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【イベントレポート】オンライントークイベント『SFプロトタイピングで描き出す、下水道と都市の未来』を開催 (前編)

こんにちは!東京地下ラボ事務局です。

以前noteでも告知していましたが、11月9日(火)に2021年度の東京地下ラボプロジェクトが始動しました!

そして、プロジェクトのスタートなる11月9日(火)には、WIRED Sci-Fi プロトタイピング研究所の協力のもと、オンライントークイベント『SFプロトタイピングで描き出す、下水道と都市の未来』を開催しました。

イベントにはSF発想のプロとして、クリエイティブ集団「PARTY」クリエイティブディレクター伊藤直樹さん、SF作家の小野美由紀さんをゲストとしてお招きしました。講演会の目玉であるお二人のトークセッションでは、未来の下水道に関するアイデアをお話いただきました。

ゲストによるアイデア
『トイレはサブスクリプション化されるのでは?』
『下水道は地下ではなく、地上に浮遊し、人々のエネルギーを供給する存在になるかも』
『みんなの便はみんなの利益。便は人々の共有資源“コモンズ”になる』

今回は、イベントの内容をレポート形式で振り返っていきます!

そもそもですが、みなさんは下水道にどんな役割があるかご存知でしょうか…?

役割は大きく3つあります!

汚水処理による

1. 汚水処理

雨水排除による

2. 浸水の防除

公共用水域

3. 公共用水域の水質保全

しかし!下水道は水をきれいにすること以外にも、様々な取組みをしています。

例えば、再生水や下水道が持つ資源・エネルギーの有効活用や施設の上部空間の利用などにより、良好な都市環境を創り出すという新しい役割を担っています。

品川シーズンテラス

▶品川シーズンテラス

さらには、下水道で処理した水や、処理の際に出た汚泥や熱などを活用して野菜を作ったり…

ビストロ

▶BISTRO下水道

下水道は、汚れた水をきれいにするだけでなく、施設の上部空間の利用や野菜の栽培など、とても未来的な取り組みを行っているのです。

このような、想像力を拡張するためのヒントとなる下水道の役割を東京都下水道局さんから話した後、WIRED Sci-Fi プロトタイピング研究所の進行のもと、伊藤さん、小野さんに未来の下水道について考えていただきました。

下水道の未来を考えるにあたって出されたのは、『世界観構築カード』と呼ばれる9つのカード。カードには未来に起こりうる架空の世界が記されています。ゲストのお二人には、カードをいくつか選んでいただき、この世界のときに下水道はどうなっているか考えていただきました。

最初に選ばれたカードは、『都市ではなく、自律分散型のコミュニティ単位で生活するようになった世界』。都市のような場所に人々が集まるのではなく、地球のあらゆる場所に個々のコミュニティが生まれ、人々が暮らすようになったとき、下水道をはじめとしたインフラや制度はどう変化しているでしょうか。

小野「分散型ということは、国家のようなまとまった単位がなくなった世界ということですよね。そうすると、下水道は人々のインフラというより、個人などの小さい単位で汚水を処理するようになりそうですね。コンポストなどで排出した汚物を自ら処理したりとか。遺伝子改良で分解能力の上がった微生物を自ら所有し、その微生物に汚水を処理させることも考えられそうです。」
伊藤「インフラは基本的に税金で集まったお金で作られ、直されていきます。なかでも住民税は住んでいる地域に支払う仕組みになっていますよね。でも人々が自律分散型になっていくと、人々は一定の地域に住むことがなくなり、住民票に基づいた課税が難しくなるので、住民税を納めてもらうことが難しくなります。そうなると今までは住民税でまかなわれていたものが、まかなえなくなり、トイレも使うごとに使用料がかかるとか、サブスクリプション形式になるかもしれません。」

なるほど…。現在は東京23区や多摩地区の一部で汚れた水は東京都下水道局さんが水再生センターなどできれいな水に戻してくれています。ですが、これからの未来でそもそも東京都というまとまりがなくなり、行政に頼ることができなくなると、自分で汚水を処理しなければいけない未来が来るかもしれません。

また、地域のインフラの維持費が税金などで賄うことが難しくなると、トイレはサブスクリプション形式になったり、はたまた携帯電話のように、民間が運営するトイレ会社に毎月使用料を支払うことになるかもしれません。

この後、『気候変動の悪化により、主要都市が水没した世界』『都市のミラーワールドが構築された世界』のカードについて話し合われました。その模様はレポート後編をご覧ください!