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Kog #3

 街で自転車を見たり、はたまた自転車屋さんを覗いたりしたときに、GIANTのロゴを見たことがある人は多いと思う。GIANTは台湾のメーカーで、完成車について言えば、自社ブランド品、OEM品(面白いのは競合他社とも言えるTREKの受託生産なども行っているらしい)含め、世界市場の半分近くのシェアを握っている。単に世界の工場として機能しているだけでなく、今や自転車業界の方向性やトレンドを定める役割も果たしており、まさに業界のリーディングカンパニーだ。ホントに今、自転車界において、台湾は凄いのです。
 しかし、こと自転車のパーツ、に着目すると、日本メーカーであるシマノ、来年百周年を迎える会社だが、自転車パーツにおいて、世界の八割強のシェアを有しているらしい。私の自転車もアメ車だが、ブレーキ、変速機といったパーツはシマノ製だ。
 なんて、ここ数カ月で自転車好きになった私がエラそうに、自転車業界について語ってみたわけですが(好きになると、色々知りたくなる性分)、本題はそこではなく、そのシマノが配布している「サイクリングッド」というフリーペーパーについて、である。

 サイクリングッドは、Webサイトも存在していて、Web用に編集された版、そして店頭に配られるフリーペーパー版があり、フリーペーパーについては、殆どの号がPDFで公開されている。
 外出自粛となる前、自転車の購入を検討し始めてこのフリーペーパーの存在を知り、そして自転車の購入後も、自転車屋さんに立ち寄ると、置いてないか必ずチェックしている。何故かというと、PDFとか一部の電子書籍というものは、紙媒体用に編集したものをそのまま電子化しているため、段組などがディスプレイにマッチしないので基本的に見づらく、と言って、Web向けに組まれた形で読めば味気なく、私は是非、出来ることなら紙で読みたいのである。だがしかし、なかなか置いているところがない。というか二回しか見たことがない。
 私個人的には、サイクリングッドの記事の着目点やそのクオリティ、紙面のシャレオツな感じがとても好きで、店頭で入手出来ない以上、何とか手に入れることは出来ないのかと思い立ち、シマノのお客さま窓口に電話してみた。そして、有償でいいから譲っては頂けぬか、と聞いてみたが「一般客には配らぬのだ。つかそんなこと問い合わせるの、お前だけやねんボケ」という雰囲気を全力で漂わせつつも(私見です)、勿論そのようなキツい言葉ではなく、至って無難な、しかし頑ななお返事を頂いた。
 仕方ないので、(経緯は省略しますが)とある店に電話したら「ああ、幾つかあるはずなので取っておきますよ!」と快諾頂いたのだが、その数時間後に「なんか、家内が処分しちゃったみたいで、なかったです、すみません」とご丁寧に折り返しの電話を頂いた。わざわざ恐縮である。しかし捨ててしまったと聞いて、泣いた。
 折角、こんないいフリーペーパーを作っているのに、殆どの客の目に触れないのは、勿体ないことこの上ないと思う。そもそも今流通している自転車雑誌は、ロードバイクだったり、ストリートだったり、極端に一カテゴリーに寄り過ぎなのである。あまりに寄り過ぎていてドロップハンドルが嫌いになったくらいだ(最近はクラシックなランドナーとか見て、ドロハンいいなと思い始めてますけど)。
 その点、サイクリングッドはなんというか、普通の人の自転車生活に寄り添った内容で、誰でも読める、よい内容なんですよね。定期購読させてもらえたらするのに。嗚呼勿体ない。
 ここまで書いてからふと思ったが、私は、店に送られても人目に触れず、ただ捨てられてる、と勝手に思い込んでいたのだが、もしかしたら実は凄い人気で、配布されると即品切れとなってしまう、チョー人気フリーペーパーなのだろうか。それなら納得ではある。というかこれはアレだ、むしろ自転車屋じゃないところに置いた方が、自転車に目を向かせるのによいのではないか。フードコートとかカレー屋とかラーメン屋とか。食べたあと、一般人がカロリー消費を気にしてしまうようなスポットにね。どうかな。
 とはいえまだ、外出自粛は続くようですから、今は何処に置いても誰も見れないね。そうやって、全てはWebに乗っかってしまうのさ。つまらんね。私はAmazonでなく、自転車屋さんで色々見ながら、お買い物がしたいのだ。困るよ。こんなことを思ってしまう私は、やはり昭和生まれの古い男なのだろうか。

サイクリングッドのページはこちら

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