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『男はつらいよ23 翔んでる寅次郎』と『ルパン三世』6-23「愛しの魔女の記憶」/世文見聞録24

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第23作『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』(前半部)

木暮林太郎:夢のシーンで「医学研究所」になっているとらやの二階がまた“爆発”するけど、あれは何か意味があるのかな? 若いカップルが登場する伏線とか?

川口世文:「青春は爆発だ!」ってこと?(笑) 潜在意識に働きかけよう──ぐらいの意味はあったのかもな。

木暮:今回の“まくら”は徹底的に「結婚」をテーマに押してくるから、こっちはかなり意図的だとわかる。

川口:いきなり職工の結婚式だもんな。ケンカの原因になる満男の作文も両親は「恋愛結婚だ」からはじまる。

木暮:珍しく満男が“泣く”展開。

川口:だんだん彼に演技をさせる必要が生じてきたことが役者の交代につながるのかな……まだ先の話だけど。とにかく早々に“まくら”が終わって、寅は旅に出る。

木暮:この前フリを除くと、それ以降は「一気呵成」に話が進むパターンだよな。“ワットくん”の話と同じ。

川口:そうなんだよ。演じたのが桃井かおりだったせいか、単なるマドンナでは終わらず、ワットくんや前回の泉ピン子、前々回の武田鉄矢の役回りまで兼ねている。

木暮:結婚式を飛び出してウェディングドレスでとらやにくるお騒がせタイプのマドンナはこれまでいなかった。

川口:さんざん振り回しておいて、最後はあっさり元の鞘《さや》に収まるんだから大したもんだよ。しかも、それでもしっかりマドンナになっているのがすごい。

木暮:博がいっていたけど、終ってみてから恋だったとわかるパターンなんだな。

川口:北海道で悩み事を聞いてやったときは彼女が結婚する話をしてもガッカリしなかった寅だけど、花嫁姿で抱きつかれたときにはさすがにドキッとしたんだろう。

木暮:なるほど、その瞬間に泉ピン子の役回りからマドンナへとスイッチしたわけだな──“翔んだ”んだ。

川口:そういう意味では前代未聞のマドンナだったな。

○『ルパン三世パート6』第24話

川口世文:話がはっきりつづいているにもかかわらず、前話が「ウィッチ・アンド・ジェントルマン」にカウントされなかった理由がよくわかった。

木暮林太郎:え、どういうこと?

川口:「パート6」後半の単発エピソードはすべて伏線で、全女性キャラがある役目を果たしていたけど、それをわからせないためにカウントしていなかったってことだ。

木暮:ああ、そういう意味ね。それぐらいはわかった。しかし、いきなりルパンがとち狂って、次元・五エ門・銭形と闘うシーンは新鮮でよかったな。いっそ1クール全部そういう“対立関係”で進んでもよかったのに。

川口:とち狂ったルパンが主人公──それはないだろ。

木暮:それはともかく、ロンドン経由でようやく日本の「マヒコ村」に到着。“ベンツSSK”まで登場してさ、ようやく落ち着くところに落ち着きつつあるな。

川口:車の種類を固定させなかったのはこのためだったのか!──そう思ったのは確かだね。その一方で“ジャケット”のほうはどうなんだろう?

木暮:でも、日本に来て、あらためて“緑ジャケット”を着たじゃないか?

川口:そのためにわざわざロンドンのシーンでジャケットなしにしていたのかな? だったらやっぱり、それ以前はずっと“青”でよかったんじゃないのかな?

木暮:どうしてもそこにこだわるね。だけど、途中でいろんなカラーのジャケットを着たルパンのイメージが出てくるだろ? 女性キャラが発した“異なる言語”と同様、“異なるジャケット”もまたルパンに「本当のオレ」を取り戻させるための仕掛けだったんじゃないのか?

川口:それはおれも考えたけどさ、果たしてそこまで明確に解明してくれる結末になるのかな?

木暮:それはとにかく最終回に“期待”するしかない!


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