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Kog #6

 カタログが好きだ。心から大好きだ。

 何故、私はカタログが好きなのか。まず単純に、自分が入手しようとしている/入手したモノのスペックを知る事が好きだ。
 さらにそのモノの、上位下位のプロダクト含めて、どういう位置づけで、どういう売り文句で売り出されたのかとか、メーカー側の販売意図、それを理解したい。カタログはそれを紐解くヒントになる。
 私が今回購入したマウンテンバイクは、2018年のモデルをアウトレットで購入したのだが、その年度のカタログも、ヤフオクで見つけて入手済みだ。

 自転車を買うに至るまで、とにかく物凄い数の自転車屋に行った。恐らく地元の自転車屋はだいたい全て行ったんじゃないかと思う。
 残念ながらカタログで見るのと、実車を見るのは結構大違いで、カタログではピンとこないものが、実車を見ると「おおっ」となることがある。勿論、その逆もある。で、おおっ、となると、やはり私の場合、カタログを確かめたくなる。見た目と中身のフィットギャップというか。モノに対しては、買う買わないはさておき、そういうことがしたくなる性分である。そんな具合だから、店でいいなと感じた自転車があれば、帰ってメーカーサイトからカタログを請求して、届いたら眺めて、なるほどなるほど、とニヤニヤして。
 天気が悪い、外に行けない、そんな時にカタログは格好の時間潰しアイテムである。時間潰しどころか、私の場合、夢中になり過ぎて、睡眠時間を削ることもしばしばである。
 私の部屋は、トイレに薄型の本棚があるのだが(それはそもそもメインの居住空間の模様替えによって行き場を失い、暫定的にトイレに置かれているのだが)気がつけばIKEAのカタログ、モンベルのカタログ、そこに自転車のカタログがどんどん増えて、トイレカタログ図書館の様相を呈している。

 自分がマウンテンバイクを選んだ理由の一つに、スローピングフレームに惹かれた、ということがある。スローピングフレームというのは、フレームのハンドルのところからサドルにむかう直線が、地面と平行でなく、後輪の真ん中、リアハブの部分に向かって、下りの直線になっているデザインのことである。マウンテンバイクの場合、同じ車種であっても小さいサイズになるほど、このスローピングが一直線になっていく傾向があり、個人的に物凄く格好いいと思っている。
 それに対して、ハンドルから横一直線に、地面と平行にサドルに向かうフレームは、ホリゾンタルフレームと呼ばれる。
 マウンテンバイクですら、七十年代後半の登場当初から八十年代に量産車が生産され始めた辺りは、ホリゾンタルフレームだったくらいなので、昔一世を風靡したブリヂストンのロードマンなどもそうだし、昔から自転車を愛好している方にとっては、スポーツ車と言えばホリゾンタル、って人が多いんじゃないかな、と思っている。
 にわかの私が書くことなので話半分でヨロシク、だが、自転車って割と、パーツなどは特に、マウンテンバイクが先行して技術革新されて、それがロードバイクとかの規格に落とされていくパターンが多いらしい。マウンテンバイクにおいて、レースやダートジャンプという目的のために、スローピングの利点が着目され、九十年代あたりから、そういうデザインのものが増えていく。その後それらがロードバイクに反映されていく過程で、より軽量化のためにアルミ、それからカーボンといった素材が主流になって、と、そういう流れなのかな、と理解している。街乗り用によく買われるクロスバイクなども、今はスローピングが主流だ。

 カタログの話に戻ると、カタログで見てると、スローピングしているマウンテンバイクも勿論、格好良いのだが、この頃は昔ながらのホリゾンタルフレームのランドナーなんかも滅茶苦茶美しいなあ、等と思いながら、カタログを眺めている。自転車好きな人って、複数台持ちとかしてる人も結構いるけど、その気持ちが理解できてしまいつつある。

 とはいえ今は「スタンディングもウィリーもマスターしてないのに自転車もう一台とか十年早すぎ」と自分を戒めている。大して使いこなしてもないのにモノを二台も三台も所有する人がたまにいるが、端から見るとそれはとても格好悪いので、私はとにかく今のバイクでスタンディングやらなんやらマスターすること、そしてバッグやらキャンプ道具を揃えて、ソロキャンプに行くのが元々の目的なんで、それがまず先である。

 何時行けるようになるのか、何時キャンプ場はオープン出来るのか、先は見えないが、そんな今こそ、カタログは、ステイホームの素晴らしいお供であると思うのであります。

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