流れて来たが、落ちた量が少なかったので翌年には測定値は下がった。フクシマの事故は違う。230キロしか離れていない東京には大量の放射能が落ちた。グラフの数値を読むと、東京はセシウム137で数万ベクレル/㎡。(1メートル四方の地面にセシウム137が1秒間に数万個づつ崩壊している状況)東京が事故前の数字に戻るのに、90年から百年かかると言われているが、それも、福島第一原発の廃炉作業が順調に進めば、の話だ。もう一度事故が起きれば、東京には住めなくなるかもしれない。福島は論外。事故時から百年間、人が住んではいけない場所だ。


放射能データはいつも過少申告

衝撃的なグラフだが、実は正しくない。2011年に振った量はグラフの数字よりずっと多い。

例えば、関東に濃い放射能が流れ込んできたのは2011年3月15日から17日にかけてだが、その期間の測定値はなぜか存在しない。測っていないのではなく、政府が公開を禁じたのだ。

グラフの数字が十万倍、百万倍に上がるような測定値なので、国民に知られないように消してしまったのだろう。一番汚染された福島県と宮城県に至っては、事故から半年間も「測定値無し」とされ、それは今でもわからないままだ。

もう一点。

公表された放射能の種類が少ない。

最初のグラフ【週刊誌に掲載されたグラフ】には、セシウム137とストロンチウム90が使われているが、2011年以降はセシウム134と137だけ。(ヨウ素131は事故直後のみ)

ストロンチウム90の項目を消したのは、核研究の権限を持つ文部科学省だ。「放射性ストロンチウムは微量なので測る必要がない。測るなよ」とお達しを出した。もちろん、それはウソ。放射性セシウムがあれば必ず放射性ストロンチウムもある。放射性ストロンチウムの危険性を国民に知らせたくなかったのだろう。ちなみに、米国エネルギー省の調査によると、ストロンチウム90はセシウム137のおよそ2割から4割と推計されるそうだ。


「直ちに影響はありません」の「直ちに」の期間は過ぎた

フクシマの事故の時に官房長官だった枝野氏は、「健康への影響は直ちにはありません」と何度も言った。その一か月後、福島を訪れた枝野氏は、防塵マスクに防塵スーツといういでたちだった。彼は、将来の健康の為には、今、放射能を取り込んではならない事を知っていた。

画像3

生物は、放射線で受けた傷を毎日修復しながら生きている。だが、フクシマの事故で出た放射能は膨大だ。どんなに必死に修復しても、全ては治せない。傷ついた細胞が溜まり続け、身体の限界を超えた時、人は病気になってしまう。

私が、チェルノブイリ事故について書かれた本や論文を読んだ時、最初に抱いた被ばくのイメージは、下の2番の図のような感じだった。「○○ミリシーベルトの被ばくで甲状腺ガンの発生率が○○パーセントになった」など、論文やレポートに書かれた被害は確率だったからだ。まるで、被ばくでガンになる人 = 運が悪い人、のように私には見えた。

   事故前のイメージ(白い点が健康な人、黒い点がガン死)     被ばくがなくても1万人のうち数人はガンになって死ぬ

画像4

     事故当初、私が抱いたイメージ               被ばくすれば運の悪い人だけがガン死する

画像5

しかし、実際は違った。被ばくすれば、程度の差はあれ、全員が体調を悪化させる。ほとんどの人は入院するほどではないが、中にはすごく体調が悪くなる人も一定数出てくる。運が悪ければ亡くなる人も・・。私の周りでは、20代、30代の若さで突然死したり、病名が付かないまま亡くなった人が数人いる。私の狭い交際範囲で数人だから、日本全体ではどれほどいるか、推して知るべきだ。

保険会社は「日本人の二人に一人がガンになる時代」と盛んに宣伝するが、放射能は全ての病気を引き起こす。ガンはむしろ少数だ。今、私は、核事故とはどういうものか、身に染みてわかってきた。

実際の被ばくのイメージ  ガン以外にも様々な病気の人が増える

画像6


人口が減る

本、FACT FULNESS によれば、日本がレベル4に達したのは1960年代、昭和40年代だ。女性が生涯に産む子ども数「特殊出生率」は、その頃からすでに「2」だったから、人口減少はかなり以前から避けられない未来ではあった。そこに福島原発事故が起きた。

出生数、死亡者数推移.2019年

【画像出典:総務省 2018年7月11日の住民基本台帳に基づく人口、人口動態および世帯数(2018年1月1日現在)】に2019年の総務省人口動態速報の数値を加えた

身体の中の被ばくは見えないけれど、被ばくのダメージが現れ易い箇所は判っている。その一つが血液だ。なので、原発や核施設で働く人たちは、定期的に詳しい血液検査を受けるよう義務付けられている。そして、卵子や精子などの生殖細胞も放射線に非常に弱い。昔から、鉱山で働く男やレントゲン技師には男の子に恵まれないというジンクスがあるが、これは、ダメージを受けた精子はY遺伝子を引き継げなくなるからだ。ところが、原発作業員の定期検査の項目に精子や卵子はない。

人工放射線が簡単に生殖細胞を「不具合」にしてしまう事は、多数の動物実験で証明されている。しかも、それは、放射線の量がとても低いケースであっても起きてしまう。実際、チェルノブイリ事故では、動物実験と同じような事が住民の間で起きた。高濃度汚染地域に住む人はもちろん、低い濃度の住人にも不妊や奇形が増えたからだ。当然、福島の事故で、同じ事が起きると予想された。

事故が起きた年の7月に、公益財団法人「日本生態系協会」の池谷奉文会長【当時70歳】が、この問題に触れる発言をしてひんしゅくを買った。

池谷氏の発言:

「福島県はもちろん、栃木だとか埼玉、東京、神奈川あたりの方々とは、極力結婚しない方がいい」「子どもを生むと奇形発生率が上がる」

本当は、どうなのだろう?

日本の産婦人科学会は沈黙を通しているが、海外の科学雑誌には「福島の放射能汚染地域では、事故から10か月後に生まれた子の数が、突然、減少した」とする論文が掲載されている。この論文の重要な点は、放射能汚染地域に関東圏が含まれている事だ。


放射能の妊娠や受精への被害は深刻だ。先日、重要な論文が科学誌に掲載された。


つまり、今の日本の状況を要約すると、次のようになる。

・「FACT FULNESS 」の本によれば日本はレベル4で、男女共に高学歴になり、晩婚化が進んでいる。

・そこに、2011年の福島原発事故が起き、被ばくの影響で不妊や奇形が増える事は確実になった。

・2018年の日本産科婦人科学会によると、時期が来て子どもを望んでも自然妊娠のカップルは少なく、不妊治療を行うカップルが非常に増えている。

・【同学会によると】 体外受精での妊娠率は高くない上、ようやく子どもに恵まれても、障害児や奇形児の可能性もある。


この緊急事態に、国は「移民政策」を取ったようだ。

下のグラフは、日本の人口の推移を表している。赤い線は日本に住む日本人の数。緑の線は、それに日本に住んでいる外国人を合わせた人数だ。総務省はこれを「総人口」と名付けて、事故の年から公表し始めた。これを見ると、フクシマの事故から7年間で純粋な日本人=「日本人の人口」はおよそ200万人減っている。マスコミ向けに報道する「総人口」は100万人ほどの減少。減った働き手を「移民」で補っているからだ。

画像8


日本に明るい未来はあるのか?

2011年3月、福島原発から放射能が流れてきたにもかかわらず、政府は国民へ通常の生活を送らせた。放射能の雪が降る中、被災地の人達は水やガソリンを求めて並び、福島県の高校では合格発表が行われた。首都圏でも事情は同じだった。

未曽有の核事故を起こしながら、日本政府は原発を捨てるどころか汚染瓦礫や汚染物を広げている。これは福島の人を救う為ではない。福島と全国のガン発生率の差を小さくする為だ。そうすれば、東京電力が負う賠償が小さくなるし、将来、日本政府がフクシマの被害を「公害」として認めても補償を減らせるからだ。

その愚策のせいで、ツケは次の世代に廻る。子どもを守ろうとしない日本に、未来はあるのか?


厚生労働省の人口動態統計(速報)によると、19年の出生数は90万人を割るそうだ。【日本経済新聞電子版 2019/10/7 2:00】

人口が1億人を超えるのに、90万人しか子どもが産まれない。 



興味深い研究がある。

チェルノブイリの事故で汚染地に住む地ネズミを調べると、遺伝子上、一家系だった。放射能に強いネズミだけが生き残り、繁殖していると考えられた。けれど、次の世代から奇形が出現し、地ネズミは5世代目で死に絶えてしまった。

また、こんな研究もある。

フクシマの事故後、日本固有の蝶、シジミチョウの繁殖率を調査している。それによると、高汚染の避難地域で捕獲した蝶には奇形が多く、それらの蝶が産んだ卵は青虫になることなく、卵のまま死んでしまった。ところが、汚染地で捕まえた蝶を沖縄へ持ち帰り、きれいな水と餌で育てると徐々に元気になった。卵の孵化率、蝶になる羽化率が上がり、奇形の出現率が下がった。なんと、5世代目には全ての蝶が正常になったそうだ。



5世代目。

何だろう、この偶然の一致は・・・・。


ここからは、私の妄想なので読み流していただきたいのだけれど~~

本「FACT FULNESS」 の予想では、2150年頃に世界の人口は百億人を超え、高止まりする。現在、2200年の火星移住計画を目標として、様々な企業が協力を申し出ている。例えば、福島県では「放射線に強い野菜や果物、家畜」を作る技術を模索しているらしい。

2200年は、フクシマの事故から6世代目に当たる。日本人は、5世代目のハードルを超えただろうか?            

もしかしたら、「放射線に強い人々」が出現しているかもしれない。或いは、人間の遺伝子が組み込まれたヒューマノイド型のロボットが造られているかもしれない。もし、そうなっていれば、きっと彼らが火星移住者第一号に選ばれるだろう。なぜなら、宇宙放射線をモノともせずに火星で生き残ってくれるはずだから。

フクシマの事故後、ある学者が言っていた。

「広島、長崎なんて目じゃない。これからは福島です!フクシマ、フクシマ、世界中で有名になりますよ!」

凄いぞ、フクシマ!

やったぞ、フクシマ!

火星に行って人類の危機を救え!


いやはや、胸が悪くなる妄想はここまでにしておこう。

禍福あざなえる縄のごとし。日本の未来は明るい。

と書いておくか・・・。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?